海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
橋の上や路地裏で、追い詰めた相手と追い詰められた相手が、ようやく正面から向き合う瞬間が、犯罪ドラマには時々訪れます。
そんな緊迫の対峙にぴったりの「take care of」を、『ホワイトカラー』シーズン3第4話の終盤、伝説の詐欺師を名乗るモジーとデ・ルーカが橋の上でついに対峙するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take care of」の意味とニュアンス
take care of
意味:(問題・仕事・相手を)片付ける、処理する
take care of は本来「世話をする、面倒を見る」という優しい意味の句動詞ですが、対象が「問題」や「厄介な相手」の場合は「きっちり片をつける、始末する」という意味に転じます。文脈によっては、婉曲的な脅し文句として使われることもある表現です。
Don’t worry about the paperwork. I’ll take care of it. のように使えば「私が片付けておくよ」という頼もしい申し出になり、If he keeps causing trouble, I’ll take care of it. のように使えば、相手への対処を毅然と宣言する響きになります。同じ言葉が優しさにも凄みにもなる、二面性を持った表現です。どちらの意味で使われているかは、声のトーンや文脈から読み取る必要があり、この幅の広さこそが take care of という句動詞の面白さでもあります。
【ここがポイント!】
- 「take care of」の核は、世話をする優しさと、厄介ごとを始末する凄みの二面性
- 仕事の依頼から家族の世話まで、対象が幅広く使える万能な表現
- 婉曲的な脅し文句として使われることもあり、文脈次第で意味の温度が変わる
『ホワイトカラー』S03E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
伝説の詐欺師「デンティスト」を名乗るモジーと、デ・ルーカが橋の上でついに直接対峙します。FBI側が用意させたオリアリーの現金を前に、デ・ルーカが「それがオリアリーの金か」と口にしたところから、静かな脅しの応酬が始まる場面です。
De Luca: That O’Leary’s cash?
(それがオリアリーの金か?)Mozzie: Yeah. But we both know this isn’t about the money. This is about taking me down, only it didn’t work.
(ああ。でもお互いわかってるだろう、これは金の問題じゃない。僕を消すためだったのに、失敗したってことだ。)De Luca: Well, I can take care of that right now.
(なら、今すぐこの場で片をつけてやろうか。)Mozzie: Yeah, you could.
(ああ、できるだろうな。)White Collar Season3 Episode4 (The Dentist of Detroit)
シーン解説と心理考察
橋の上の緊張感が、この短いやり取りに凝縮されています。デ・ルーカが「That O’Leary’s cash?(それがオリアリーの金か?)」と切り出すと、モジーは「これは金の問題じゃない、僕を消すためだったのに失敗した」と、相手の本当の狙いを冷静に見抜いて言い放ちます。
それに対しデ・ルーカが「Well, I can take care of that right now(なら、今すぐこの場で片をつけてやろうか)」と静かな脅し文句を返す瞬間は、この対峙の緊張感が最高潮に達する場面です。モジーは怯むことなく「Yeah, you could(ああ、できるだろうな)」と受け流し、自分の運命を達観しているかのような態度を崩しません。恐怖よりも信念を優先するモジーの胆力が際立つやり取りです。声を荒げず淡々と交わされる短い会話だからこそ、橋の上に張り詰めた緊張感がかえって際立って伝わってきます。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
take care of を覚えるコツは、care(気遣い・世話)を自分の手に取る(take)というイメージです。本来は誰かを大切に世話する優しい響きですが、対象が問題や厄介ごとになると、面倒事を自分の手できっちり始末するという意味に変わります。
劇中のデ・ルーカのように、優しい表現をあえて冷たい脅し文句として使う言葉の二面性を意識しておくと、印象に残りやすくなります。世話をする手と、始末をつける手が同じひとつの手であるというイメージを持っておくと、このフレーズの振れ幅ごと記憶に定着します。同じ手が誰かを支えることも、誰かを退けることもできるという二面性そのものが、take care of という一語の奥行きを作っています。
例文で覚える「take care of」
仕事の依頼から家族の世話まで、take care of を3つの例文で確認していきましょう。
Don’t worry about the paperwork. I’ll take care of it.
(書類のことは心配しなくていい。私が片付けておくよ)
仕事のタスクを引き受ける場面です。最も基本的な「処理する」という使い方で、相手を安心させる頼もしい響きがあります。
Can you take care of the kids while I’m at work?
(私が仕事の間、子どもたちの面倒を見てもらえる?)
家族に子どもの世話を頼む場面です。本来の「世話をする」という優しい意味での使い方で、日常会話で最も頻繁に耳にするパターンです。
A: He keeps causing trouble for the team.
B: If he keeps it up, I’ll take care of it.
(A:彼はチームにずっと迷惑をかけているんだ)
(B:これ以上続けるなら、私が対処するよ)
厄介な相手への対応を宣言する会話です。記事内のシーンに近い、やや強い意志を示す使い方で、口調や表情次第で穏やかな申し出にも凄みのある宣言にもなります。
あわせて覚えたい関連表現
deal with
(〜に対処する)
take care of よりも中立的で、問題への対処全般に使える汎用的な表現です。感情的なニュアンスは薄めになり、事務的に淡々と処理する響きがあります。
handle
(〜を扱う、処理する)
take care of と近い意味ですが、より事務的・ビジネスライクな響きを持つ表現です。感情の温度が低く、職務として粛々とこなす場面に向きます。
get rid of
(〜を取り除く、始末する)
take care of が婉曲的な表現であるのに対し、get rid of はより直接的に排除するというニュアンスを持ちます。婉曲さを残すか、はっきり言い切るかで使い分けると効果的です。
Note|犯罪ドラマの婉曲的な脅し文句と take care of
I’ll take care of it. という優しい響きの一言が、犯罪ドラマや映画では時に最も冷たい脅し文句として使われることがあります。
英語圏の犯罪ドラマや映画には、直接的な脅迫の言葉を避け、あえて穏やかで日常的な言い回しを使うことで凄みを強調する演出がしばしば見られます。世話をする、面倒を見るという本来優しいはずの take care of が、静かな声で、表情を変えずに発せられると、聞き手にはむしろ直接的な脅し文句以上の恐怖を与えます。感情を露わにせず淡々と告げることで、相手が本気であることをかえって際立たせるという演出の型です。声を荒げず、言葉遣いを崩さないまま脅しを伝えるこの手法は、犯罪組織のボスや冷徹な悪役のキャラクター造形でしばしば用いられ、優しい言葉ほど恐ろしく響くという逆説的な効果を生み出しています。
デ・ルーカが橋の上で放った take care of that も、まさにこの穏やかさに凄みを隠す演出そのものでした。優しい表現がそのまま脅しに転じる瞬間を知っていると、このフレーズの二面性がより鮮明に感じられます。日常会話で誰かの世話を申し出るときの take care of と、こうした緊迫した場面で使われる take care of が地続きの表現であることを意識しておくと、ドラマの台詞の奥行きも見えやすくなります。
言葉の温度差を意識すると、記憶に残りやすい表現です。
まとめ|橋の上の対峙に見る、言葉の二面性
take care of は、世話をする優しさと、厄介ごとを始末する凄みの両方を併せ持つ表現です。
同じ一言が状況次第でまったく違う響きを持つことを知っておくと、会話でもドラマの台詞でも、その温度の変化を敏感に読み取れるようになります。
橋の上で怯むことなくデ・ルーカと向き合うモジーの姿には、恐怖よりも信念を優先する胆力が表れていると言えます。優しい申し出にも、静かな脅しにもなるこの言葉の振れ幅は、日常のふとした場面でもきっと役立ちます。


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