「take someone down a few notches」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E02で学ぶ英会話

「take someone down a few notches」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

得意になっている人を前にして、誰かが一度こらしめてくれないものかと思ったことはありませんか。

そんな場面で使えるのが「take someone down a few notches」で、相手の鼻を折る、という意味です。『メンタリスト』シーズン2第2話の序盤、州議会議事堂の議員室で、殺人事件の聞き込みを受けたバトソン議員が噂の出どころを語る場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「take someone down a few notches」の意味とニュアンス

take someone down a few notches
意味:鼻を折る、思い上がりを正す

notch は、木や柱に刻んだ細い切り込みのことです。記録や順位、回数を数えるための目盛りとして、古くから使われてきました。その目盛りを何段か下へずらす。それがこの表現の骨格です。

下がるのは、実力そのものではありません。周囲からの評価や、本人が自分に与えている位置のほうです。高いところにいるつもりの人を、本来の段、あるいはそれより下まで引きずり下ろす。だから褒め言葉になることはまずなく、話し手の側には多かれ少なかれ苦々しさが残ります。

数の部分には幅があります。a notch、a few notches、a peg or two。どれも同じ発想で、いくつ下げるかが違うだけです。notch の代わりに peg を使う形も、同じくらいよく耳にします。

主語は人とはかぎりません。出来事や結果がそのまま主語に立ち、One bad review took him down a notch. のような形でも使われます。

【ここがポイント!】

  • 核は「柱に刻まれた目盛りを、何段か下へずらす」という動作
  • 下がるのは実力ではなく、評価や本人の思い上がりのほう
  • 苦々しさを含む言い方なので、褒める場面には向かない一言

『メンタリスト』S02E02のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

州議会議事堂の議員室。殺害された広報担当クリスティン・マーリーと、バトソン議員の夫エリオットとの間に噂があったことを、リズボンが本人たちに確認します。議員は夫を制して自分から話題を引き取り、否定したうえで、噂そのものが誰かの仕掛けだと切り返しました。攻撃される側の論理が、当事者の口から語られる場面です。

Melinda: No, let’s just haul the trash out in the open. You want to know if she and Elliott were sleeping together.
(いいえ、汚れ物はいっそ表に出しましょう。彼女とエリオットが寝ていたのか、それが知りたいのでしょう)

Lisbon: Were you?
(そうなんですか)

Elliott: Never. It’s a rumor. That’s all.
(まさか。ただの噂だ。それだけだよ)

Lisbon: Rumors usually happen for a reason.
(噂には、たいてい理由があります)

Melinda: Well… I’ll give you the reason– politics. You want to take a female politician down a few notches? Throw mud on her marriage.
(そう……理由を教えてあげる。政治よ。女性政治家の鼻を折りたい? なら結婚生活に泥を塗ればいいの)

The Mentalist Season2 Episode2(The Scarlet Letter)

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シーン解説と心理考察

質問される前に、質問の中身を自分で言ってしまう。バトソン議員の切り返しは、そこから始まっています。夫が言いよどんだ瞬間に会話を引き取り、聞かれたくないはずの内容を自ら口にして、聴取の主導権をこちら側に寄せています。

take a female politician down a few notches という言い方の選び方にも意味があります。female という一語をわざわざ入れることで、これは自分個人への攻撃ではなく、女性政治家全般に向けられた手口なのだと枠組みを広げている。個別の疑惑を、政治の世界の一般的な現象へと置き換える動きが見て取れます。

throw mud on her marriage と続く部分も同じ方向を向いています。泥を投げるのは外にいる誰かであり、自分は投げられた側にすぎない。事実関係に一切踏み込まないまま、立ち位置だけを移してみせる話術になっています。

落ち着いた口調のまま、質問の土俵そのものをずらしていく。政治家としての防御の型が、短いやりとりに凝縮された場面と言えます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

背比べの柱を思い浮かべてみましょう。身長を測るたびに、線が一本ずつ刻まれていきます。notch とは、あの刻み目のことです。

その柱に、自分は一番上の線に立っていると思っている人がいます。そこへ誰かが手を伸ばして、二本、三本下の線まで押し下げる。take が「連れていく」、down が「下へ」、a few notches が「何段か分」。三つの語がそのまま動作の説明になっています。

