海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン12 第4話から、長く会っていない旧友について話すときの英語を取り上げます。シェルドンの子ども時代の親友タムが登場し、2人が疎遠になった理由をめぐって、当事者の言い分が食い違います。
「自然に離れていった」と「裏切られた」では、同じ疎遠でも使う言葉がまったく変わります。その違いを、台詞に沿って順番に見ていきます。
「drift apart」は自然に離れていった疎遠
タムの名前が最初に出てくるのは、タムからシェルドン宛てに届いたメールをエイミーが読む場面です。シェルドンはタムを、子どもの頃の一番の親友だったと説明します。エイミーはその名前を聞いたことがないと返し、ここから謎が始まります。
レナード、ハワード、ラージの3人は大学の構内でタム本人に会い、シェルドンの友人だと名乗ります。それを聞いたタムの返事がこちらです。
Tam: Oh, I’ve been trying to get in touch with him, but I never heard back. Is he okay?
(ああ、彼とずっと連絡を取ろうとしてたんだけど、返事がなくて。彼、元気なの?)TBBT Season12 Episode04
get in touch with ~ は「〜と連絡を取る」、never heard back は「返事がなかった」という意味です。現在完了進行形の I’ve been trying で、連絡の努力が続いていたことが伝わります。
3人が何かあったはずだと詰め寄ると、タムは心当たりがないと答えます。
Tam: No, we haven’t talked in, like, 20 years.
(いや、もう20年くらい話してないんだ。)TBBT Season12 Episode04
We haven’t talked in 20 years. は「20年話していない」という現在完了の否定です。否定文では期間の前に in も for も使われ、間の like は「〜くらい」と数字をぼかす口語的な挟み方と言えます。
なぜ友人でなくなったのかと問われたタムの答えが、このテーマの中心になる表現です。
Tam: I didn’t do anything. He moved to California and we just drifted apart.
(僕は何もしてないよ。彼がカリフォルニアに引っ越して、自然と疎遠になっただけさ。)TBBT Season12 Episode04
drift apart は、ボートが潮に流されて少しずつ離れていくように、きっかけなく距離ができる様子を表します。喧嘩や事件がなくても、引っ越しや環境の変化で疎遠になったときにぴったりの言い方です。
例えば We used to be close, but we drifted apart after college.(昔は仲が良かったけど、大学を出てから疎遠になった)のように、昔の関係と今の距離を1文で対比させる形で使えます。
「the sting of betrayal」と「You know what you did.」
同じ場面にシェルドンがやって来ると、話の色合いが一変します。再会のあいさつから、2人の認識のずれがはっきり見えてきます。
Tam: Sheldon. So good to see you.
(シェルドン。会えてうれしいよ。)Sheldon: Tam.
(タム。)Tam: It’s been a long time.
(久しぶりだね。)Sheldon: Mmm. Not long enough to erase the sting of betrayal.
(ふむ。裏切りの痛みを消せるほど長くはない。)Tam: How did I betray you?
(僕がどう裏切ったっていうんだ?)Sheldon: You know what you did.
(自分が何をしたか分かっているはずだ。)Raj: Let me catch you up. He does not.
(僕が説明してあげよう。彼は分かってないよ。)TBBT Season12 Episode04
It’s been a long time. は、久しぶりに会った相手にかけるあいさつです。シェルドンはその long time を受けて、裏切りの痛みが消えるほどの時間ではないと返します。sting は虫に刺されたような鋭い痛みのことで、the sting of betrayal で「裏切りの痛み」というやや大げさな言い回しが完成します。
タムの How did I betray you? は、身に覚えのない非難をそのまま聞き返す形です。対する You know what you did. は、理由を言わずに相手の自覚を求める言い方です。言われた側に心当たりがないと、会話は平行線のままです。そこへ入るラージの Let me catch you up. は、本来は「経緯を説明するね」と事情を知らない人に追いつかせる表現です。ここでは「彼は分かっていない」という一言だけを伝える、皮肉な使い方になっているのが面白いところです。
後の場面でシェルドンは、別れの挨拶をさせてと言う前置きに I haven’t seen Tam in 20 years. と口にします。talk を see に変えるだけで、「20年会っていない」という意味になります。
まとめ|離れた理由で言葉を選ぶ
今回は、get in touch with、never heard back、We haven’t talked in 20 years、drift apart、the sting of betrayal、You know what you did. を見てきました。自然な疎遠か、何かがあったのかで表現を選び分けると、旧友の話がぐっと伝わりやすくなります。
再会の場面ひとつにも、2人の記憶のずれが英語ではっきり表れているのが分かります。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、タムとの再会のその後や別の筋の英語も扱っています。


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