海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
約束していた予定が、思いがけない出来事のせいで変わってしまった経験はありませんか。
そんなときに詳しい事情をぼかしながら伝えられる「something comes up」を、『モダンファミリー』シーズン1第23話の前半、ハワイでの家族の一幕のあと、フィルとクレアが新婚旅行の思い出を振り返るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「something comes up」の意味とニュアンス
something comes up
意味:予定外のことが起きる、急な用事が入る
something comes upは、come up(浮かび上がる、生じる)という表現にsomething(何か)を主語として組み合わせ、「何か予定外の出来事が生じる」という状況を婉曲に伝える言い回しです。何が起きたのかをあえてぼかしたまま、予定が変わった事実だけを伝えたいときに重宝します。理由を根掘り葉掘り聞かれたくない場面でも、この一言さえ添えれば会話をスムーズに切り上げられます。
主語のsomethingには具体的な内容が入らないため、詳しい説明を省いたまま話を切り上げられるのが特徴です。約束をキャンセルするとき、旅行の計画が変わったとき、あるいは深刻な事情を詳しく話したくないときなど、日常のさまざまな場面で顔を出す定番表現で、ビジネスメールの謝罪文から友人同士のちょっとした言い訳まで、フォーマル度を問わず使われています。過去の話ならsomething came up、これから先の話ならsomething will come upのように時制を変えるだけで幅広い場面に応用できる点も、使い勝手のよさにつながっています。
【ここがポイント!】
- 「something comes up」の核は、何かが水面下から浮かび上がってくるイメージ
- 主語をぼかせるので、詳しい事情を説明せずに済ませられる
- 謝罪でも旅行の計画変更でも使える、フォーマル度を選ばない万能さが持ち味
『モダンファミリー』S01E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。ハワイに着いてからの家族のやり取りのあと、フィルがクレアに向かって、二人が新婚旅行でハワイに来るはずだった昔話を切り出す場面です。あっさりと理由を明かすクレアの返しにも注目です。
Phil: Actually, Claire and I were supposed to go to Hawaii for our honeymoon.
(実は、クレアと僕は新婚旅行でハワイに来るはずだったんだ。)Claire: Mm-hmm.
(ええ。)Phil: But something else came up.
(でも、別のことが起きちゃってね。)Claire: I got pregnant with Haley.
(私、ヘイリーを妊娠したのよ。)Phil: My bad!
(俺のせいだね!)Modern Family Season1 Episode23 (Hawaii)
シーン解説と心理考察
ハワイでのひとときを終えたフィルが、クレアに向かって「実は、二人でハワイに新婚旅行に来るはずだったんだ」と切り出します。相槌のあと、フィルが「でも、別のことが起きちゃってね」と持って回った言い方で続けると、クレアは「私、ヘイリーを妊娠したのよ」とあっさり事情を明かします。深刻になりかねない話題を、フィルが遠回しな言葉でぼかし、クレアが淡々と事実だけを告げるという役割分担に、この夫婦らしい呼吸の合い方がうかがえます。
フィルの「俺のせいだね!」という締めくくりには、責任を認めつつも重くしない身のこなしが見て取れます。深刻に謝るのではなく、あっけらかんと自分の非を認めてしまうところに、フィルらしい軽やかさがにじみます。過ぎたことを今さら悔やむでもなく、軽い調子で流す様子から、二人の関係の気安さが伝わってきます。新婚旅行が流れた理由を、深刻な事情としてではなく、家族が増えた喜ばしい出来事として振り返っている点も、この夫婦らしい前向きさをよく表しています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
水面下に沈んでいたものが、ぽこっと浮かび上がってくる(come up)イメージを思い浮かべてみましょう。予定になかった別の出来事(something else)が、思わぬタイミングで表面に浮かび上がってくる感覚が、「予定外のことが起きる」という意味につながります。水中に何が沈んでいるかまでは説明せず、浮かび上がってきたという結果だけを伝えるところが、この表現の便利さのもとになっています。フィルが新婚旅行の代わりに持ち出した「別のことが起きちゃってね」という一言も、まさにその浮上のイメージそのものでした。外に出ていなかった事情がふいに表に出てくる様子を思い浮かべておくと、似た場面に出会ったときにすっと言葉が浮かんでくるはずです。
例文で覚える「something comes up」
予定変更を伝えるときに幅広く使えるsomething comes upを、3つの例文で確認していきましょう。
I was going to call you back, but something came up at work.
