海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン5第1話で、ロスは披露宴の途中で姿が見えなくなったエミリーを探しています。部屋に戻ったロスと、そこにいたモニカとチャンドラーの会話には、見えないことを推し量る英語が続けて出てきます。
「〜したはずがない」と「〜かもしれない」は、日本語でも確信の強さがまったく違います。英語ではこの違いをどう言い分けるのか、場面の流れに沿って見ていきます。
「You couldn’t have looked everywhere」過去の可能性を打ち消す推量
ロスとエミリーの部屋に、ロスが戻ってきます。モニカとチャンドラーとのやりとりはこうです。
Monica: You didn’t find her?
(見つからなかったの?)
Ross: No. I’ve looked everywhere.
(ああ。どこも全部探したんだ。)
Chandler: You couldn’t have looked everywhere or else you would’ve found her.
(全部探したはずないだろ。じゃなきゃ、見つかってるはずだ。)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
I’ve looked everywhere. は現在完了で、「探せるところはもう全部探した」と、ここまでの行動が終わったことを伝えています。
チャンドラーの couldn’t have + 過去分詞 は、過去のことについて「〜したはずがない」と打ち消す推量です。根拠をもって可能性を否定するときに使われ、確信の度合いはかなり強めです。続く or else は「さもなければ」、would’ve found は「見つけていたはずだ」という意味で、事実とは逆の場合を想像する形になっています。
同じ「助動詞+have+過去分詞」の形を並べると、確信の度合いの違いが見えてきます。
| 形 | 意味 | 確信の度合い |
|---|---|---|
| must have looked | 探したに違いない | 強い(肯定) |
| might have looked | 探したかもしれない | 弱い |
| couldn’t have looked | 探したはずがない | 強い(否定) |
チャンドラーは everywhere を文字どおりに受け取り、「全部探したなら見つかっているはずだ」という理屈で返しています。ロスの言う everywhere は「思いつく限りの場所」という意味で使われており、その言葉の幅を狭く取った返しになっています。
「For all I know」分からないまま可能性を挙げる
少しやりとりが続いたあと、ロスは自分の考えを口にします。
Ross: No. For all I know, she’s trying to find me, but couldn’t because I kept moving around.
(いや。もしかしたら、エミリーは俺を探してるのに、俺があちこち動き回ってたから見つけられなかったのかもしれない。)
Ross: No, from now on, I’m staying in one place. Right here.
(いや、これからは一か所から動かない。ここでな。)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
For all I know, ~ は「ひょっとすると〜かもしれない」という意味で、自分には確かなことが分からないと認めたうえで、可能性の一つを挙げる言い方です。
字面から「私の知る限り」と訳したくなりますが、その意味なら As far as I know が近いとされます。for all I know は「分からないから、〜という可能性だってある」という向きで使われることが多い表現です。たとえば For all I know, he’s still at the office. なら「ひょっとしたら、まだ会社にいるのかもしれない」という意味になります。
後半の I kept moving around の keep ~ing は「〜し続ける」で、自分があちこち動き回っていたことを、見つけてもらえなかった理由として挙げています。
チャンドラーの couldn’t have が「ありえない」と可能性を閉じる言い方なのに対して、ロスの for all I know は可能性を開く言い方です。同じ「見つからない」という状況について、推量の強さが正反対の二つの形が並んでいます。
from now on は「これからは」、Right here. は「まさにここで」と場所を強める一言です。ロスはそのまま Right here. と続けています。
「That’s cool.」頼みを引っ込める返しと、言い直し
そろそろ帰ろうという流れになったところで、ロスは2人に頼みます。
Ross: You guys mind staying here for a while?
(2人とも、しばらくここにいてくれないか?)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
You guys mind ~ing? は Do you guys mind ~ing? の Do を落とした、くだけた頼み方です。Do you mind ~? は「〜するのは嫌ですか?」と聞く形なので、引き受けるときは No, not at all. のように否定で答えるのが基本とされます。この場面の返事は yes でも no でもなく、朝早い便があると断りかけるところから始まり、会話はこう続きます。
Chandler: Yeah, it’s a very large plane.
(そう、すごく大きい飛行機なんだ。)
Ross: That’s cool.
(そっか、いいよ。)
Chandler: But we’ll stay here with you.
(でも、ここで一緒にいるよ。)
Ross: Thanks, guys!
(ありがとな、2人とも!)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
チャンドラーの it’s a very large plane は、断る理由として意味をなさない付け足しで、冗談の働きをしています。ロスの That’s cool. は「それならいいよ」と頼みを引っ込める返しです。この cool は「かっこいい」ではなく「問題ない」という意味で、That’s fine. や No problem. に近い働きをしています。チャンドラーは But で前の流れを打ち消し、we’ll stay と残ることを伝え直しています。
まとめ|可能性を閉じる推量と、開く推量
You couldn’t have looked everywhere は可能性を打ち消す強い推量、For all I know は分からないまま可能性を挙げる言い方でした。頼みを引っ込める That’s cool. と、But で言い直す流れもあわせて見てきました。
推量の強さに耳を傾けながら観ると、部屋での短いやりとりの英語がはっきり聞き分けられるようになります。
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