海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
買い出しに行けないまま夕食の時間になって、冷蔵庫にあるものだけで何とか一皿にする。資料が揃わないまま、手元の断片をつなぎ合わせて会議に持っていく。そういう間に合わせの仕事は、誰の日常にも紛れ込んでいます。
そんな作業をそのまま言い当てる「cobble together」を、『BONES』シーズン1第9話の中盤、封鎖された研究所の所長グッドマンが、飾りつけ作業から抜け出してブースのところへ現れるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「cobble together」の意味とニュアンス
cobble together
意味:あり合わせで急ごしらえする、寄せ集めて何とか形にする
手元にある材料だけを使って、間に合わせのものを作り上げることを表します。together が示すのは、性質のそろわないものを無理につなぐ動きです。設計図があって組み立てるのではなく、あるものを見渡してから形を決める順序になります。
含まれているのは、粗さと有能さの両方です。仕上がりは整っていない。継ぎ目も見えている。それでもとりあえず用は足している。この二つが同居しているため、文脈次第で評価が反転します。手抜きを責める言い方にもなれば、限られた条件でよくやったという称賛にもなります。
目的語には、報告書やチームや食事など、本来なら時間をかけて用意すべきものが入ります。ビジネスの場では、資源が足りないなかで何とか立ち上げた、という文脈で使われることが多い表現です。
【ここがポイント!】
- 材料を見てから形を決める、逆向きの手順が芯にある言葉
- 粗さと有能さが同居していて、文脈しだいで評価が反転する一言
- 自分の仕事に使えば、謙遜としてちょうどよく響くのが便利なところ
『BONES』S01E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
封鎖された研究所では、実験器具を材料にしたクリスマスの飾りつけが進んでいます。そんななか、所長のグッドマンが骨の保管室に姿を現しました。ブースが被害者の遺品であるスーツケースの中身を調べているところへ、一緒に見たいと申し出ます。理由を尋ねられた彼の答えが、本音を隠しきれていません。
Goodman: I thought I might take a look at the contents of the suitcase with you.
(スーツケースの中身を、あなたと一緒に見てみようかと思いまして)Booth: Why?
(どうして?)Goodman: It beats cobbling together Christmas decorations out of pipettes and graduated cylinders.
(ピペットとメスシリンダーでクリスマスの飾りを急ごしらえするよりは、ずっとましですからね)Booth: No, I mean, what makes you qualified to look at clues?
(いや、そうじゃなくて、手がかりを見る資格があなたにあるのかって話だよ)BONES Season1 Episode9 (The Man in the Fallout Shelter)
シーン解説と心理考察
グッドマンの答え方が可笑しいのは、質問に答えているようで答えていないところです。なぜ手伝いたいのかを説明せず、向こうでやっている作業のほうが嫌だという事情だけを述べている。所長という立場の人が、飾りつけ当番から逃げてきたと自白しているようなものです。
cobbling together という語の選択も効いています。もし decorating と言えば、それは楽しい行事の話になります。実験器具を寄せ集めて何とか形にする作業だと言い直したことで、彼がその時間をどう評価しているかがはっきりしました。言葉ひとつで、参加を義務として扱っていることが伝わってきます。
そこへブースが、資格があるのかと踏み込みます。所長への遠慮がまるでないこの返しが、二人の距離をよく表す場面です。逃げてきた側と、逃がしてくれない側。捜査の話に戻るまでの短いやり取りに、この回の軽さが詰まっています。
『BONES』流・覚え方のコツ
修理台の上に、革の切れ端が何枚も散らばっている光景を思い浮かべてみます。ぴったり合う一枚はありません。それでも大きさの近いものを選んで、継ぎ当てて、履ける状態にする。cobble together が描いているのは、この手つきです。
大事なのは、継ぎ目が見えたままだという点です。隠す時間も材料もないので、そのまま渡す。完成品ではなく、いま使える状態のものが出来上がります。
劇中の研究所も同じでした。ピペットとメスシリンダーという、本来まったく用途の違う道具を並べて飾りに仕立てる。あの継ぎはぎの手つきを思い出せば、この表現の手触りが残ります。
例文で覚える「cobble together」
時間や材料の不足を示す言葉と組むと、この表現は自然に収まります。3つの例文で見ていきましょう。
I cobbled together a presentation from last year’s slides.
(去年のスライドを寄せ集めて、なんとか発表資料を作った)
準備時間が足りなかった場面です。素材の出どころを添えると、間に合わせぶりが伝わります。
They cobbled together a team from three different departments.
(三つの部署からかき集めて、即席のチームを作った)
人員を寄せ集めた場面です。設計されたチームではないという含みが一語で出ます。
A: Dinner smells good. What did you make?
B: I cobbled something together from what was in the fridge.
A: Well, it works. I’d eat this again.
(A:いい匂いだね。何を作ったの?)
(B:冷蔵庫にあるもので適当にこしらえただけだよ)
(A:でも成立してる。また食べたいな)
ありもので済ませた場面です。something together の形にすると、軽い謙遜として響きます。
あわせて覚えたい関連表現
throw together
(〜を手早くまとめる、ざっと作る)
意味はほぼ重なりますが、より口語的で軽い響きです。cobble together が継ぎはぎの粗さを含むのに対して、こちらは速さのほうに焦点があります。
whip up
(〜をさっとこしらえる)
料理の場面でよく使われ、手際のよさを感じさせる言い方です。粗さを含む cobble together と違い、こちらは肯定的に響きます。
scrape together
(〜をかき集める)
お金や人数など、量が足りないものを何とか集める場面に向きます。集める苦労が中心で、組み立てる工程までは含みません。
Note|靴の修理場から出てきた「間に合わせ」
cobble という動詞には、石畳を意味する cobblestone と同じ音が入っています。ところがこの語の粗さは、石ではなく靴のほうから来ていると説明されるのが一般的です。
英語圏では長いあいだ、靴を新しく作る職人と、傷んだ靴を直す職人が別の呼び名を持っていました。前者は cordwainer と呼ばれ、上質な革を裁って一足を仕立てる技術を持つ者として扱われます。後者が cobbler で、持ち込まれた古い靴に手元の革を当てて履ける状態に戻す仕事です。両者は同業ではなく、扱う材料も求められる技術も違うものとして区別されていました。
この区別が、語の含みを決めていきます。cobbler の仕事は、材料を選べません。あるものを当てて、間に合わせる。そこから cobble という動詞に、ありあわせで直す、粗く継ぎ合わせるという色が付いたと言われています。cobble together が現在まで抱えている継ぎはぎの手触りは、この修理場の風景に由来するというわけです。
そう考えると、劇中でグッドマンがこの語を選んだことにも筋が通ります。実験器具は飾りつけの材料として作られたものではありません。手元にあるから使う。まさに修理場の発想です。
言葉の粗さには、たいてい出どころがあるのですね。
まとめ|継ぎ目の見えたままで
cobble together は、手元にあるものを寄せ集めて、間に合わせの形に仕立てることを表す言葉です。継ぎ目は見えたまま、それでも用は足している。その状態がこの一語に収まっています。
この表現を持っていると、完璧ではない仕事について語りやすくなります。言い訳を並べる代わりに、条件のなかでこう作ったと一息で示せる。自分の仕事に使えば謙遜になり、他人の仕事に使えば粗さの指摘にもなります。
飾りつけから逃げ出した所長の一言が、この語のいちばん正直な使い方を見せてくれました。ありものでどうにかした経験を語る言葉として、表現の引き出しに加えてみてください。


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