海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
長く続いてきた関係を振り返るとき、うまくいかなかった時期にも触れたうえで、それでも伝えたい気持ちを口にする人がいます。
そこで使われる「ups and downs」を、『モダンファミリー』シーズン10第5話の後半、ミッチェルが父のジェイに、息子でいられてよかったと伝える場面から、一緒に見ていきましょう。
「ups and downs」の意味とニュアンス
ups and downs
意味:浮き沈み、山あり谷あり
ups and downsは、人生や人間関係、仕事などに訪れる良い時期と悪い時期を、まとめて言い表す表現です。upは「上がること」、downは「下がること」を表す名詞で、上がり下がりを並べることで、状況が良くなったり悪くなったりした全体を一言にしています。
どちらも複数形のsが付いているのは、上がり下がりが何度もあったことを表すためです。Life is full of ups and downs.のように、be full of ~と組み合わせて「浮き沈みだらけ」という言い方もできます。使い方としては、have (one’s) ups and downsの形が基本になります。シーンのwe’ve had our ups and downsのように、所有格のourやits、myを入れて「誰の浮き沈みか」を示し、完了形のhaveで「これまでにあった」という経過を表します。
後ろにbutをつなげるのも使いやすい形です。ups and downsで悪い時期にも触れておいてから、butのあとに伝えたい前向きな言葉を置くと、過去の波を認めたうえで気持ちを伝える文になります。ups and downsそのものに良し悪しの評価は含まれておらず、波があったという事実を並べているだけなので、前後の言葉で温度が決まります。
【ここがポイント!】
- 「ups and downs」の核は、良い時期と悪い時期を上がり下がりでまとめて表すこと
- have our ups and downsの形で、これまでの経過を振り返る言い方になる
- butのあとに前向きな言葉を続けると、波を認めたうえでの気持ちが伝わる
『モダンファミリー』S10E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアが父のジェイに「私たち二人ともパパが大好きよ」と伝えると、ミッチェルが続きます。ミッチェルは「山あり谷ありだったけど、あなたの息子でいられて本当によかった」と言葉にします。ここでのups and downsは、ミッチェルの一言の中で過去を振り返る役目を担っています。
Claire: Oh, Daddy. You already know this, but I want to say it again. We both love you so much.
(ああ、パパ。もう分かってると思うけど、もう一度言いたいの。私たち二人ともパパが大好きよ。)Mitchell: Yeah. And I know we’ve we’ve had our ups and downs, but I’ve loved being your son.
(ああ。それに、僕たちには山あり谷ありだったけど、あなたの息子でいられて本当によかったよ。)Claire: Hmm.
(うーん。)Jay: Are you buttering me up ‘cause you ate my sandwich?
(まさか俺のサンドイッチを食ったから、ご機嫌取りをしてるんじゃないだろうな?)Modern Family Season10 Episode5 (Good Grief)
シーン解説と心理考察
クレアの発言には、You already know this, but I want to say it again.という前置きがあります。すでに伝わっているはずのことを、もう一度言葉にして重ねる形で、butの前後に話の流れが作られています。Daddyという呼びかけは、クレアが父に向けて話していることを示していて、日本語では「パパ」と訳せます。
ミッチェルの一言は、同じ型の言い方になっています。I know we’ve had our ups and downsで過去の波を認め、butのあとにI’ve loved being your sonと続けるので、前半がうまくいかなかった時期の存在を受け止め、後半が息子でいられたことへの思いを語る形です。we’ve we’veと繰り返されているのは言いよどみで、文の意味は変わりません。
I know …という出だしにも働きがあります。「分かっている」と先に認めてからbutで本題へ進むので、波があったことを隠さず、そのうえで言いたいことを言う順序の文です。Yeah. And …とクレアの言葉を受けてから始まる点も、二人の言葉が一つの流れでつながっていることを示しています。
その後のジェイは、Are you buttering me up ‘cause you ate my sandwich?と、サンドイッチの話題に戻ります。クレアとミッチェルが気持ちを言葉にしたあとで、ジェイは別の話題へ返していて、やり取りの温度が一段変わります。短いHmm.を挟んだ会話の流れの中で、ups and downsは過去を振り返る一言として響きます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
upsは上り坂、downsは下り坂。山道を歩き終えた道のり全体が、ups and downsの絵です。上りも下りも越えてきたという、振り返りの視点が含まれます。坂は一つではなく何本もあったので、どちらも複数形です。
所有格のourは、その道のりが「僕たちの」ものだと二人の関係に結びつける働きをします。平らな道だけではなかったけれど、その道を歩いてきた、と振り返る言葉として読むと、後ろのbut以下も自然に受け取れます。
例文で覚える「ups and downs」
人間関係、会社の歩み、日々の近況報告の3つの場面で、波があったことを認める言い方を押さえます。
Every marriage has its ups and downs.
