「cut it close」の意味と使い方|『メンタリスト』S03E10で学ぶ英会話

「cut it close」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

改札を駆け抜けて、閉まりかけたドアに滑り込む。座席に着いてから、ようやく息を整える。そんな瞬間が、誰にでもあるはずです。間に合ったことよりも、間に合わなかったかもしれない数秒のほうが後を引きます。

その数秒を言い当てる「cut it close」を、『メンタリスト』シーズン3第10話の終盤、潜入していたジェーンのもとへ捜査班が踏み込むシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「cut it close」の意味とニュアンス

cut it close
意味:ぎりぎりになる、余裕がない

cut it close は、時間や余裕を限界ぎりぎりまで使うことを表します。紙の線ぎりぎりを切る場面は意味を覚える比喩にはできますが、それが確認された語源だとは断定できません。

結果が出たあとに「間に合ったが危なかった」と振り返る文でも、結果が出る前に That would be cutting it close と警告する文でも使えます。成功済みが前提ではありません。対象は時間だけでなく、予算、在庫、人員などの余裕にも広げられます。cut it too close と too を入れると、限界へ近づきすぎるという批判が強まります。

【ここがポイント!】

  • 核は、時間や余裕を限界ぎりぎりまで使うこと
  • 結果の前にも後にも使え、成功済みは必須ではない
  • close は「近い」ではなく「余裕がない」、と読み替えると訳を外さない

『メンタリスト』S03E10のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジェーンが患者を装ってクリニックへ潜入し、外の捜査班と通信をつないだまま治療を受けていた場面の直後です。事件の核心に触れる部分は伏せますが、危険が目前に迫ったところで捜査班が踏み込みます。取り押さえたあと、リズボンがジェーンへ向けた第一声にこのフレーズが置かれています。

Cho: DROP THE NEEDLE! PUT IT DOWN! NOW!
(注射器を捨てろ! 下ろせ! 早く!)

Lisbon: I’M SORRY. WE DIDN’T MEAN TO CUT IT THIS CLOSE. THIS PLACE IS A MAZE.
(ごめんなさい。こんなぎりぎりになるつもりはなかったの。ここ、迷路みたいで)

Lisbon: ARE YOU ALL RIGHT?
(大丈夫?)

Jane: OH, YEAH. I’M FINE.
(ああ、平気だよ)

The Mentalist Season3 Episode10(Jolly Red Elf)

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シーン解説と心理考察

謝罪と言い訳が、一つの発言のなかに同居している場面です。「こんなぎりぎりになるつもりはなかった」と詫びた直後に、建物が迷路のようだったと理由を添える。責任を認めながら、原因を自分たちの外へ半歩ずらす言い方になっています。

cut it close をここで使うと、二つの事実が同時に立ち上がります。間に合ったという事実と、もう少しで間に合わなかったという事実です。取り押さえに成功した場面でありながら、成功の話として終わらせない。その居心地の悪さが、この一言に重なっています。

危険な役回りを引き受けたジェーンに対する後ろめたさが、直後の「大丈夫?」という短い確認にも表れています。ジェーンの返事があっさりしているぶん、リズボン側の動揺が際立つ場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

覚え方として、はさみを持った手が線ぎりぎりを進む場面を思い浮かべると、残る余白の少なさを結びつけやすくなります。これは語源の説明ではありません。

このシーンでは、注射器を持った手が止められる寸前でした。針と相手のあいだに残っていたわずかな距離が、そのまま cut it close の余白の狭さに重なっています。

時間の話で使いたくなったときは、予定と締め切りの間にほとんど余白がない図を思い浮かべると、意味を引き出しやすくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「cut it close」

時間だけの表現ではないので、対象を替えながら三つの場面で確かめてみましょう。

We made the flight, but we really cut it close.
(飛行機には間に合ったけど、本当にぎりぎりだった)
旅先での一場面を振り返る言い方です。but と組み合わせる形が、いちばん自然に響きます。

We’re cutting it close on the budget this quarter.
(今期は予算がかなりぎりぎりです)
進捗会議で余力の少なさを共有する場面です。時間以外にも使えることが、この一文からよく分かります。

A: Should we leave at seven or seven thirty?
B: Seven. Seven thirty would be cutting it too close.
(A:7時に出る? それとも7時半?)
(B:7時にしよう。7時半だと、さすがにぎりぎりすぎる)
出発時刻を相談する場面です。too を挟むと、削りすぎへの警告として働きます。

あわせて覚えたい関連表現

a close call
(危機一髪)
危険を免れた出来事そのものを指す名詞句です。当事者の行動に焦点がある cut it close に対して、こちらは起きた出来事のほうを名指しします。

just barely make it
(かろうじて間に合う)
結果を素直に述べる言い方です。「余裕を残さなかった」という判断への評価を含む cut it close と比べると、反省の色が薄くなります。

down to the wire
(最後の最後まで)
決着がつくまでの長い緊張を指します。最終地点の余白の狭さだけを言う cut it close とは、視野に入れている時間の幅が違います。

Note|似た表現を、共通語源にまとめず比べる

cut it close、close shave、a close call、by a hair’s breadth は、どれも余裕の少なさや際どさを表せます。ただし、同じ語源系譜から順に生まれたと確認できるわけではありません。

現在義で分けると、cut it close は時間や資源の余裕をほとんど残さない行動、a close call と close shave は危険をかろうじて免れた出来事、by a hair’s breadth は髪一本ほどのごく小さい差を表します。close shave の刃物像や a close call の判定由来を、cut it close の語源へ直接つなぐ根拠は確認できません。

劇中では注射器の針と相手のあいだにわずかな距離しか残らなかったため、余裕のなさが映像でも伝わります。これは場面上の重なりで、語源の証拠ではありません。

似た訳語でも、行動を述べるのか、危機を述べるのか、差の小ささを述べるのかで選び分けられます。

まとめ|間に合った、では終われない一言

cut it close が伝えているのは、時間や予算などの余裕をほとんど残さないことです。結果の前後どちらでも使えます。

間に合った話の危うさを伝えることも、予定を決める前に too を挟んで警告することもできます。結果報告だけに限定されません。

止められた手のすぐそばで発せられた詫びは、この表現が持つ二重の意味をそのまま映していました。余白の狭さまで含めて伝えたい場面のために、表現の幅を広げてみてください。

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