海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。『ホワイトカラー』シーズン3第4話では、デトロイトから来たギャングがニューヨークの裏社会で伝説の詐欺師「デンティスト」を探し始め、その正体がモジーであることが明らかになります。追い詰められたモジーを守るため、ニールとピーターはそれぞれのやり方で会話を組み立てていきますが、この回で交わされる遠回しな言い方は、ある場面では追及をかわすための盾になり、別の場面では相手を油断させて引き込む罠にもなります。同じ婉曲な話し方が正反対の目的で使われるところに、この回の会話の面白さがあります。
あらすじ(ネタバレなし)
『ホワイトカラー』シーズン3第4話では、デトロイトのギャング、フランク・デルーカ・ジュニアがニューヨークに現れ、裏社会で名の知れた詐欺師を追い始める。FBIの朝礼で、ピーターは部下たちにデルーカの動きを警戒するよう伝えるが、デルーカが本当に追っているのはモジーその人だった。モジーの恩人であるジェフリーズ氏を切り札に使われ、モジーは危険な立場に追い込まれる。ピーターはモジーの正体を知り保護に動く一方で、ニールはモジーを守るため危険な役回りを買って出て、偽の身分で相手の懐に飛び込んでいく。『ホワイトカラー』S03E04の展開を追うときは、誰が本音を隠して相手を探り、誰が本音をそのまま口にしているかに注目すると、会話の温度差が見えてくる。
このエピソードで学べる英語フレーズ
1. get through
(会議・作業・つらい時間を)乗り切る、済ませるという意味です。
Peter: Let’s get through this.
(これを乗り切ろう。)
朝のFBIオフィスでの朝礼冒頭、雑務連絡を手早く片付けようとピーターが部下たちに呼びかける場面です。Let’s get through thisという言い方に、余計な前置きを挟まず物事を進めたい実務家らしさが表れています。
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2. poke around
(何かを探して)嗅ぎ回る、うろつくという意味です。
Peter: This guy, Frank de Luca, has been spotted poking around our local criminal hot spots.
(このフランク・デルーカという男が、地元の裏社会をうろついているのが目撃されている。)
デトロイトから来たデルーカが地元の裏社会をうろついていると、ピーターが朝礼で部下に淡々と共有する場面です。has been spotted poking aroundと受け身の形で状況だけを述べる言い方に、まだ正体の見えない相手への警戒がにじんでいます。
3. take on
(強敵・困難な相手に)立ち向かう、対抗するという意味です。
Neal: You can’t take on de Luca.
(デルーカに立ち向かうなんて無理だ。)
単身デルーカのもとへ乗り込もうとするモジーを、ニールが本気で制止する場面です。You can’tと可能性そのものを否定する強い言い方に、いつもの軽口を捨てて相手を止めにかかるニールの必死さが表れています。
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4. get on the bad side of
~の機嫌を損ねる、~に嫌われるという意味です。
Neal: He got on the bad side of the mob.
(あいつは組織の機嫌を損ねてしまったんだ。)
騒ぎを起こしたモジーについて、事情を知らないダイアナにニールが取り繕いながら説明する場面です。got onと過去形で淡々と述べる言い方の裏に、どこまで話していいか探りながら言葉を選ぶニールの慎重さがのぞきます。
5. go through with
(計画・約束・手続きを)最後までやり遂げる、実行するという意味です。
Peter: If you go through with it…
(もしそれを最後までやり遂げれば……)
デルーカが仕掛けさせようとしている詐欺に乗ることで、逆に恐喝の証拠を押さえられるとピーターが説明する場面です。If you go through with it…と条件節だけを先に置いて言葉を止める言い方に、リスクを承知の上で作戦を進めようとする慎重さが表れています。
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6. put up with
(嫌なこと・面倒な人を)我慢する、耐えるという意味です。
Mozzie: You see what I have to put up with because of you?
(お前のせいで、僕がどれだけ我慢させられているか見えるだろう?)
セーフハウスに閉じ込められたモジーが、ニールのせいでこんな目に遭っていると愚痴をこぼす場面です。You see what I have to ~?と相手に突きつける言い方に、閉じ込められた不満をぶつけたいモジーの子供っぽさが表れています。
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7. on the outs with
~と不仲である、~と気まずい関係にあるという意味です。
O’Leary: So you’re on the outs with your boss.
(じゃあ、あんたは上司と気まずい関係ってわけか。)
偽の身分で近づいたニールが上司への不満をほのめかすと、オリアリーがそれを言い換えて確かめる場面です。So you’re ~と相手の言葉を要約し直す言い方に、警戒しながらも興味を持ち始めたオリアリーの反応が表れています。
8. walk through
(手順などを)順を追って説明するという意味です。
O’Leary: So, walk me through this.
(それじゃ、順を追って説明してくれ。)
偽の賭博場に仕込んだ仕掛けについて、カモのオリアリーがニールに詳しい説明を求める場面です。walk me through thisと具体的な動作の比喩で頼む言い方に、儲け話に食いついたオリアリーの前のめりな姿勢が表れています。
9. call it even
それで貸し借りなし、おあいこにするという意味です。
Peter: So how about I just give you the money that you came in with, you walk out of here, and we’ll call it even?
(じゃあ、あんたが持ってきた金をそのまま返すから、ここを出て行って、それで貸し借りなしってことにしないか?)
騙されたと激高するオリアリーに対し、賭博サイトのオーナーを演じるピーターが穏便に手打ちにしようと持ちかける場面です。how about I just ~と提案の形を取りながら実質的に話を打ち切る言い方に、この場を収めることだけを考える冷静さが表れています。
10. take care of
(問題・仕事・相手を)片付ける、処理するという意味です。
De Luca: Well, I can take care of that right now.