(どんな結婚生活にも、山あり谷ありがある。)
夫婦関係についての一般論です。主語に合わせてitsを付けると、「その関係なりの浮き沈み」という意味になります。
The company has had its ups and downs over the years.
(その会社は、長年のあいだに浮き沈みを経験してきた。)
会社の歩みを説明する場面です。has hadの完了形で、これまでに何度も波があったことを表しています。
A: How’s your new job?
B: It has its ups and downs, but I’m learning a lot.
(A:新しい仕事はどう?)
(B:山あり谷ありだけど、学ぶことは多いよ。)
近況を尋ねられて答える会話です。仕事のように毎日続くことにも使えます。butのあとに前向きな言葉を置いて、波があることを認めつつ全体を明るく締めています。
あわせて覚えたい関連表現
highs and lows
(好調と不調、喜びと苦しみ)
気分や調子の振れ幅を言うときに使う表現で、everyone has highs and lowsのように一般論にも使えます。ups and downsが出来事の浮き沈み全般に使えるのに対し、highs and lowsは高い気分と低い気分の差に焦点があります。
a rough patch
(苦しい時期)
悪い時期だけを指す表現です。ups and downsは良い時期も含めた波全体を言うので、a rough patchは波の下がっている部分だけを切り取った言い方になります。
peaks and valleys
(山と谷、絶好調と絶不調)
山と谷の比喩がはっきり見える言い方です。ups and downsと同じ構造で、変動の大きさを強調したいときに合います。
Note|「上がる」と「下がる」の二語で、良い時期と悪い時期をまとめる
ups and downsは、upとdownという反対の方向を表す二語を並べた、構造のはっきりした表現です。文字どおりの意味と比喩の関係を押さえると、意味が覚えやすくなります。
upは「上がる」、downは「下がる」という位置の変化を表す語で、ここでは高さが「調子や状況の良さ」に置き換わっています。上がっているときは調子が良い時期、下がっているときは悪い時期というわけです。それを複数形のsで並べるので、一度きりではなく、上がったり下がったりを繰り返した全体が一語のように読めます。日本語に訳すときは、場面で言葉を選びます。たとえばSales have their ups and downs.なら「売上には波がある」、Our friendship has had its ups and downs.なら「僕たちの友情には山あり谷ありだった」と、主語に合わせて言葉を選べます。会社や景気のように状況の上下を言うなら「浮き沈み」、長い付き合いや人生のように道のりを振り返るなら「山あり谷あり」が収まりよく、どちらも良い時期と悪い時期を両方含む点は同じです。
ミッチェルのwe’ve had our ups and downsは、二人で過ごしてきた道のりを振り返る言い方なので、「山あり谷あり」と訳すとしっくりきます。
二語の向きが逆だと分かれば、意味は自然に読めてきます。
まとめ|山も谷も越えてきた道のりを、一言で
ups and downsは、良い時期と悪い時期をまとめて言い表す表現です。have our ups and downsの形で、これまでの経過を振り返る言い方になります。
butのあとに前向きな言葉を続けると、波を認めたうえで気持ちを伝える文になり、近況の報告から長い付き合いの振り返りまで幅広く使えます。良い時期と悪い時期の両方を含むので、うまくいかなかった過去を隠さずに話したいときにも合います。使ってみたい場面を思い浮かべながら、会話のレパートリーに加えてみてください。


コメント