海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
会議で誰かが思い切った案を出したあと、部屋が一瞬静かになる。そんな間があります。最初に「それ、いいですね」と声を上げた人が、その案の行方を変えてしまう場面です。
そんなときに使える「get behind」を、『BONES』シーズン1第9話の序盤、封鎖された研究所で出たクリスマスの提案に、仲間たちが次々と乗っていくシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get behind」の意味とニュアンス
get behind
意味:〜を支持する、〜を後押しする
誰かの考えや計画に賛成し、その実現に力を貸すことを表します。直訳すれば、その後ろ(behind)に回る(get)。前に立って引っ張るのではなく、背中側について押す位置取りが、そのまま比喩になっています。
ここから、単なる同意との差が出てきます。agree は頭のなかで納得した状態を指せますが、get behind は体の位置が変わっています。賛成の意思表示であると同時に、これから一緒に動きますという表明でもあるわけです。
目的語は人ではなく、案・計画・方針といった中身が入るのが一般的です。I can get behind that の形で「それなら乗れる」と短く返せるほか、否定形にすれば、賛同できない理由を角を立てずに示すこともできます。ビジネスの場でもくだけた会話でも、どちらでも収まりのよい言い方です。
【ここがポイント!】
- 案の後ろに回って背中を押す、という位置取りの比喩が芯にある表現
- 頭で納得する agree と違い、一緒に動く意思まで含むのが持ち味
- 否定形にすると、賛同できない立場を穏やかに伝えられるのがコツ
『BONES』S01E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
未知の菌が検出され、ジェファソニアン研究所はクリスマス直前に封鎖されます。全員の予定が消えたところで、アンジェラが飾りつけとプレゼント交換を提案しました。所長のグッドマンがまず賛意を示し、そこから空気が一気に動き出します。最初に手を挙げたのは、いつも理屈で動く助手のザックでした。
Goodman: An excellent idea, Miss Montenegro.
(素晴らしい考えです、ミス・モンテネグロ)Zack: I can get behind that.
(僕もそれには賛成できます)Hodgins: I’m in.
(乗った)Goodman: As am I.
(私もです)BONES Season1 Episode9 (The Man in the Fallout Shelter)
シーン解説と心理考察
短い返事が三つ続くだけの場面ですが、賛成の温度がそれぞれ違うのが面白いところです。グッドマンは所長らしく案そのものを評価し、ホッジンスは考える前に体で乗り、ザックだけが can を挟んでいます。
この can が、ザックというキャラクターをよく表しています。賛成できます、ではなく、賛成することが自分にはできます。理屈が通ったかどうかを内側で一度確かめてから返している、その一拍がここに入っています。
対照的なのがブレナンです。このあと彼女は、贈り物とは集団のなかで優位を主張する手段だと人類学の視点から語り、同じ get behind を否定形で使って、そんなものを後押しできるはずがないとブースに返します。同じ表現が、乗る側と降りる側の両方で使われる。仲間の距離感が一語の使い分けに表れる回です。
『BONES』流・覚え方のコツ
坂道で止まってしまった車を思い浮かべてみます。運転席に座って舵を取るのではなく、車の後ろに回り込んで、両手を当てて押す。get behind が描いているのは、この体の動きです。
押している側は、進む方向を決めているわけではありません。決めたのは前にいる人で、こちらは前に進む力を足しているだけです。だからこの表現は、案を出した人の手柄を奪わずに味方につく言い方になります。
劇中で最初に押したのはザックでした。理屈をひとつ通してから、案の後ろに回り込む。あの一拍ごと覚えてしまえば、この表現の姿勢が体に残ります。
例文で覚える「get behind」
肯定でも否定でも使える表現です。3つの例文で幅を見ていきましょう。
It’s a solid plan. I can definitely get behind it.
(しっかりした計画ですね。全面的に賛成します)
提案を受けて態度を示す場面です。can を挟むと、判断したうえで乗ったという含みが出ます。
Management never really got behind the new system.
(経営陣は新システムを本気で後押ししてくれなかった)
施策がうまくいかなかった理由を振り返る場面です。過去形にすると、支援が得られなかった経緯を語れます。
A: So, are we doing the rebrand or not?
B: I like the direction, but I can’t get behind that timeline.
A: Fair point. Let’s push the launch back a month.
(A:それで、ブランド刷新はやるんですか、やらないんですか)
(B:方向性はいいと思います。ただ、あの日程には賛成できません)
(A:もっともですね。公開を1か月遅らせましょう)
部分的に反対する場面です。前半で賛意を示してから否定形を置くと、角が立ちません。
あわせて覚えたい関連表現
support
(支持する、支援する)
もっとも一般的で、書き言葉でも使える語です。get behind のほうが口語的で、仲間として一緒に動く感じが前に出ます。
be on board with
(〜に乗り気である、同意している)
同じ船に乗るという絵で、合意ができている状態を表します。get behind が押すという行為を指すのに対して、こちらは合流できているかどうかの確認に向きます。
back up
(〜を支援する、裏づける)
いざというときに控えている、あるいは証拠で支えるという意味合いです。前に進める力を足す get behind とは、支えの方向が違います。
Note|support と get behind ―― 支えるのか、押すのか
どちらも日本語にすれば「支持する」になります。ところが英語のなかで思い浮かぶ絵は、静と動ではっきり分かれています。
support の語源にあたるラテン語は、下から運ぶ・持ちこたえるという意味を持っていました。その名残は現代の用法にもよく残っています。建物を支える柱は supporting column、けが人の腕を吊る道具は support、家族を養うことも support a family と言います。共通しているのは、対象が倒れたり落ちたりしないよう、下側で受け止めている姿です。動きはありません。安定させるための力です。
get behind は、力の向きが水平です。後ろから前へ押す。だから止まっているものを動かす場面に馴染みます。政治の文脈で候補者や法案に get behind と言えば、それは応援の表明であると同時に、動かすための人手を出しますという意味を帯びます。
この違いは、使い分けの目安になります。誰かの立場が危ういとき、崩れないように受け止めるのは support です。誰かの案が動き出そうとしているとき、後ろから押して加速させるのが get behind です。
劇中でザックたちがしたのは、明らかに後者でした。アンジェラの案はまだ形になっていません。倒れないよう支えるものが何もない段階で、押す人が三人続いたから前に進みました。
支えるのか、押すのか。位置取りが違えば、届く力も違うと言えます。
まとめ|最初に後ろへ回る人
get behind は、誰かの案の後ろに回り込んで背中を押す表現です。方向を決めるのは相手で、こちらは前に進む力を足す。その位置取りが言葉にそのまま残っています。
この一言があると、賛成を伝えるだけで終わらずに済みます。いいと思う、で止めるのではなく、一緒に動く意思まで一息で示せる。否定形にすれば、案そのものを潰さずに立場だけを伝えることもできます。
誰も動けなかった研究所で、最初に後ろへ回ったのがいちばん理屈っぽい人物だったというのも、この回らしい配置と言えます。


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