(折り返し電話するつもりだったんだけど、仕事で急用が入ってしまって。)
約束を守れなかった理由を伝える場面です。at workを添えることで、どの場面で予定が崩れたのかが伝わりやすくなります。
We had to cancel the trip because something came up with my parents.
(両親のことで急用ができて、旅行をキャンセルしなければならなかった。)
家族の事情で計画が変わったことを説明する場面です。理由をぼかしつつも深刻さは伝わる言い方です。
A: Are you still coming to the party tonight?
B: I’m not sure. Something might come up.
(A:今夜のパーティー、まだ来られそう?)
(B:わからないな。急用が入るかもしれないから。)
参加の可否をあいまいに答える会話です。mightを添えることで、まだ確定していない予定変更の可能性を残せます。
あわせて覚えたい関連表現
crop up
(ふいに生じる)
something comes upとほぼ同じ「予定外の事態が発生する」場面で使えますが、crop upはトラブルや問題が突発的に生じるニュアンスがやや強く出ます。
pop up
((画面や場所に)ふいに現れる)
something comes upが抽象的な出来事の発生を指すのに対し、pop upは具体的なもの・人が不意に目の前に現れる場面でよく使われる表現です。
a change of plans
(予定変更)
something comes upが原因となる出来事に焦点を当てた動詞表現であるのに対し、a change of plansはその結果としての予定変更を指す名詞表現です。
Note|something comes up / crop up / pop upの、ニュアンスの違い
something comes upと似た形で「何かが予定外に生じる」ことを伝える表現には、crop upやpop upもあります。この3つ、実は指しているものが少しずつ違います。
something comes upは、約束や予定が変更になった理由をぼかして伝えるときに使う、もっとも汎用的な言い方です。crop upは、A problem cropped up during the meeting.のように、トラブルや課題が思いがけず表面化する場面でよく選ばれ、something comes upよりも「厄介な話が出てきた」という響きが強くなります。一方pop upは、A new restaurant popped up near my house.のように、抽象的な出来事だけでなく、具体的なもの・人が不意に現れる場面にも使え、3つの中でもっとも守備範囲が広い表現です。ニュース記事で新しい問題が浮上したことを伝えるときにはcrop upが選ばれやすく、日常会話で予定変更をやんわり伝えるときにはsomething comes upが自然に選ばれるというように、場面によって使い分けられています。
フィルが新婚旅行の中止を「別のことが起きちゃってね」とぼかして伝えた場面も、深刻な事情を詳しく説明せずに済ませるsomething comes upらしい使い方でした。何が起きたのかを聞き手がすぐに察してくれる関係性だからこそ成り立つ、婉曲な言い方とも言えます。
何をどこまで話すかは、この一言の選び方次第で変わってきます。
まとめ|フィルの遠回しな一言から学ぶ、伝え方の呼吸
something comes upは、予定が変わった理由を詳しく説明せずに、事実だけをやんわり伝えられる表現です。何が起きたのかをぼかしたまま話を進められる分、深刻になりすぎずに会話を続けられます。
新婚旅行の中止という話題を、フィルが持って回った言い方で切り出し、クレアがあっさり真相を明かすという掛け合いには、詳しく話さなくても通じ合える夫婦の呼吸が表れていました。昔の出来事をわざわざ深刻に語り直さず、軽い調子で流せる関係性そのものが、この一言に重なっています。
約束を変更しなければならない場面に出会ったときは、表現の引き出しに加えてみてください。


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