大事なのは、柱そのものは動いていないという点です。目盛りの位置は変わらず、その人が立つ段だけが下がる。実力ではなく評価が下がる、というこの表現の性質が、ここに表れています。

劇中のバトソン議員は、自分が押し下げられる側として、この言葉を選びました。押す手が誰のものかを名指ししないまま、押される感覚だけを語る。柱の絵とセットで覚えておくと、そこに含まれる苦さまで一緒に思い出せます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「take someone down a few notches」

自慢の多い相手から、勝ちすぎたチーム、組織の力関係まで、幅広く使える表現です。三つの例文で、その振れ幅を見ていきましょう。

One bad review took him down a few notches.
(酷評ひとつで、彼はすっかり鼻を折られた)
自信満々だった知人の様子を誰かに話す場面です。主語が人ではなく出来事になっているのが特徴で、誰かが意図的に下げたわけではない状況でも使えます。

The board’s decision took the CEO down a few notches in front of the entire staff.
(取締役会の決定によって、CEOは全社員の前で面目を失った)
組織内の力関係の変化を説明する場面です。in front of と組み合わせると、下げられたことが公然と目撃された、という含みが加わります。

A: He’s been unbearable since the promotion.
B: Someone needs to take him down a few notches.
(A:昇進してから、彼、手に負えないよ。)
(B:誰かが一度、鼻を折ってやらないとね。)
同僚について愚痴を言い合う会話です。Someone needs to という形にすると、実行者をぼかしたまま願望だけを口にできます。劇中と同じく、話し手の苛立ちがはっきり出る言い方です。

あわせて覚えたい関連表現

cut someone down to size
(身の程を知らせる)
意味はほぼ重なりますが、こちらは本来の大きさまで切り縮めるという絵になります。今回の表現が段階的に下げるのに対し、一気に適正サイズへ戻すという印象が強い言い方です。

bring someone down to earth
(現実に引き戻す)
浮かんでいた人を地面に戻す、という発想です。今回の表現ほど攻撃的ではなく、相手のためを思った文脈でも使えます。夢見がちな計画を現実的にする、という場面にも向きます。

put someone in their place
(分をわきまえさせる)
評価や地位ではなく、その場での態度や言動を正す言い方です。今回の表現が全体的な位置を下げるのに対し、こちらは一回のふるまいに対する反応として使われます。

Note|刻み目が数えていたもの

notch という語が指すのは、木や骨や柱に刻まれた細い切り込みです。数字を書き記す習慣が広まる前から、人はものを数えるために、こうした刻み目を使ってきました。

同じ意味で take someone down a peg という形もよく使われます。この peg については、帆船で帆を掲げる高さを留めた木釘に由来する、という説明が広く知られています。帆を一段下げれば、船の見栄えも下がる。そこから思い上がりを下げる意味になった、という筋書きです。ただしこの由来には、後から作られた説明ではないかという指摘もあり、断定できる資料には行き当たりません。notch のほうも同様で、どの目盛りが最初に比喩として使われたのかを特定するのは難しいのが実情です。

はっきりしているのは、どちらの語も「目に見える段階」を表す道具だったという点です。柱の刻み目も、帆を留める釘も、数えるためにそこにある。だからこそ、一段下げるという言い方が、地位や評価を下げる比喩として成立しました。

由来の細部は揺れていても、絵は一つです。段があり、そこに立つ人がいて、その人を下の段へ動かす。この構図さえ掴んでおけば、notch でも peg でも迷わず読めます。

数えるための道具が、いつのまにか誇りを測る道具になっていた、と言えるかもしれません。

まとめ|押される感覚だけを語った議員

take someone down a few notches は、高い位置にいるつもりの相手を、何段か下へ引きずり下ろす表現でした。下がるのは実力ではなく評価であり、話し手の側には苦々しさが残ります。褒める場面には向かない、という性質もここから来ています。

自慢話に付き合わされたとき、組織の力関係が動いたとき、あるいは誰かの態度に我慢の限界がきたとき。この一語があると、単に「生意気だ」と言うよりも輪郭のはっきりした言い方ができます。

聞かれる前に自分から話題を引き取り、押される側の感覚だけを語ってみせたバトソン議員。事実に触れずに立ち位置を移す言葉として、表現の引き出しに加えてみてください。

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