「I can’t ignore what he’s done.」に見る、引き受けながら譲れない一線を示す can’t|『ホワイトカラー』S03E04で学ぶ英会話

『White Collar』コラム: 「I can't ignore what he's done.」に見る、引き受けながら譲れない一線を示す can't|『ホワイトカラー』S03E04で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

今回は『ホワイトカラー』シーズン3第4話から、デトロイトのギャングに呼び出されたモジーを、ピーターが保護しようとする場面を取り上げます。「そんなことはできない」という抗議に can で応じる返しから、頼みを引き受けつつ can’t で一線を引く答えまで、短い助動詞の応酬が続きます。

同じ can と can’t が、立場の強さや譲れない線をどう伝えるのかを順に見ていきます。

目次

「Oh, I can.」:相手の can’t を can で打ち返す

ニールとモジーのところにピーターが現れ、デルーカがモジーとの面会を迫っていることが話に出ます。用件を尋ねられたモジーは、面会には行くと言い張ります。

Mozzie: I-I’m a man of many secrets, but I am going to that meeting.
(私は秘密の多い男だ。だが、その会合には行く。)
Peter: Absolutely not. De Luca’s dangerous.
(絶対にだめだ。デルーカは危険だ。)
Mozzie: I-I’d like to see you try and stop me.
(止められるものなら、止めてみるがいい。)
Peter: Consider yourself a protected witness.
(保護証人になったと思え。)
Mozzie: You can’t do this!
(そんなことはできないはずだ!)
Peter: Oh, I can.
(いや、できるさ。)

White Collar Season3 Episode4 (The Dentist of Detroit)

モジーの I’d like to see you try and stop me. は、would like to(〜したい)という丁寧な形を使いながら、「止められるものなら止めてみろ」という挑発になる定型です。try and stop は try to stop のくだけた形で、会話ではよく使われます。丁寧な形で相手の力を試すところに、皮肉の効いた強気さが表れています。

ピーターは言い返す代わりに、Consider yourself a protected witness. と相手の立場を宣言します。Consider yourself ~ は「自分を〜だと思え」が直訳で、相手の同意を待たずに新しい立場を既成事実として伝えるときに使われます。Consider yourself lucky.(運が良かったと思え)のように、日常会話でもよく耳にします。

続く You can’t do this! の can’t は、能力ではなく「そんなことは許されない」という許可・権限の否定です。これに対するピーターの Oh, I can. は、後ろの do this を省き、相手と同じ助動詞だけで返した形です。説明を足さずに can の一語で権限があることを示すので、短いほど言い返す余地がなくなります。

「I can… But I can’t」:引き受けと一線を並べる

ピーターが改めてデルーカの用件を尋ねると、モジーが止めるのも聞かず、ニールはモジーこそ「デトロイトのデンティスト」だと明かします。抗議するモジーに、ニールは君を守るためだと謝ります。驚くピーターと反発するモジーのやり取りを挟んで、ピーターはニールに向かってこう切り出します。

Peter: Neal, the Dentist is linked to hundreds of crimes going over decades — some really bad stuff.
(ニール、デンティストは何十年にもわたって何百件もの犯罪に結びついてる。本当にたちの悪いものもな。)
Neal: Mozzie’s a lot of things, but he’s not bad. Can you protect him?
(モジーにはいろいろあるけど、悪い人間じゃない。守ってやれる?)
Peter: I can… But I can’t ignore what he’s done.
(できる……だが、あいつがやったことは見過ごせない。)

White Collar Season3 Episode4 (The Dentist of Detroit)

ニールの Mozzie’s a lot of things, but he’s not bad. は、「〜にはいろいろ(問題も)あるが、〜ではない」と、相手の指摘を丸ごと否定せずに受け止めてから、核心だけを守る擁護の型です。a lot of things は欠点を具体的に挙げずに「いろいろな面がある」とぼかす語句で、ピーターの指摘に正面から反論していないことが分かります。

ピーターの答えは、I can… で頼みを引き受け、But I can’t ignore ~ で限界を添える二段構えです。ignore は日本語の「無視する」よりも、「分かっていながら見過ごす、なかったことにする」という含みで使われることが多い動詞です。what he’s done は「彼がしてきたこと」という名詞のまとまりで、現在完了の has done を使うことで、過去の行為が今も向き合うべき問題として残っている感覚が出ます。

前半の Oh, I can. が権限を押し出す can だったのに対し、ここでは can で協力を約束したうえで、can’t で立場上の線を示しています。同じ助動詞の肯定と否定を並べるだけで、「守る」と「見逃さない」が両立すると伝えている点が見どころです。

まとめ|can と can’t で立場と一線を示す

I’d like to see you try、Consider yourself ~、Oh, I can.、I can… But I can’t ~ を見てきました。can で権限や協力を示し、can’t で譲れない線を添えると、短くても立場のはっきりした返事になります。

次回も『ホワイトカラー』の会話から、ひと言に込められた駆け引きを読み解いていきましょう。

この回のほかの場面は、別のコラムやフレーズ記事でも取り上げています。

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