(なら、今すぐそれを片付けてやろうか。)
橋の上で対峙したデルーカが、穏やかな言い回しの裏に脅しを込めてモジーに凄む場面です。I can take care of that right nowと落ち着いた口調のまま脅しを述べる言い方に、静かな言葉のほうが恐ろしく響くという皮肉が表れています。
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このエピソードの英語学習ポイント
朝のFBIオフィスでのピーターの話し方には、遠回しがほとんどありません。Let’s get through this.と部下に切り出し、This guy, Frank de Luca, has been spotted poking around our local criminal hot spots.と状況を伝えても、部下との短いやり取りだけで話が進みます。権限のある人間が自分のチームに話すときには、相手の顔色をうかがう必要がないため、遠回しな言い方そのものが不要になることがこの場面から見えてきます。
一方、保護対象として拘束されたことに納得がいかないモジーは、ダイアナに本当のことを尋ねられる前後でAttica! Hunger strike! Vow of silence!と、まるで囚人の抗議のような台詞を立て続けに叫び、質問への直接の答えを避けます。答えを拒む代わりに大げさな芝居を打つことで、その場の追及を一時的に止めてしまうわけです。結局その場で本当の事情を説明する役目は、He got on the bad side of the mob.と言葉を選びながら答えるニールに回ってきます。遠回しな言い方が、答えたくない本人の盾になり、代わりにそばにいる相手が矢面に立たされる構図がここにあります。
同じ遠回しな話し方でも、ニールが潜入先で使うときはまったく逆の働きをします。偽の身分でオリアリーに近づいたニールは、My boss has me picking up strays on the sidewalk like a bench advertisement. We have our differences.と、上司への不満を独り言のようにこぼしてみせます。すると直接尋ねてもいないオリアリーのほうから、So you’re on the outs with your boss.と自分から話をまとめてくれるのです。ここでの遠回しな愚痴は、自分の情報を守るためではなく、相手に情報を差し出させるための仕掛けとして働いています。
同じ婉曲な言い方が、質問から逃げるための盾にもなれば、相手の口を軽くする罠にもなります。この回のセリフを聞き比べるときは、誰が何を守るために遠回しに話し、誰が何を引き出すために遠回しに話しているのかを意識してみると、会話の駆け引きがより鮮明に見えてきます。
キャラクター別|英語の特徴
ニール|守るときは断言し、探るときは遠回しにする英語
この回のニールは、状況に応じて話し方を大きく切り替えます。モジーが単身デルーカのもとへ向かおうとしたときは、You can’t take on de Luca.といつもの軽口を捨てて短く言い切り、相手を止めにかかります。一方、偽の身分でオリアリーに近づいた場面では、My boss has me picking up strays on the sidewalk like a bench advertisement. We have our differences.と、比喩を交えた長い愚痴を静かに差し出し、相手が自分から話をまとめるのを待ちます。
You can’t take on de Luca.は主語・助動詞・動詞が短く並ぶだけの直球の否定文で、友人の命に関わる場面での迷いのなさを映しています。対して、bench advertisementという自虐的な比喩を挟んだ愚痴は、答えを急がず相手に解釈の余地を残す作りになっており、狙いはあくまでオリアリーの口を開かせることにあります。ニールの婉曲さは万能の癖ではなく、大切な相手を守る場面では自然と姿を消す、選び取られた技術であることがここから読み取れます。
モジー|追及をかわす芝居と、素の弱音がにじむ言葉
モジーの話し方は終始芝居がかっていますが、その目的は場面ごとに違います。保護対象として拘束されたことへの抗議も込めて、ダイアナに本当のことを尋ねられる前後でAttica! Hunger strike! Vow of silence!と抗議スローガンのような言葉を次々に叫び、質問への直接の答えを避け続けます。ところが安全のためセーフハウスに閉じ込められた場面では、同じ大げさな語り口のまま、How long do I have to stay in this Stygian limbo? I beg of you, hurry, for the sake of my sanity.と、閉じ込められている本音をそのまま口にしています。
前者は疑問文にすら答えず短い叫びだけを並べる拒絶の形で、後者はHow long do I have to ~?という素直な疑問文とI beg of you, hurry, for the sake of my sanity.という懇願を続ける率直な形です。同じ芝居がかった大げさな語彙を使っていても、相手が追及してくる捜査官なのか、事情を知る友人なのかによって、その言葉が壁になるか、本音への入り口になるかが変わってきます。モジーの大げさな話し方は、誰に向けられているかを見て初めて、その役割が読み取れる仕掛けになっています。
ピーター|遠回しをほとんど挟まない、状況を仕切る英語
ピーターの話し方には、この回を通じて婉曲な駆け引きがほとんど出てきません。朝礼ではLet’s get through this.、This guy, Frank de Luca, has been spotted poking around our local criminal hot spots.と、指示も状況説明もそのまま言い切ります。潜入先で賭博サイトのオーナーを演じる場面でも、So how about I just give you the money that you came in with, you walk out of here, and we’ll call it even?と、提案の形を取りながらも結論をはっきり示し、相手に探らせる隙をほとんど与えません。
朝礼での短い命令文と、潜入中の長い提案文とでは長さも構造も異なりますが、どちらも自分の考えをそのまま言葉にしている点は共通しています。ニールのように相手に解釈させて引き出すのではなく、すでに主導権を握っている立場から結論を先に置いて場を収めます。遠回しな駆け引きが得意なニールとモジーの隣に立つからこそ、ピーターの直接的な話し方の効き目がよく見えてくる回になっています。
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