海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
気心の知れた相手のわがままや小言に、内心うんざりしながらも「まあ、いつものことか」と受け流した経験はありませんか。
そんなやり取りにぴったりの「put up with」を、『ホワイトカラー』シーズン3第4話の中盤、身を潜める隠れ家でニールとモジーが軽口を交わすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「put up with」の意味とニュアンス
put up with
意味:(嫌なこと・面倒な人を)我慢する、耐える
put up with は、本来なら文句を言いたいところをあえて我慢して受け入れるというニュアンスを持つ句動詞です。目的語には迷惑な人・状況・行動などが来ることが多く、しばしば苛立ちや呆れの感情を伴います。
I don’t know how she puts up with his constant complaining. のように使うと、誰かの忍耐強さへの驚きを表し、I won’t put up with this kind of behavior. のように使うと、これ以上は容認しないという毅然とした意思表示になります。我慢の限度を語るときに欠かせない表現です。
【ここがポイント!】
- 「put up with」の核は、本音では嫌でもあえて受け入れて我慢するイメージ
- 迷惑な人・状況・習慣など、対象は幅広く使える
- won’t put up with の形なら「これ以上は許容しない」という毅然とした意思表示になる
『ホワイトカラー』S03E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
デ・ルーカに命を狙われるモジーが、安全のため隠れ家に身を潜めている場面です。手がかりの品から次の行き先を閃いたモジーに対し、ニールがいつもの調子で少し腰の引けた反応を返します。
Neal: I-I guess it’s worth checking out.
(ま、確かめてみる価値はある……のかな。)Mozzie: You guess? You see what I have to put up with because of you?
(「かな」だって? 君のせいで僕がどれだけ我慢させられているか、わかるだろう?)Mozzie: How long do I have to stay in this Stygian limbo?
(僕はいつまでこの薄暗い監禁生活に耐えなきゃいけないんだ?)Neal: You won’t be safe until we run the con and get de Luca in cuffs, okay?
(この詐欺をやり遂げてデ・ルーカを手錠にかけるまでは、君の安全は保証できないな。)Mozzie: I beg of you, hurry, for the sake of my sanity.
(頼むから急いでくれ、僕の正気のためにも。)Neal: And mine.
(僕の正気のためにもね。)White Collar Season3 Episode4 (The Dentist of Detroit)
シーン解説と心理考察
手がかりとなる本とCDのタイトルから「自由」と「女性」を組み合わせ、自由の女神像が次の目的地だとモジーが閃く場面です。ところがニールが「I-I guess it’s worth checking out(確かめる価値はある……のかな)」と、いつもの調子で少し及び腰な反応を見せると、モジーはすかさず「You guess?(『かな』だって?)」と茶化し、「君のせいで僕がどれだけ我慢させられているか」と切り返します。
隠れ家に軟禁されているのはモジーの方で、「How long do I have to stay in this Stygian limbo?(僕はいつまでこの薄暗い監禁生活に耐えなきゃいけないんだ?)」とうんざりした本音をこぼします。それに対しニールは「You won’t be safe until we run the con and get de Luca in cuffs, okay?(この詐欺をやり遂げてデ・ルーカを手錠にかけるまでは、君の安全は保証できないな)」と、外を動き回れる立場から事情を淡々と説いて聞かせます。なおもモジーが「I beg of you, hurry, for the sake of my sanity.(頼むから急いでくれ、僕の正気のためにも)」と急かすと、ニールも「And mine.(僕の正気のためにもね)」と、早くこの一件を片付けたい本音をひと言添えて受け止めます。軟禁される側の愚痴と、外で立ち回る側の説得とがテンポよくかみ合うところに、危険な状況の緊張感を軽妙な掛け合いで和らげる、長年のコンビならではの息の合った呼吸が表れています。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
put up with を覚えるコツは、不満を上に(up)置いて(put)、それと共に(with)過ごすというイメージです。文句を言いたい気持ちを一旦棚上げにして、我慢して付き合う様子を思い浮かべると覚えやすくなります。
モジーが「君のせいでこれだけ我慢させられている」とニールに愚痴をこぼす場面は、まさに不満を抱えながらも受け入れている状態そのものです。棚に上げた不満がいつか下ろせる日を待ちながら、それでも今は付き合い続ける感覚を持っておくと、日常の小さな我慢を語る場面でも自然に使える表現になります。棚の上に積まれた不満が少しずつ増えていく様子まで思い浮かべておくと、我慢の限界を語る won’t put up with という強い言い方への橋渡しにもなります。
例文で覚える「put up with」
周囲の人の言動から生活環境まで、put up with を3つの例文で確認していきましょう。
I don’t know how she puts up with his constant complaining.
