海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン12 第10話から、落ち込んでいる人に手立てを提案するときの英語を取り上げます。理論が否定されてふさぎ込むシェルドンのために、エイミーやレナード、ペニーがあれこれと案を持ち寄ります。
元気づけたい気持ちが強いほど、提案は押しつけになりがちです。相手が受け取る余地を残すための言い方を、登場する場面の順に見ていきます。
「might help」で押しつけずに差し出す
エイミーはレナードとペニーのもとを訪れ、シェルドンがこれほど落ち込んでいるのは見たことがないと打ち明けます。続くやり取りがこちらです。
Leonard: It’s that bad, huh?
(そんなにひどいのか。)Amy: I’m afraid so. I just I don’t know what to do.
(残念ながらそうなの。もう、どうしたらいいか分からない。)Leonard: I have something that might help. It’s-it’s a recording of the only person whose opinion Sheldon actually respects.
(役に立つかもしれないものがあるよ。シェルドンが本当に意見を尊重している、ただ一人の人物の録画なんだ。)TBBT Season12 Episode10
It’s that bad, huh? の that は「そんなに」と程度を表し、相手の深刻さを受け止める相づちとして働きます。そのうえでレナードは I have something that might help. と切り出します。
ポイントは might です。will help と言えば効果を請け合うことになりますが、might help なら「役に立つかもしれない」と可能性の提示にとどまります。この録画は、シェルドンが子どもの頃に作ってレナードに預けていた励ましのメッセージだと、この後で明かされます。
別の場面で、エイミーはその録画をシェルドンに差し出します。
Amy: Well, I got something that I think might cheer you up. It is the emergency pep talk you made when you were a kid.
(ねえ、元気が出そうなものを手に入れたの。あなたが子どもの頃に作った、非常用の励ましの言葉よ。)TBBT Season12 Episode10
cheer someone up は「元気づける」です。I think と might を重ねることで、さらに控えめな差し出し方になっています。相手が落ち込んでいるときほど、こうした断定しない形が受け取りやすさにつながると言えます。
「Is there anything I can do?」と「get some closure」
ところが録画は途中で、シェルドンの父が録ったフットボールの試合に上書きされていました。そのあとのやり取りです。
Sheldon: You know, it doesn’t matter, nothing matters.
(いや、どうでもいい。何もかもどうでもいいんだ。)Amy: Is there anything I can do?
(私にできることはある?)Sheldon: Yes. You can build me a time machine so I can go back and tell my younger self to give up, because nothing’s gonna work out the way he wants.
(ある。タイムマシンを作ってくれ。過去に戻って、幼い自分にあきらめろと言うために。何ひとつ彼の望みどおりにはならないのだから。)TBBT Season12 Episode10
Is there anything I can do? は、手立てを決めずに相手へ選択を委ねる申し出です。案を出し尽くしたときに使いやすい一言で、シェルドンの答えが誇張まじりの無理難題になっているのが、この場面の面白いところです。
後の場面では、レナードとペニーがビバリーに相談したうえで、シェルドンに新しい案を持ちかけます。
Leonard: Look, t-this might seem strange, but, uh, we thought it might help you get some closure if you had a chance to properly say good-bye to your paper.
(なあ、変に思えるかもしれないけど、論文にちゃんとお別れを言う機会があれば、区切りをつける助けになるかもと思ったんだ。)TBBT Season12 Episode10
this might seem strange, but は、意外な提案の前に置くクッションです。get closure は、終わった物事に気持ちの上で区切りをつけることを指します。
シェルドンは最初こそ取り合いません。
Sheldon: That’s ridiculous.
(ばかげている。)Leonard: I thought so, too, but my mom thought it might work.
(僕もそう思ったよ。でも、母さんはうまくいくかもって。)Sheldon: Beverly thought it would help? We should try it.
(ビバリーが助けになると考えたのか?ならば試すべきだ。)TBBT Season12 Episode10
案の出どころがビバリーだと分かった途端に態度が変わります。同じ提案でも、誰の考えかを添えると受け止め方が変わることを、少し皮肉な形で見せている場面です。
まとめ|might で差し出し、相手に委ねる
今回は、might help のように might で控えめに差し出す形、Is there anything I can do? で相手に委ねる申し出、this might seem strange, but や get closure を見てきました。提案の角を取る表現を知っておくと、落ち込んだ相手にも声をかけやすくなります。
仲間たちが持ち寄る案の行方も、『ビッグバン★セオリー』のこの回の見どころです。
この回のほかのコラムやフレーズ記事も、場面を別の角度から取り上げています。


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