海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
応募した仕事の結果を待っている相手に、励ましたい気持ちと現実を伝えたい気持ちのあいだで、言葉を選びあぐねてしまう場面があります。
そんなときに使われる「get one’s hopes up」を、『BONES』シーズン12第2話の中盤、博士号を取ったばかりの実習生デイジーが、憧れの職への応募についてブレナンに推薦人を頼むシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get one’s hopes up」の意味とニュアンス
get one’s hopes up
意味:期待を膨らませる、その気になる
良い結果を期待して希望を膨らませることを表します。don’t get your hopes up(あまり期待しないで)のように、期待が高くなりすぎないよう忠告する形でもよく使われます。
ここでの get は「そういう状態になる」という変化を表します。ただし、その変化が必ず本人の意思と無関係に起きる、という意味ではありません。自分について I’m trying not to get my hopes up と言うことも、相手へ don’t get your hopes up と忠告することもできます。
hopes は通常、my hopes、your hopes のように所有格を替えて使います。up が期待の高まりを表し、get one’s hopes up 全体で「期待を高くする」「期待を膨らませる」という意味になります。
忠告として使うと、落胆を避けるための気遣いにも、希望を抑える冷たい一言にもなり得ます。聞こえ方は、理由の示し方や口調によって変わります。
【ここがポイント!】
- 良い結果への期待が高まることを表す表現
- don’t get your hopes up の形では、期待しすぎないよう忠告します
- 気遣いにも冷たい制止にもなり得るため、理由と口調が大切です
『BONES』S12E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
舞台はジェファソニアン研究所の検死ラボです。長い年月をかけて博士号を取得したデイジーが、国立法医学研究所の主任法人類学者という要職に応募したことを打ち明け、上司であるブレナンに推薦人を引き受けてほしいと願い出ます。返ってきたのは、承諾と忠告が同時にやってくる返事でした。
Brennan: I will be a reference, Dr. Wick, but I advise you not to get your hopes up. In light of your young age, landing a job of that status would be a long shot at best.
(推薦人にはなるわ、ウィック博士。でも期待しすぎない方がいいと忠告しておく。あなたの年齢を考えれば、その地位の職に就くのは、よくても可能性は低いもの)Angela: Uh, didn’t you get your job here when you were still in your 20s?
(あの、先生ご自身は20代でここの職に就かれたのでは?)Brennan: Yes. But that was clearly an exceptional circumstance. Angela, don’t you need to get that?
(ええ。でもあれは明らかに例外的な事例よ。アンジェラ、電話に出なくていいの?)Angela: Sorry, yeah…
(ごめん、そうね……)BONES Season12 Episode2 (The Brain in the Bot)
シーン解説と心理考察
ブレナンの返答は、推薦人を引き受ける承諾と、期待を抑える忠告が同じ息の中に収まっています。この時点では、デイジーの年齢を根拠に可能性は低いという見立てを示しているように聞こえます。
その論法を即座に突き返すのは、デイジーではなく、同じラボにいるアンジェラです。ブレナン自身も20代で現在の職に就いたのでは、と指摘し、若さを理由にした忠告の矛盾を突きます。外部字幕でもこの発言には MONTENEGRO と話者表示があります。
ブレナンは、自分の場合は an exceptional circumstance(例外的な事例)だったと返します。さらにエピソード終盤には、この応募をめぐる種明かしがあります。そこまで踏まえると、ここでの忠告は単なる統計的な助言ではなく、サプライズを保つ会話としても読み直せるやり取りです。
『BONES』流・覚え方のコツ
hope を風船だと考えてみます。up はその風船に息を吹き込んで持ち上げていく動きです。膨らませるほど高く上がり、割れたときの音も大きくなります。don’t get your hopes up は、そこに空気を入れすぎないでという制止です。
get は、期待が低い状態から高い状態へ変わる動きを表します。その変化を自分で抑えようとする I’m trying not to get my hopes up のような言い方もできます。
ブレナンは、デイジーの期待が高くなりすぎないよう言葉を置きました。そこへアンジェラが矛盾を突く流れごと覚えておくと、忠告として使うときの温度が分かります。
例文で覚える「get one’s hopes up」
期待を膨らませる側と押さえる側。両方の立場から3つの例文を見てみましょう。
Don’t get your hopes up — they interviewed forty people for the position.
(期待しすぎないで。その職には40人が面接を受けたんだから)
転職活動中の友人に見通しを伝える場面です。理由を添えると角が立ちません。
I got my hopes up and then the whole thing fell through.
(すっかり期待してしまって、結局話は全部流れた)
落胆した経験を振り返る場面です。この例では後半の fell through が、期待に反して計画が流れたことを示します。got my hopes up という過去形だけで、期待が必ず裏切られたと決まるわけではありません。
A: They said they might extend my contract.
B: That’s great! Have they confirmed it?
A: Not yet. I’m trying not to get my hopes up.
(A:契約を延長するかもって言われた)
(B:すごいじゃない! もう確定したの?)
(A:まだ。あまり期待しないようにしてる)
不確定な吉報を話す場面です。try not to と組むと自分を戒める響きになります。
あわせて覚えたい関連表現
I wouldn’t hold my breath
(期待して待たない方がいい)
実現まで長くかかる、または実現しそうにないという見方を示す言い方です。皮肉や突き放す響きになることがありますが、どちらの表現も口調と文脈で温度が変わります。
don’t count your chickens
(捕らぬ狸の皮算用をするな)
結果が出る前に計算を進めるなという諺です。感情の高まりを指す get one’s hopes up に対して、こちらは先走った行動そのものを戒めます。
keep one’s expectations low
(期待値を低く保つ)
客観的で説明的な言い方で、自己分析やビジネス文書に馴染みます。会話の即応としては硬く、その場のやり取りでは get one’s hopes up の方が自然です。
Note|expect・hope・look forward to の違い
expect、hope、look forward to は、どれも文脈によって日本語の「期待する」に近づきますが、互いを完全に置き換えられるわけではありません。
expect は、何かが起きると考える見込みを述べます。hope は、起きるかどうか分からないことについて、そうなってほしいという願いを表します。この違いは、根拠が必ずあるかないかという二分よりも、「起きると考える」のか「起きてほしいと願う」のかで捉える方が安全です。
look forward to は、これから起きることを楽しみ、うれしい気持ちで待つことを表します。日付が確定した予定だけに限られず、未来の出来事や活動を楽しみにしているときに使えます。
get one’s hopes up は「希望を高くする、期待を膨らませる」ことです。期待に根拠があるかどうかや、後で実現するかどうかまでは、この表現だけでは決まりません。それぞれの語が何を述べているかを見れば、場面に合う言い方を選びやすくなります。
まとめ|「期待しないで」を、冷たくならずに伝えるには
get one’s hopes up は、期待が膨らんでいく動きそのものを捉えた表現です。don’t や try not to と組み合わせれば、その動きを押さえる忠告や自制を表せます。
この一言があると、相手の希望を否定せずに現実の見通しだけを伝えられます。無理だと言い切るのでもなく、根拠なく励ますのでもない。その中間に立つ言い方として重宝します。
推薦人を引き受けたうえで期待を抑える言葉を置き、アンジェラの反論には自分を例外だと返したブレナン。終盤の種明かしまで含めて見ると、同じ忠告が別の意味を帯びる面白さもあります。伝えにくい見通しを伝える場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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