海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かに軽くからかわれて、ちょっとした仕返しをしたくなる場面が、日常には時々あります。
そんな軽い仕返しの気持ちにぴったりの「get back at someone」を、『モダンファミリー』シーズン1第23話の中盤、一人で出かけていたミッチェルが戻ってきて、キャメロンに大げさな話を披露する場面から、一緒に見ていきましょう。
「get back at someone」の意味とニュアンス
get back at someone
意味:人に仕返しする、意趣返しをする
get back at someoneは、自分がされたことに対して同じように仕返しをするという意味の口語表現です。get back(戻る、返す)にat someone(誰かに対して)が続くことで、「相手に対して返す」という報復の対象がはっきり示されます。日本語の「仕返し」と同じく、された側が黙っていないという能動的な態度を表す言い回しでもあります。
深刻な復讐というよりも、友人や家族の間で交わされる軽いいたずらや、ちょっとした仕返しのエピソードを語るときによく使われるカジュアルな表現です。仕返しの手段は、悪ふざけから軽い皮肉まで幅広く、その重さの度合いは前後の文脈によって変わります。for以下に理由を添えることで、何に対する仕返しなのかを一言で説明できるのも、この表現の使いやすさにつながっています。
【ここがポイント!】
- 「get back at someone」の核は、受けた一撃を同じ相手に打ち返すイメージ
- 深刻な復讐ではなく、軽いいたずら程度の仕返しにも使えるカジュアルさが持ち味
- atの後ろに仕返しの相手を置くことで、誰に対する仕返しかが一目でわかる
『モダンファミリー』S01E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。一人で出かけていたミッチェルが戻ってくると、有名ミュージシャンに会ったという大げさな話を披露します。半信半疑のキャメロンに対して、ミッチェルが本音を明かす場面です。
Cameron: Did that really happen?
(それ、本当にあったことなの?)Mitchell: No, that didn’t really happen. I’m just trying to get back at you for bailing on me.
(いや、本当は起きてないよ。君が僕を置いていったことへの、仕返しをしようとしてるだけなんだ。)Cameron: I’m sorry. If it means anything, we’ve been relaxing here doing nothing. Maybe you can join us tomorrow.
(ごめんね。慰めになるかわからないけど、僕たちはここでずっと何もせずのんびりしてたんだ。よかったら明日は一緒にどう?)Mitchell: No, I can’t- I just don’t- I don’t find relaxing that relaxing.
(いや、無理だ、その、僕は、のんびりするのがそんなにのんびりできることだとは思えないんだ。)Modern Family Season1 Episode23 (Hawaii)
シーン解説と心理考察
外出から戻ってきたミッチェルの話を聞いて、キャメロンは半信半疑の様子で「それ、本当にあったことなの?」と尋ねます。あまりに出来すぎた話に、まず疑ってかかるところがキャメロンらしい反応です。ミッチェルはあっさり「本当は起きてないよ」と認めたうえで、「君が僕を置いていったことへの、仕返しをしようとしてるだけなんだ」と本音を明かします。有名人に会ったという誇張した話でキャメロンを困惑させることで、置いていかれた不満をやんわりと仕返しするという、間接的な感情表現がミッチェルらしさを物語っています。
キャメロンが「慰めになるかわからないけど、ここでずっと何もせずのんびりしてたんだ」と謝ると、ミッチェルは「僕は、のんびりするのがそんなにのんびりできることだとは思えないんだ」と言いよどみながら返します。休暇の過ごし方に対する二人の温度差が、ちょっとした仕返しのエピソードを通じてユーモラスに浮かび上がる場面です。誇張した話をわざわざ用意してまで気持ちを伝えようとするあたりに、素直に不満を口にしにくいミッチェルらしい遠回しさも見て取れます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
ボールを打ち返す(get back)ように、相手から受けた一撃を、自分も同じように打ち返すイメージを思い浮かべてみましょう。at someoneが「その相手めがけて」という方向を示し、打ち返す先がはっきりする感覚が、「仕返しする」という意味につながります。誇張した話でキャメロンを困惑させたミッチェルの一手も、置いていかれた不満をそのまま打ち返すような、ちょっとした一撃でした。深刻な打球ではなく、あくまで軽いラリーを楽しむような感覚で受け止めておくと、この表現の持つ軽さがつかみやすくなります。ボールが相手のコートに戻っていく様子を思い浮かべておくと、似た場面でこの表現がすっと浮かんでくるはずです。
例文で覚える「get back at someone」
友人や家族の間だけでなく、職場でのちょっとしたやり取りでも使われるget back at someoneを、3つの例文で確認していきましょう。深刻な出来事ではなく、あくまで日常のちょっとした一コマとして使われる場面を想定しています。
She ate my leftover cake, so I got back at her by finishing her coffee.
