海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン12 第3話から、人柄を表す形容詞 nice を取り上げます。父親の紹介でアヌと初めて食事をするラージは、この nice という一語を何度も口にします。
「いい人」という言葉は、相手を選ぶ決め手にもなれば、物足りなさの言い訳にもなります。同じ nice が会話の中でどう重みを変えるのかを、二人のやり取りから順に見ていきます。
「someone nice」と「a nice guy」、同じ nice の違う重み
レストランでの初デートの場面です。ラージは、以前は妻に求める条件を長いリストにしていたと打ち明け、今の望みをこう言い直します。
Raj: But now, I-I just want someone nice.
(でも今は、ぼ、僕はただ、いい人がいいんだ。)Anu: I think I’m nice. Are you nice?
(私はいい人だと思う。あなたはいい人?)Raj: I’m definitely nice. Every time a girl breaks up with me she always starts with, “You’re a nice guy.”
(間違いなくいい人だよ。女の子に振られるときは毎回、決まって「あなたっていい人ね」から始まるんだ。)TBBT Season12 Episode03
someone nice は「感じのいい人」「人柄のいい人」という意味です。someone や something のように -one、-thing で終わる語では、形容詞が後ろに置かれます。nice someone とは言わず、someone nice、something new の語順になる点は、文法として押さえておきたいところです。
アヌの返しも短い英語のお手本になります。I think I’m nice. で自分の評価をさらりと述べ、Are you nice? と同じ形容詞で聞き返しています。相手の言葉をそのまま受けて質問に変える、会話を転がしやすい型と言えます。
一方、ラージの体験談に出てくる You’re a nice guy. は、同じ nice でも響きが変わります。英語では「いい人なんだけど」と、断りや別れの前置きとして使われることがあり、ほめ言葉でありながら決め手にはならない評価として受け取られる場合があります。ラージはそれを自分から冗談の種にしているわけです。
| 表現 | 意味 | 場面での響き |
|---|---|---|
| someone nice | 人柄のいい人 | 条件を絞り込まない望み |
| I’m nice. | 自分は感じがいい | 自己評価をさらりと言う |
| a nice guy | いい人 | 断りの前置きになることもある |
「too nice」と「She’s nice, I’m nice.」、nice を理由にする言い方
ラージの冗談めいた受け答えに、アヌははっきり線を引きます。
Anu: Look, your whole sweet, insecure thing is cute, but honestly, I have no time for that. If you’re not serious about this, you need to walk away now.
(ねえ、あなたのその優しくて自信なさげなところはかわいいけど、正直、そういうのに付き合ってる時間はないの。本気じゃないなら、今のうちに身を引いて。)Raj: I-I am serious.
(ほ、本気だよ。)TBBT Season12 Episode03
sweet や cute で相手のよさを認めたうえで、I have no time for that と率直に伝える流れです。ほめ言葉が「でも」の前置きになる点では、先ほどの nice guy と同じ構造が見えてきます。
さらに会話が進み、アヌが名字を変えなくてもいいかと尋ねると、ラージは nice を別の角度から使います。
Anu: How would you feel if I didn’t change my name?
(もし私が名字を変えなかったら、どう思う?)Raj: A little hurt, but you wouldn’t know, because I’m too nice.
(少し傷つくけど、君にはわからないよ。僕は優しすぎるからね。)TBBT Season12 Episode03
too nice は「いい人すぎる」、つまり相手に気をつかって本音を表に出さない、という自己評価です。本音を言いながら「言わない」と言ってしまう、ラージらしい冗談になっています。
別の場面で、ラージは仲間たちに結婚の決意を伝えます。一度会っただけの相手と本気で結婚するのかと驚くハワードに、ラージはこう答えます。
Raj: Why not? She’s nice, I’m nice. We’re just as likely to be happy as any other two people.
(いいじゃないか。彼女はいい人で、僕もいい人。ほかのどんな二人と比べても、幸せになれる見込みは同じくらいあるんだ。)TBBT Season12 Episode03
ここでは nice が結婚の根拠として並べられています。just as likely to ~ as … は「…と同じくらい〜しそうだ」という比較の言い方で、見込みを比べるときに使えます。デートでは物足りなさの響きもあった nice が、ラージにとっては十分な理由になっている点が印象的です。
まとめ|nice の重みは文脈で変わる
someone nice は条件を絞らない望み、a nice guy は断りの前置きにもなる評価、too nice は本音を隠す自己評価と、同じ nice でも重みが変わることを見てきました。形容詞1つの響きの差に気づくと、相手の言葉の温度も読み取りやすくなります。
ラージとアヌの率直なやり取りを観ながら、nice の使われ方に耳を傾けてみるのも一つの楽しみ方です。
このエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、登場人物たちの会話の英語を扱っています。


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