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『フレンズ』シーズン5第8話は、感謝祭のごちそうを食べ終えた仲間たちが、それぞれの「最悪の感謝祭」を語り合う回です。最高のごちそうをほめる一言から始まり、どちらの思い出がひどいかを張り合うやりとりへと話が進みます。
the worst と worse は、どちらも bad から来た形ですが、使う場面が違います。最上級と比較級の使い分けを、仲間たちの会話に沿って見ていきます。
「the best Thanksgiving dinner ever」最上級と ever で今までで一番を言う
モニカとレイチェルの部屋で、仲間たちが感謝祭のごちそうを食べ終えたところから物語は始まります。最初に口を開くのはレイチェルで、モニカに向かってこう言います。
Rachel: Oh, Monica, that was the best Thanksgiving dinner ever. It was so good.
(ああ、モニカ、今までで最高の感謝祭のディナーだったわ。すごくおいしかった。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
the best ~ ever は、最上級の the best のあとに名詞を置き、最後に ever を添える形です。ever は「これまでに」という意味で、「今まで経験した中で一番」と範囲をはっきりさせる働きをしています。the best Thanksgiving dinner I’ve ever had のように I’ve ever had を補った形と同じ意味で、会話では短い形のほうが口に出しやすいと言われます。
続く It was so good. は、同じ内容を簡単な言葉で言い直した一文です。最上級でほめたあとに短い感想を重ねると、ほめ言葉が大げさになりすぎず、気持ちがそのまま伝わる言い方になります。料理を作ってくれた相手へのお礼は、この2文の組み合わせでも十分に形になります。
なお、ever を付けずに the best Thanksgiving dinner とだけ言うと、比べる範囲がはっきりせず、「その日の中で」「この辺りで」など文脈しだいの意味になることもあります。ever を添えることで、比べる相手が「これまでのすべての感謝祭」に広がります。
「I am the king of bad Thanksgivings」最悪を名乗って張り合う
そのあと仲間たちは、感謝していることを1つずつ言い合う流れになります。やがて、この感謝祭は最悪だという声が上がります。
— I’m sorry, it’s just this is the worst Thanksgiving ever.
(ごめん、ただ、今までで最悪の感謝祭なんだ。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
冒頭の I’m sorry, it’s just ~ は、「ごめん、ただ〜なだけ」と、軽く謝ってから理由を続ける前置きです。it’s just のあとに文をそのまま続けられるので、言い訳や事情の説明を切り出すときに使いやすい形です。
ここでの the worst ~ ever は、さきほどの the best ~ ever と同じ組み立てです。best を worst に入れ替えるだけで、「今までで一番ひどい」という正反対の意味になります。この声に、チャンドラーがすぐに割って入ります。
Chandler: No, no, no, no. I am the king of bad Thanksgivings.
(いやいやいやいや。ひどい感謝祭の王様は俺だ。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
the king of ~ は「〜の王様」、つまり「〜にかけては誰にも負けない」と名乗る表現です。ここでは最上級を使わず、bad と king を組み合わせて「ひどい感謝祭なら自分が一番」と張り合っています。
Thanksgivings と複数形になっているのは、感謝祭を1回、2回と数えられるものとして扱っているためで、「ひどかった回の数々」をひとまとめにしています。No を4回重ねた出だしも、相手の言い分を打ち消して自分の番に持ち込む冗談の勢いにつながっています。the worst で一番を言い切る相手に、別の形で上をいこうとするところに、このやりとりのおかしさがあります。
「yours is worse」比較級で2つの思い出を比べる
チャンドラーが子どものころの感謝祭の思い出を明かすと、ロスはそれを受けて自分の負けを認めます。そこへフィービーが割り込みます。
Ross: You’re right, yours is worse. You are the king of bad Thanksgivings.
(そうだな、お前のほうがひどい。ひどい感謝祭の王様はお前だ。)
Phoebe: I don’t know about that. I’ve got one that’s worse.
(それはどうかしら。もっとひどいのがあるわよ。)
Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
worse は bad の比較級で、「2つを比べてこちらのほうがひどい」と言うときに使います。the worst が「全部の中で一番」と言い切るのに対し、worse は目の前の2つを並べる言い方です。ロスの yours is worse は、yours が「お前の感謝祭」を指し、自分の話とチャンドラーの話を比べた結果を伝えています。続けて You are the king of bad Thanksgivings. と、チャンドラーが名乗った言葉をそのまま返し、称号を譲る形で負けを認めています。
フィービーの I’ve got one that’s worse. では、one が「感謝祭の話」を指しています。同じ名詞を繰り返さずに one で受けるのは、比べる場面でよく見られる形です。前に置かれた I don’t know about that. は「それはどうかな」とやんわり異を唱える前置きで、ロスの You’re right とは逆の働きをしています。
| 原級 | 比較級 | 最上級 |
|---|---|---|
| good | better | the best |
| bad | worse | the worst |
まとめ|最上級と比較級で思い出を言い比べる
the best ~ ever と the worst ~ ever で「今までで一番」を言い、the king of ~ で張り合い、yours is worse や one that’s worse で2つを比べる流れを見てきました。最上級と比較級の役割の違いが見えてきます。
次に感謝祭の場面を観るときは、だれが何と比べているかに耳を傾けると、言い比べの英語がよりはっきり聞こえてきます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、仲間たちの感謝祭の会話を別の角度から扱っています。


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