海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン5第8話では、感謝祭のごちそうのあと、仲間たちが昔の感謝祭の思い出を次々に語ります。その中で、モニカだけは自分の話をなかなか始めようとしません。仲間にせがまれるたびに、断り方や話のそらし方を変えていきます。
話したくないことを聞かれたとき、英語でどう切り返すかは意外と迷うところです。モニカの言い回しを順に追いながら、断る・かわす・話題を変える英語を見ていきます。
「Let’s not tell this story.」話したくないと先に伝える
モニカとレイチェルの部屋で、仲間たちがそれぞれの最悪の感謝祭を語っているところに、レイチェルが話を振ります。
Rachel: I know Monica’s worst Thanksgiving.
(モニカの最悪の感謝祭なら知ってるわ。)
Monica: Let’s not tell this story.
(その話はやめておきましょう。)
All: Oh, come on.
(そんなこと言わずに。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
Let’s not ~ は「〜するのはやめておこう」と、相手も巻き込んで提案する形です。Don’t tell ~ と命令するより角が立ちにくく、「みんなで話題にしないでおこう」という持ちかけになります。これに対する Oh, come on. は「そう言わずに」とせがむ返しで、ここでは全員が声をそろえています。
モニカが that story ではなく this story と言っている点も見ておきます。レイチェルが持ち出した「モニカの最悪の感謝祭」の話を、いままさに話題に上りかけているものとして this で受けています。話の中身には触れずに「その話」とだけ指して断れるので、詳しく言いたくないときにも使いやすい組み立てです。
このあと仲間たちは別の思い出話でひとしきり盛り上がりますが、レイチェルが言っていたのはその話ではない、という指摘が出て、モニカは再び話を振られます。
Monica: I-I really don’t want to tell this story.
(その話は本当にしたくないの。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
今度は I don’t want to ~ と、自分の気持ちとして断っています。Let’s not が「みんなでやめよう」という提案なのに対し、I don’t want to は「私はしたくない」と主語をはっきりさせた断り方です。really を挟むことで、1回目より強く拒んでいることが伝わります。
「of all people」よりによって相手を名指しする
それでもチャンドラーにせがまれると、モニカはチャンドラーに向けてこう返します。
Monica: Look, um, of all people you do not want me to tell this story.
(あのね、よりによってあなたは、私にこの話をさせないほうがいいわよ。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
of all people は「数いる人の中でよりによって」という意味で、特定の相手を強く名指しするときに使われます。ここでは you の前に置かれ、「ほかの人はともかく、あなたは聞かないほうがいい」と、せがんでいる本人に向けて断りの理由をほのめかしています。
文の組み立ても見ておきます。you do not want me to ~ は、want 人 to 〜「人に〜してほしい」の否定形で、直訳すると「あなたは私に〜してほしくないはず」となります。自分が断るのではなく、相手の立場から「やめたほうがいい」と言い換えているため、断りながら相手に考え直しを促す言い方になっています。冒頭の Look, um, は、言いにくいことを切り出す前の間をつなぐ前置きです。
do not と短縮せずに言っている点も、言い方を強める働きをしています。結局このあと、モニカの昔の感謝祭の話は語られることになります。
「Let’s get ready for Christmas.」話題を変えて逃げる
モニカの話のあと、レイチェルが口を開きます。
Rachel: Actually, you know, that’s not the Thanksgiving I was talking about.
(実はね、私が言ってたのはその感謝祭じゃないの。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
Actually は「実は」と、相手の思い込みを訂正するときの前置きです。レイチェルが続きを言いかけたところで、モニカが話をさえぎって話題を変えます。
Monica: Thanksgiving’s over. Let’s get ready for Christmas. Who wants to go get a Christmas tree?
(感謝祭はおしまい。クリスマスの準備をしましょう。クリスマスツリーを買いに行きたい人は?)
Phoebe: Ooh, no. I have the cutest Christmas story.
(あっ、ううん。とびきりかわいいクリスマスの話があるの。)
Chandler: But we want to hear Monica’s Thanksgiving story.
(でも、俺たちはモニカの感謝祭の話が聞きたいんだ。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
~’s over. で一区切りをつけ、Let’s get ready for ~. で次の行事に目を向けさせ、Who wants to ~? で全員に呼びかける三段構えです。話を打ち切りたいときに、別の提案で注意をそらす流れがよく分かります。go get ~ は go and get ~ の and を省いた口語の形で、「〜を買いに行く・取りに行く」という意味です。Who wants to ~? は、手を挙げてもらうように全員に声をかける聞き方で、提案を明るく持ちかけるときにも使われます。
フィービーはクリスマスの話題に乗って、自分のクリスマスの話をしようとします。そこへチャンドラーの But we want to hear ~. が入り、話をモニカの感謝祭へ引き戻しています。But で始めることで、「クリスマスの話もいいけれど」と相手の提案を一度受けてから、自分たちの希望を伝える形になっています。
まとめ|断り方を変えながら話をかわす英語
Let’s not ~ で提案として断り、I really don’t want to ~ で気持ちを伝え、of all people で相手を名指しし、Let’s get ready for ~ で話題を変える流れを見てきました。断る強さに応じた言い方がそろっています。
せがむ側の Oh, come on や But we want to hear ~ にも耳を傾けると、駆け引きが見えてきます。
この回のほかのコラムやフレーズ記事では、同じ感謝祭の夜の会話を別のテーマで取り上げています。


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