海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第1話では、双子のポピーとジョージを育てるヘイリーが、育児書に書かれた決まりを守ろうとします。ところが、本のとおりにはなかなか進みません。
マニュアルに頼りたくなる気持ちと、うまくいかずに自信をなくす気持ちは、英語でどう言い表すのでしょうか。決まりを持ち出す言い方から、落ち込む相手を支える一言まで、3つの場面で見ていきます。
「The book says」で決まりを持ち出す
双子のお昼寝の最中、ヘイリーはそばにいたクレアを止めます。
Haley: Mom, what are you doing? Stop it.
(ママ、何してるの? やめて。)
Haley: The book says you’re not supposed to make eye contact during nap time.
(本には、お昼寝の時間は目を合わせちゃいけないって書いてあるの。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
The book says ~ は「本によると〜」「本には〜と書いてある」と内容を紹介する形です。主語に本や記事、ルールブックを置き、動詞 says で中身を紹介します。自分の意見ではなく、書かれていることを根拠として示す形になります。
続く be not supposed to ~ は「〜しないことになっている」「〜してはいけない決まりだ」という意味です。must not のように話し手が直接禁じるのではなく、決まりや世間の約束ごととして伝える響きがあります。ヘイリーはこの2つを組み合わせて、自分ではなく本の決まりとしてクレアを止めています。
職場なら The manual says we’re not supposed to ~ のように、マニュアルを主語にして同じ形で使えます。決まりを伝えたいけれど、自分が命令しているようには聞こえさせたくない場面で便利な組み合わせです。
一方のクレアは、相手は赤ちゃんなのだと取り合いません。母と娘の間で、本の決まりと経験からくる感覚が早くもすれ違っています。
「sneak behind my back」で善意の手出しを責める
別の場面では、双子がおしゃぶりなどを使って寝かしつけられます。そのやり方がクレアとフィルによるものだと分かると、ヘイリーは2人を問い詰めます。
Haley: How could you sneak behind my back like that?
(よくもそんなふうに、私に隠れてこそこそできたわね。)
Phil: Honey, we were just trying to help.
(なあ、俺たちは助けようとしただけなんだ。)
Haley: Well, you didn’t.
(でも、助けになってないから。)
Haley: The book says 85% of pacifier users grow up to be cat people.
(本によると、おしゃぶりを使った子の85%は猫好きに育つんだって。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
sneak behind one’s back は「人の陰でこそこそ動く」「内緒で事を進める」ことを表します。How could you ~? と組み合わせると、「よくも〜できたね」と強く非難する言い方になります。
フィルの We were just trying to help. は、過去進行形に just を加えて「助けようとしていただけ」と善意を強調する弁明です。結果ではなく意図を伝える形なので、責められたときの返しとして使いやすい言い方です。
ヘイリーの Well, you didn’t. は、直前の help を受けた省略で、「でも助けにはなっていない」とはねつけています。相手の言葉の動詞を did で受けて否定するため、短いながらもきっぱりした響きになります。親しい家族同士だからこそ出てくる、遠慮のない返しとも言えます。
ヘイリーはさらに、ここでも The book says ~ で本の数字を持ち出します。最初の場面と同じ言い方が繰り返されることで、ヘイリーが本を頼りにしている様子が伝わってきます。
「instincts」と「You’re a natural!」で自信を支える
クレアはヘイリーに、もう本を読むのはやめるよう伝えます。そのうえで、こう続けます。
Claire: Honey, everybody has instincts.
(ねえ、本能は誰にでもあるのよ。)
Haley: Oh, do I? Because I keep waiting for them to kick in, and they haven’t.
(へえ、私にも? 働き出すのをずっと待ってるのに、出てこないんだけど。)
Haley: And I don’t think that they ever will.
(この先も出てこない気がする。)
Haley: I just Maybe I’m just not meant to be a mom.
(私ってただ……もしかしたら、母親に向いてないのかも。)
Claire: Sweetie, of course you’re meant to be a mom.
(何言ってるの、あなたは母親になるべき人よ。)
Claire: Listen, it is normal to feel overwhelmed.
(いい、いっぱいいっぱいになるのは普通のことなの。)
Claire: Really.
(本当よ。)
Claire: It The best parents are the ones who worry they’re doing it wrong.
(その……いちばんいい親っていうのは、自分のやり方が間違ってるんじゃないかって心配する親なの。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
instincts は「本能」「直感」で、親としての勘を指しています。kick in は「効き始める」「働き出す」という句動詞で、薬が効いてくるときにも使われます。ヘイリーは本能がいつまでも働き出さないと嘆いています。
be meant to be ~ は「〜になるべくしてなる」「〜に向いている」という意味です。クレアは娘の not meant to be をそのまま肯定形で返し、否定を打ち消しています。相手の言葉を使って言い返すと、気休めではなく正面から否定している印象が強まります。it is normal to feel overwhelmed は「いっぱいいっぱいになるのは普通のこと」と気持ちを受け止める一言です。
その後、双子を家の中に残したまま鍵がかかってしまい、ヘイリーは屋根の上から双子のもとへ向かおうとします。クレアはその姿にこう声をかけます。
Claire: Those sure look like mom instincts to me! You’re a natural!
(どう見ても母親の本能じゃない! 向いてるのよ!)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
You’re a natural! の natural は名詞で「生まれつき向いている人」を指します。本を手放せずにいた相手に、本能はちゃんとあると伝える締めくくりになっています。
まとめ|決まりを伝える英語と支える英語
The book says ~ や be not supposed to ~ は決まりを根拠に話す言い方、instincts kick in や You’re a natural! は相手の力を認める言い方です。両方を知っておくと、マニュアルどおりにいかない場面でも相手に寄り添う言葉を選びやすくなります。
ヘイリーとクレアの母娘のやりとりを観ていると、本の言葉と身近な人の言葉の届き方の違いが見えてきます。
この回のほかのコラムでは、気まずい相手と仕事で組む英語や、叱るときの英語も取り上げています。


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