海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
楽しい時間ほどあっという間に過ぎてしまい、「もう少しゆっくり進んでくれたらいいのに」と思った経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな気持ちにぴったりの「slow down」を、『モダンファミリー』シーズン4第11話の終盤、新年のあいさつを交わすヘイリーとアレックスが、弟への思いを打ち明け合うシーンから、一緒に見ていきましょう。
「slow down」の意味とニュアンス
slow down
意味:ペースを落とす、(進み方を)遅くする
slow down は、速さや進み方を落とすという意味の表現です。slow は「遅い」、down は「下へ」という意味で、速さを示すメーターの目盛りが下へ下がっていくイメージが、そのまま意味になっています。
型は大きく3つに分かれます。ひとつめは、自分が主語で「ペースを落とす」という自動詞の使い方です。I’ll slow down. のように、目的語を取りません。ふたつめは、物事を主語や目的語にして「進み方を遅くする」という他動詞の使い方です。今回のシーンの slow down time のように、あとに目的語を続けて「時間の流れを遅くする」と言えます。みっつめは、Slow down! と命令形で使い、「落ち着いて」「ゆっくりお願い」と相手に促す使い方です。
今回は、I wish I could just slow down time と、wish を使って願望を表す形で出てきます。I wish I could は「〜できたらいいのに」という、実際にはできないことへの願望を表す形です。時間の流れを遅くするという、現実にはできないことだからこそ、この形が合っています。
日本語では「ペースを落とす」「ゆっくりにする」「減速する」など、場面に合わせて訳し分けます。乗り物の速さにも、話す速さにも、仕事の進み方にも使える点が、この表現の守備範囲の広さです。時間を目的語にする場面では、「時間が止まればいいのに」よりも一段控えめな「ゆっくり流れてほしい」という感覚に近い表現になります。
【ここがポイント!】
- 「slow down」の核は、速さのメーターが下へ下がっていくイメージ
- 自分のペースを落とす、物事を遅くする、相手に落ち着いてと促す、の3つの型がある
- I wish I could と組み合わせると、実現しない願いを表せる
『モダンファミリー』S04E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーが、時間の流れを遅くできたらいいのにと願う理由を、弟への思いとともに語る場面です。同じ気持ちを打ち明けるアレックスの返事と、そのあとの新年のあいさつ、ふたりのやりとりが続いていくところまで、会話の流れに注目です。
Haley: Like right now I wish I could just slow down time, ‘cause I am so not ready for him to grow up yet.
(今この瞬間だって、時間の流れを遅くできたらいいのにって思う。だって、弟が大きくなる心の準備が、私全然できてないんだもん。)Alex: I know. I want him to stay our stupid little brother. Hey, happy New Year.
(わかる。ずっと私たちのおバカな弟のままでいてほしいよね。ねえ、あけましておめでとう。)Haley: You too.
(あなたもね。)Alex: Oh, my God, what is in this?
(うわ、これ何が入ってるの?)Haley: Oh. Sorry. That one’s mine.
(あ。ごめん。それ私のなの。)Modern Family Season4 Episode11 (New Year’s Eve)
シーン解説と心理考察
ヘイリーは、いまこの瞬間にも時間の流れを遅くできたらいいのにと願います。その理由として挙げているのは、弟が大きくなる心の準備が、まだ自分にはできていないという気持ちです。slow down が時間そのものを対象にしていることで、過ぎていくものを引き留めたいという願いの強さが伝わってきます。
アレックスは「わかる」と受け止めて、ずっと「おバカな弟」のままでいてほしいと打ち明けます。stupid という言葉は、ここでは悪口ではなく、親しみを込めた呼び方として響きます。ヘイリーの願いに、アレックスが同じ温度で応えている点が見どころです。
しんみりした空気は、アレックスの「あけましておめでとう」で切り替わります。ヘイリーが同じあいさつを返したあと、アレックスは「これ何が入ってるの?」と驚き、ヘイリーが「それ私のなの」と謝ります。弟への思いを語ったあとに、すぐ軽いやりとりへ移るこの落差が、ふたりの距離の近さをやわらかく見せています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
走っている車のアクセルを、ゆっくり緩めていく場面を思い浮かべてみましょう。ペダルから力を抜くと、速度計の針が少しずつ下がって、景色の流れる速さも落ちていきます。slow が「遅い」、down が「下へ」で、針が下がる動きそのものが slow down です。
ヘイリーが願ったのは、時間という景色の流れる速さを、アクセルを緩めて落とすことでした。弟が大きくなっていく時間が、目の前を通り過ぎていく景色のように速く感じられたのだと重ねてみると、slow down time という言い方が、映像として思い浮かびやすくなります。
例文で覚える「slow down」
早口の相手への頼みごと、運転中の注意、時間への願いと、3つの型を例文で確認していきましょう。
Please slow down. I can’t follow what you’re saying.
