海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
長引く会議や退屈な作業を前に、いっそ黙って一気に片付けてしまいたいと感じたことはありませんか。
そんな場面にぴったりの「get through」を、『ホワイトカラー』シーズン3第4話の序盤、FBIオフィスの朝礼でピーターが部下たちに次々と指示を飛ばしていくシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get through」の意味とニュアンス
get through
意味:(会議・作業・つらい時間を)乗り切る、済ませる
get through は、目の前にある大変な物事や退屈な時間を「通り抜けて、終わりまでたどり着く」ことを表す句動詞です。through が持つ「向こう側へ抜ける」という感覚がそのまま意味に表れていて、途中でつまずきながらも最後までやり通すニュアンスを含んでいます。
Let’s get through this. のように this を添えると、「さあ、これを済ませよう」という声かけの定型表現になり、会議の開始や作業への着手を促す場面で頻繁に使われます。また get through the exam week や get through the storm のように、試験期間や自然災害のような一定の困難な期間を耐え抜くという文脈でも自然に使われる表現です。
【ここがポイント!】
- 「get through」の核は、大変な時間や作業を通り抜けて終わりにたどり着くイメージ
- 会議から試験、悪天候まで、幅広い「乗り切る対象」に使える懐の深い表現
- Let’s get through this. の形で覚えると、声かけの定型としてすぐに使える
『ホワイトカラー』S03E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
FBIオフィスの朝礼で、チームを率いるピーターが「さあ、これを済ませよう」と切り出し、部下たちへ次々と仕事を割り振っていきます。淡々とした業務連絡の中に、ジョーンズとダイアナの小気味よい切り返しが混ざる場面です。
Peter: Let’s get through this. Blake, follow up with Bellevue about those fake insurance cards. Jones, stop texting. Put a smile on your face — another IBF.
(さあ、これを済ませよう。ブレイク、ベルビューの偽造保険証の件を追ってくれ。ジョーンズ、メールをやめろ。表情に出すなよ、また苦情が来るぞ。)Jones: I’m smiling.
(笑ってますよ。)Peter: Diana, copyright infringement.
(ダイアナ、著作権侵害の件を頼む。)Diana: Not another one.
(またですか。)Peter: What was that?
(今、何か言ったか?)Diana: Yay, another one.
(いえ、やったー、また一件ですね。)White Collar Season3 Episode4 (The Dentist of Detroit)
シーン解説と心理考察
朝の慌ただしいFBIオフィスの空気が、この短いやり取りに凝縮されています。ピーターは事件の重さを感じさせない口調で仕事を割り振り、部下たちも深刻ぶらずに淡々と応じていきます。
ジョーンズの「I’m smiling.(笑ってますよ)」という即答には、注意されてもむっとせず軽く受け流す余裕が表れています。一方のダイアナは「Not another one.(またですか)」とうんざりした本音をこぼしつつ、ピーターに聞き返されると「Yay, another one.(やったー、また一件ですね)」と皮肉っぽく言い直す間合いが印象的です。本音とその場しのぎの態度を瞬時に切り替える呼吸が、日々事件に追われるチームの空気をよく表しています。事件そのものの重さよりも、それを日常業務としてこなす面々のやり取りに焦点が当たる、肩の力が抜けた導入の場面です。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
get through を覚えるコツは、長いトンネルの向こうに小さな光が見えている情景を思い浮かべることです。今はまだ暗くても、歩き続ければ必ず出口にたどり着く、そんな感覚が through の一語に凝縮されています。
朝礼で淡々と指示を出すピーターも、退屈な連絡事項という「トンネル」をさっさと通り抜けて、本題である事件の話にたどり着こうとしています。目の前の面倒な工程を投げ出さずに歩き通すイメージと結びつけておくと、日々の会議や作業でも自然に使える表現として定着します。
例文で覚える「get through」
日常のちょっとした耐えどころから長期の困難まで、get through を3つの例文で確認していきましょう。
Let’s get through this meeting quickly so we can go home.
(さっさとこの会議を乗り切って、早く帰ろう)
退屈な会議の冒頭で同僚に声をかける場面です。記事内のシーンと同じ、目の前の作業を済ませようという定型的な使い方です。
I don’t know how I’ll get through the exam week.
(試験週間をどう乗り切ればいいのかわからない)
試験前の不安を友人にこぼす場面です。乗り切る対象が単発の作業ではなく、一定期間続く試練であることを示しています。
A: We got through the storm without any damage.
B: That’s a relief. I was worried about your house.
(A:被害もなく嵐を乗り切ったよ)
(B:それはよかった。あなたの家のことが心配だったんだ)
自然災害を無事に乗り越えたことを報告する会話です。get through が困難な出来事を耐え抜いて通過したという結果を表す使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
get over
(乗り越える)
get through が渦中の過程を耐えて通過することを表すのに対し、get over は困難や悲しみが終わった後に精神的に立ち直ることを指します。今まさに耐えている最中か、すでに終わった出来事かで使い分ける表現です。
push through
(押し切って進む)
get through よりも能動的で、強い意志を持って困難に立ち向かうニュアンスがあります。周囲の抵抗や自分の弱気を押し切って前進する場面で使われます。
muddle through
(なんとかやり過ごす)
get through が中立的な表現であるのに対し、muddle through はうまくいかないなりにどうにかこうにか切り抜けるという、くだけたニュアンスを含みます。
Note|「乗り切る」を表す句動詞、渦中か事後かの分かれ目
get through のほかにも、英語には「乗り切る」を表す句動詞がいくつも存在します。どれも似た場面で使われますが、実は「渦中にいるか、終わった後か」という時間軸の違いで使い分けられています。
get through は、まさに困難の最中を進んでいる状態を指す表現です。会議の途中、試験期間のさなか、嵐が吹き荒れている間など、まだ終わっていない何かを耐えている場面で使われます。一方 get over は、出来事そのものが過去になった後、その影響から気持ちの面で立ち直ることを表します。失恋や病気からの回復のように、時間の経過とともに心の状態が変化していく過程に焦点が当たる表現です。さらに push through は、周囲の反対や自分自身の迷いを押しのけてでも前に進もうとする、より能動的で意志の強さを感じさせる言い回しです。同じ「乗り切る」でも、進行中か完了後か、受け身か能動的かという軸で並べてみると、それぞれの句動詞が持つ役割の違いがくっきりと見えてきます。
朝礼で淡々と仕事を割り振るピーターの get through this は、まさに今この瞬間の面倒事を対象にした表現です。まだ終わっていない目の前の工程を指す点が、このフレーズの実用的な使いどころだと言えます。
渦中にあるものを指す一言として、覚えておくと便利です。
まとめ|朝礼の一幕に見る、乗り切り方のコツ
get through は、目の前の会議や作業、あるいは試練の時期を、投げ出さずに耐えて通り抜けることを表す表現です。
忙しない朝に淡々と紹介されるピーターの一声には、事件の重さに振り回されず日々の仕事を積み重ねていく強さがにじんでいます。
次に長丁場の予定を前にしたときは、この一言を表現の引き出しに加えてみてください。


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