「track down」の意味と使い方|『BONES』S01E09で学ぶ英会話

track down

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

どうしても連絡を取りたい相手がいて、心当たりを片端から当たっていく。そんな夜が、ドラマにはときどき描かれます。手がかりは細く、時間は遅く、それでも受話器を置かない人の姿です。

そんな粘りを一語で言い表す「track down」を、『BONES』シーズン1第9話の終盤、封鎖された研究所からブレナンが半世紀前の女性を探し当てようとするシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「track down」の意味とニュアンス

track down
意味:〜を探し当てる、〜を突き止める

簡単には見つからない相手や物を、手がかりをたどって最後に見つけ出すことを表します。track は動物の足跡や通った跡を指す語で、そこから跡をたどるという動詞になりました。

ここに down が加わると、たどるだけでは終わらなくなります。追いかけた先で対象を捕まえる、決着まで行き着くという含みが入るからです。track が過程を指すのに対して、track down は結果まで含んだ言い方になります。

対象は、逃げている人物とは限りません。絶版になった本、連絡の途絶えた友人、原因不明の不具合。共通しているのは、探すのに骨が折れるという条件です。逆に、目の前の棚から本を取るような場面では使いません。手間がかかったという事実が、この表現の前提になっています。

【ここがポイント!】

  • 足跡をたどって、最後に捕まえるところまで含む一語
  • find と違い、探すのに骨が折れたという前提が必ず伴う表現
  • 人にも物にも原因にも使えるので、守備範囲がとても広い言い方です

『BONES』S01E09のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

研究所の封鎖が続くクリスマスイブ。被害者の身元をたどるうち、半世紀近く前に彼と関わりのあった女性、アイビー・ギレスピーの存在が浮かびます。手元にあるのは、1950年代の職場の記録だけ。ブレナンは受話器を取り、心当たりに片端から電話をかけ始めます。以下は、その一晩の通話をつないだ場面からの引用です。

Brennan: I realize it’s Christmas Eve, but it’s extremely important that I find Miss Ivy Gillespie. (…) I’ve made dozens of calls this evening in an effort to track this woman down. It’s that important.
(クリスマスイブなのは承知しています。それでも、アイビー・ギレスピーさんを見つけることがどうしても必要なんです。〈中略〉今夜、この方を探し当てるために何十件も電話をかけました。それほど重要なことなんです)

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シーン解説と心理考察

電話の相手の声は一度も聞こえません。返ってくる言葉が省かれたまま、ブレナンの声だけが次の家、また次の家へと重なっていきます。断られ続けている時間の長さが、この構成から伝わってきます。

言い方も彼女らしいところです。相手の都合をまず認め、それでも必要だと理由を置き、最後に何十件という数字を出す。感情に訴えるのではなく、事実を積んで押していく。普段の彼女が捜査で使う手順が、そのまま電話口に持ち込まれています。

それでも It’s that important という締めには、通常の業務とは違う熱が混じります。この夜のブレナンが探しているのは、事件の証人ではありません。答えを受け取らないまま何十年も過ごした人に、その答えを届けるためだけに彼女は電話をかけ続けています。track down という語の重さが、この一言に重なっています。

『BONES』流・覚え方のコツ

雪の上に残った足跡を思い浮かべてみます。track は、その足跡をたどって歩いていく動作です。歩いている途中では、相手はまだ見つかっていません。

そこに down が付くと、たどった先で相手に追いつき、その場に押さえるところまでが視野に入ります。上から下へ、動いていたものが地面に着く。決着の合図として down が働いています。

ブレナンの電話も同じ形をしていました。1950年代の職場という一つの足跡から始めて、何十件もかけた末に相手のいる場所へたどり着く。あの一晩の粘りごと覚えてしまえば、track と track down の差が体で分かります。

例文で覚える「track down」

苦労の跡が見える言葉と組むと、この表現は生きてきます。3つの例文で確かめてみましょう。

It took me three months, but I finally tracked down a copy of the book.
(3か月かかったけれど、ようやくその本を一冊探し当てた)
絶版本や希少品を手に入れた場面です。かかった時間を添えると、探し当てた実感が伝わります。

Police are still trying to track down the driver who left the scene.
(警察は現場から立ち去った運転手の行方をいまも追っている)
報道や捜査の文脈でよく現れる形です。まだ見つかっていない段階でも、進行形なら自然に使えます。

A: Any luck with that error we saw last week?
B: Yeah, I tracked it down to a config file nobody had touched in years.
A: Of course it was that.
(A:先週のあのエラー、進展あった?)
(B:うん、何年も誰も触っていなかった設定ファイルが原因だと突き止めたよ)
(A:やっぱりそこか)
不具合の原因を特定した場面です。track A down to B の形にすると、たどり着いた先を示せます。

あわせて覚えたい関連表現

locate
(〜の位置を特定する)
事務的で硬い響きがあり、報告書などに馴染みます。追いかけた苦労を含む track down に対して、こちらは位置が分かったという事実だけを伝えます。

hunt down
(〜を追い詰める、徹底的に探す)
hunt が入るぶん攻撃的で、必死さや執念が前に出ます。track down が中立に使えるのに対して、こちらは相手を追い詰める場面に寄ります。

trace
(〜をたどる、追跡する)
経路や履歴をさかのぼる過程に焦点があります。最後に見つけたという結果までは含まないため、down のある track down とは着地点が違います。

Note|動詞に「やり切った」を足す down ―― 日本語にない一手

track と track down の差を作っているのは down ひとつです。この語は上下の方向を表すだけでなく、動詞に「やり切った」という決着の色を足す働きを持っています。

同じ働きは、あちこちで見つかります。hunt down は追った末に見つけること、run down も探し回って突き止めること。物を相手にすれば、write down は頭のなかにあったものを紙の上に固定すること、nail down は曖昧だった話を動かないところまで詰めることです。人の状態なら、calm down は高ぶった気持ちが元の高さまで落ちること、settle down は動き回っていたものが一か所に落ち着くことを指します。並べてみると、どれも「浮いていたものが地面に着く」という共通の絵で説明できます。

日本語には、この位置に置ける一語がありません。「探す」と「探し出す」、「書く」と「書き留める」のように、動詞そのものを取り替えるか、複合動詞を作ることで同じ意味を出しています。英語は副詞ひとつを後ろに足すだけで済ませているわけです。

この見取り図を持っておくと、down を含む句動詞が急に読みやすくなります。知らない組み合わせに出会っても、元の動詞に決着の含みを足したものだと当たりをつけられるからです。

受話器を置いたブレナンは、探していたのではなく、探し切ったのですね。

まとめ|受話器を置くまでの距離

track down は、手がかりをたどった先で相手を見つけ出すところまでを含む表現です。探すという行為と、見つけたという結果が、down 一語でつながっています。

この表現があると、苦労の跡を説明せずに伝えられます。ようやく見つけた、あちこち当たった、そうした前置きを重ねなくても、動詞ひとつで手間の量まで届く。人探しにも、原因の特定にも同じ形で使えます。

クリスマスイブの夜、断られ続けながら受話器を置かなかったブレナン。あの一晩の長さが、この短い句動詞の中身そのものでした。

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