(彼女が僕の残りのケーキを食べたから、彼女のコーヒーを飲み干して仕返しした。)
友人間の軽いいたずらを語る場面です。ate my leftover cakeのように具体的な原因を添えると、いたずらの経緯が伝わりやすくなります。
She got back at her noisy coworker by playing music at her desk the next day.
(騒がしい同僚への仕返しに、彼女は翌日デスクで音楽をかけた。)
職場での軽い言い返しを語る場面です。forの後ろに理由を置く代わりにbyで手段を示す形で、何に対する仕返しかがはっきりします。
A: Why did you prank him like that?
B: I was just trying to get back at him for last week.
(A:なんで彼にそんないたずらをしたの?)
(B:先週の仕返しをしようとしただけだよ。)
いたずらの理由を説明する会話です。for last weekのように過去の出来事だけを示すことで、詳しく話さずに済ませる軽さが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
get even with someone
(人と対等になる、仕返しして帳消しにする)
get back at someoneが単に仕返しをする行為を指すのに対し、get even withはされたことと釣り合いを取って帳消しにするという対等さのニュアンスが強く出ます。
pay someone back
(人に借りを返す、仕返しする)
pay someone backは金銭的な返済にも使えますが、比喩的に仕返しの意味でも使われ、get back at someoneより直接的で強めの響きになることがあります。
take revenge on someone
(人に復讐する)
get back at someoneが軽い仕返しやいたずら程度にも使える口語表現なのに対し、take revenge onはより深刻な復讐のニュアンスが強くなります。
Note|同じget backでも意味が変わる、後ろに続く語の違い
get backという同じ2語でも、後ろに続く語が変わるだけで、意味はまったく別物になります。
get back toは、I’ll get back to you tomorrow.のように「連絡し直す」「後で対応する」という意味で使われ、ビジネスメールでも頻出の表現です。一方get back at someoneは今回見てきたとおり「仕返しする」という報復の意味になり、atが持つ「〜に対して」という方向性が報復の対象を示しています。さらにget back withになると、She got back with her ex.のように「(別れた相手と)よりを戻す」という意味に変わり、同じget backという核から、連絡・報復・復縁というまったく異なる3つの結末が枝分かれしていきます。前置詞ひとつで意味が大きく変わるこの仕組みは、句動詞学習でつまずきやすいポイントのひとつでもあります。
ミッチェルが口にした「仕返しをしようとしてるだけなんだ」というget back at youも、このatが持つ報復の方向性があってこそ成り立つ言い方でした。同じget backという骨組みを持ちながら、後ろに何を続けるかだけでここまで話の展開が変わるというのは、句動詞ならではの面白さです。
たった1語の違いが、伝わる意味を大きく変えてしまうのです。
まとめ|大げさな作り話に込められた、ミッチェルなりの仕返し
get back at someoneは、されたことをそのまま相手にやり返すという、口語ならではの仕返し表現です。深刻な復讐ではなく、友人や家族の間で交わされる軽いいたずらの場面でよく使われます。
置いていかれた不満を、誇張した作り話でキャメロンを困惑させることで晴らそうとするミッチェルの行動には、直接文句を言うのではなく遠回しに気持ちを伝えようとする性分が表れています。作り話だと明かしたあとも険悪にならずに会話が続くところに、ちょっとした仕返しで済ませられる二人の関係の近さも感じられます。
ちょっとしたいたずらで気持ちを晴らしたくなる場面は、身近な人間関係の中にもきっと見つかるはずです。


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