(ゆっくりお願いします。話についていけなくて)
早口の相手にお願いする場面です。命令形の Please slow down. は、「ペースを落として」と丁寧に頼む言い方になります。
A: Slow down! This road is icy.
B: Sorry, you’re right. I’ll slow down.
(A:スピードを落として! この道、凍ってるから)
(B:ごめん、そうだね。落とすよ)
ドライブ中の往復会話です。Aの命令形と、Bの I’ll slow down. という自動詞の使い方が、対になっています。
I wish I could slow down time and enjoy this moment a little longer.
(時間の流れを遅くして、この瞬間をもう少し味わえたらいいのに)
名残惜しい時間を振り返る場面です。今回のシーンと同じく、I wish I could に slow down time を続けた形で、実現しない願いを表しています。
あわせて覚えたい関連表現
speed up
(速める、加速する)
slow down と反対の動きです。down が速さのメーターを下げるのに対し、up が上げるので、down と up の向きで対にして覚えられます。
take it slow
(ゆっくり進める、焦らず行く)
take it slow は、物事の進め方を意識的にゆっくりにする言い方です。slow down が「今の速さを落とす」動きを指すのに対し、こちらは進め方の方針を表します。
stop time
(時間を止める)
slow down time が時間の流れを遅くするのに対し、stop time は完全に止めます。I wish I could に続けると、どちらも実現しない願いを表せますが、止めるほうが願いの強さは大きくなります。
Note|slow down の3つの型と語順
slow down は、主語と目的語の関係によって、3つの型に分けられます。型を意識すると、文の形が読み取りやすくなります。
ひとつめは、自動詞の型です。I’ll slow down. のように、主語自身のペースが落ちます。目的語は取りません。ふたつめは、他動詞の型です。The new rules will slow down the approval process. のように、あとに目的語を続けて、物事の進み方を遅くします。今回のシーンの slow down time も、この型です。みっつめは、命令形の型です。Slow down! のように、相手に「落ち着いて」「ゆっくり」と促します。
他動詞の型には、語順の決まりもあります。目的語が名詞なら、slow down the process とも slow the process down とも言えます。目的語が it や them のような代名詞のときは、slow it down のように、間にはさむ形になります。slow down it の語順は使えません。
ヘイリーの slow down time は、名詞の目的語 time が down のあとに来る形でした。もし代名詞にするなら、I wish I could slow it down. となります。型と語順をあわせて見ると、シーンの一文が、文法の点でも整理できます。
まとめ|時間の流れを遅くできたなら
slow down は、速さや進み方を落とす表現です。車のアクセルを緩めるように、速さの目盛りが下がっていくイメージで意味がつかめます。
自分のペースを落とす、物事の進み方を遅くする、相手に落ち着いてと促すという3つの型があり、目的語に代名詞を取るときは間にはさむ語順になります。早口の相手に頼むときも、運転中の注意にも、時間への願いにも、同じ表現で応じられます。
弟への思いを語ったヘイリーの一言には、過ぎていく時間を引き留めたいという気持ちがにじんでいました。会話のレパートリーに加えて、ゆっくり進んでほしい場面を思い浮かべながら、使いどころを探してみてください。


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