(彼女がどうやって彼の絶え間ない愚痴に耐えているのか、私にはわからない)
誰かの忍耐強さに驚く場面です。記事内のシーンと同じ、人の迷惑な言動に耐えるという使い方です。話し手自身は我慢していなくても、第三者の忍耐に感心するときにも使えます。
We had to put up with the noise from the construction site all summer.
(夏の間ずっと、工事現場の騒音を我慢しなければならなかった)
不便な環境に耐える場面です。人だけでなく、状況や環境が目的語になる例で、had to を添えることで「仕方なく我慢した」という受け身のニュアンスが強まります。
A: Why do you put up with such a long commute every day?
B: Honestly, the pay makes it worth it.
(A:どうして毎日そんなに長い通勤時間を我慢しているの?)
(B:正直に言うと、給料がそれに見合っているからなんだ)
相手の生活習慣を尋ねる会話です。不満の種を抱えながらも、それを上回る理由があって受け入れているという、put up with らしい打算的な構図が会話全体に表れています。
あわせて覚えたい関連表現
bear with
(一時的に我慢する、辛抱する)
put up with が長期的・慢性的な迷惑への我慢に使われやすいのに対し、bear with は Bear with me a moment.(少しだけ待ってください)のように短期的な辛抱を丁寧に頼む場面で使われる表現です。相手に辛抱を求める丁寧な依頼表現として、ビジネスの場でもよく使われます。
tolerate
(許容する、大目に見る)
put up with よりもフォーマルで、口語よりも書き言葉や公式な場面で使われやすい表現です。感情を交えず淡々と許容範囲を述べる響きがあります。
put up a fight
(抵抗する、反撃する)
put up with とは正反対の姿勢を表す表現です。同じ put up を使いながら、「我慢する」か「抵抗する」かで意味が分かれる点も合わせて覚えると効果的です。
Note|ルームメイト文化とput up with の相性
put up with は、アメリカのルームメイト文化やシェアハウス生活を語る場面で特によく耳にする表現です。
アメリカでは大学生や若い社会人がルームメイトと共同生活を送ることが一般的で、相手の生活習慣に多少の不満を抱えながらも共同生活を続ける場面が日常的に生まれます。My roommate leaves dishes in the sink for days, but I put up with it because the rent is cheap. のように、家賃の安さや立地の良さといった利点と天秤にかけて、多少の迷惑には目をつぶるという文脈で put up with が頻繁に使われます。シットコムやリアリティ番組でも、ルームメイト同士の小さな摩擦と、それでも一緒に暮らし続ける理由が対で語られる場面が定番の構成になっており、put up with はその「多少の我慢と引き換えの利点」という現実的な打算をそのまま言葉にする役割を担っています。
モジーとニールの隠れ家生活も、命の危険という切実な理由があるとはいえ、狭い空間で互いの言動に我慢し合う構図はルームメイト生活と通じるものがあります。put up with という一語には、この打算混じりの共同生活の空気がよく似合います。
共同生活の実感がこもった表現として、覚えておくと役立ちます。
まとめ|隠れ家での軽口に見る、我慢の付き合い方
put up with は、本音では不満を抱えながらも、あえて受け入れて我慢するという姿勢を表す表現です。
迷惑な言動や不便な環境をどこまで許容するかを語るとき、この一語がその我慢の温度感をそのまま伝えてくれます。
窮屈な隠れ家生活にうんざりするモジーと、その愚痴を軽口で受け流すニールのやり取りには、我慢の中にも友情の温かさが滲んでいると言えます。日々のちょっとした不満を語りたいときは、この表現を表現の引き出しにそっと加えておいてください。


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