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『モダンファミリー』シーズン9第10話では、アレックスとルークが靴をネットで売る商売を始めます。その商売のことを知ったクレアとジェイが、どちらの手柄なのかをめぐって横から口をはさみ始めます。
事業を「立ち上げる」ことと、それを「大きくする」ことは、英語では使う動詞がはっきり分かれます。家族どうしの言い合いの中に、その違いを見分ける材料が自然な形でそろっている回です。
「make a ton of money」と「ship」で始まる小さな商売
2人の商売は、返品できなかったスニーカーをネットで売ったことがきっかけでした。アレックスは、そこからの手応えをこう振り返ります。
Alex: That was three weeks ago, and we have made a ton of money since.
(それが3週間前。それからもうかなり稼いでるの。)
Modern Family Season9 Episode10 (No Small Feet)
make money は「お金を稼ぐ」の基本形で、a ton of を挟むと「どっさり」「山ほど」という口語の強調になります。a ton of は I have a ton of work today.(今日は仕事が山積みだ。)のように、量の多さを大げさに言う場面で広く使われます。似た強調には tons of や a lot of もあり、a ton of はその中でもくだけた響きを持ちます。後ろの since は「それ以来」という副詞で、現在完了と組み合わせて「3週間前から今まで」の流れを表しています。
商売には、売れた品物を送る手間がついて回ります。ルークはアレックスにこう念を押します。
Luke: Don’t forget, we have to get over to mom’s work to ship shoes later.
(忘れるなよ、あとで母さんの職場に行って靴を発送しなきゃ。)
Modern Family Season9 Episode10 (No Small Feet)
ship は「船」のイメージが強い語ですが、動詞では手段を問わず「商品を発送する」の意味になります。ネット通販の画面で見かける shipping(配送)や Ships in 2 days(2日以内に発送)も同じ語です。get over to ~ は「〜まで出向く」で、用事のある場所へ移動するときの言い方と言えます。
「from the ground up」と「get your hands dirty」で立ち上げをほめる
2人の商売は、やがてクレアとジェイの知るところになります。商売の中身を聞いたクレアの反応と、ジェイの受け止め方は正反対です。
Claire: Wow, that is so gross!
(うわ、ほんとに気持ち悪い!)
Jay: More like gutsy.
(いや、肝がすわってるってところだ。)
Jay: You got to get your hands dirty to build a company from the ground up.
(会社を一から築くには、自分の手を汚さなきゃならないんだ。)
Jay: I’m proud of you, Luke.
(誇らしいぞ、ルーク。)
Modern Family Season9 Episode10 (No Small Feet)
gross は「気持ち悪い」、gutsy は「度胸がある」で、クレアの gross をジェイが音の似た gutsy で言い換えています。More like ~. は「どちらかと言えば〜だ」と、相手の言葉を別の言葉に置き換えるときの返し方です。It’s not ~, it’s more like ~. の形にすると、「〜というより〜だ」とさらにはっきり言い直せます。
from the ground up は「地面から」、つまり土台から一つずつ積み上げる様子を表し、build や start と組み合わせて「ゼロから立ち上げる」の意味になります。get your hands dirty は文字どおり手が汚れることから、「面倒な作業や汚れ仕事を自分でやる」という意味で使われます。2つを合わせたジェイの台詞は、きれいごとでは事業は始まらないという創業者の目線を伝えています。
冒頭の You got to ~ は You have got to ~ のくだけた形で、「〜しなきゃならない」と心構えを説く言い回しです。
「expand」「grow」「take it to the next level」で大きくする
ジェイがルークをほめたところで、アレックスが割って入り、そこへクレアが加わります。
Alex: Uh, hold on.
(ちょっと待って。)
Alex: It was my idea to start buying thrift-store shoes.
(古着屋で靴を仕入れようって言い出したのは私だよ。)
Alex: I expanded the business and doubled our profits.
(事業を広げて、利益を倍にしたのも私。)
Claire: You see what Alex did? She grew the business.
(アレックスがしたこと、分かる? 事業を大きくしたのよ。)
Claire: She took it to the next level.
(次の段階まで引き上げたの。)
Claire: She was able to achieve what Luke couldn’t despite years of trying.
(ルークが何年かけてもできなかったことを、やってのけたのよ。)
Luke: It’s really only been a few
(まだほんの数…)
Jay: You can’t grow what doesn’t exist!
(ないものは大きくできないだろうが!)
Modern Family Season9 Episode10 (No Small Feet)
この場面の動詞は、それぞれ大きくする中身が少しずつ違います。
| 表現 | 意味 | 何が大きくなるか |
|---|---|---|
| expand the business | 事業を広げる | 扱う商品・地域・範囲 |
| double our profits | 利益を倍にする | 数字そのもの |
| grow the business | 事業を成長させる | 規模や売上の全体 |
| take it to the next level | 次の段階へ引き上げる | 質や段階 |
grow the business は売上や規模が伸びていく過程を指し、ビジネスの場面でそのまま使える言い方です。take it to the next level は事業に限らず、I want to take my English to the next level.(英語をもう一段上のレベルに上げたい。)のように、スキルやチームにも使えます。前者は量、後者は段階に目が向いた表現と言えます。
また expand は横に広げる、grow は全体が育つという違いがあり、アレックスの言う事業の拡大を、クレアは成長というひと回り大きな言葉でまとめ直しています。
ジェイの You can’t grow what doesn’t exist! は、grow の目的語には育てる元が要るという点を突いた切り返しです。始めた側と大きくした側のどちらを認めるかという話は、このあとクレアとジェイ自身の会社の話へと移っていきます。
まとめ|立ち上げる英語と大きくする英語
build a company from the ground up と get your hands dirty で立ち上げを語り、expand、double、grow、take it to the next level で大きくした中身を言い分ける流れを見ました。どの動詞を選ぶかで、何を評価しているのかが伝わります。
『モダンファミリー』の家族の言い合いを観ながら、ビジネスの動詞を拾ってみると、会話の聞き取りが一段楽になります。
同じ回のほかのコラムでは、晴れの日の主役をめぐる親子の英語や、家の弱点を前向きに伝える英語も取り上げています。


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