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誤解されたままにしたくなくて、「念のため言っておくけど」と自分の立場をはっきり口にした経験はありませんか。後で後悔しないように、これだけは明言しておきたい——そんな気持ちになる場面は、誰にでもあるものです。
そんなときにぴったりの「for the record」を、『CHUCK』シーズン3第13話の後半、酔いと失意のなかでチャックがサラに大事な問いを切り出す、その前置きのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「for the record」の意味とニュアンス
for the record
意味:はっきり言っておくと/念のため明言しておくと
直訳すると「記録のために」。会議や裁判の議事録(the record)に、自分の言葉をわざわざ書き残してもらう——そんなイメージから生まれた前置きの定型句です。自分の立場・意見・事実を「公式に、はっきり残しておきたい」という気持ちを、発言の前に添えます。
この表現が使われるのは、誤解を避けたいとき、自分の立場を明確にしておきたいとき、あるいは発言に重みや真剣さを持たせたいときです。For the record, I never agreed to that.(はっきり言っておくけど、私はそれに同意していない)のように、念押しや牽制として使われることが多い一方、肯定的な内容にも添えられます。文頭に置くのが基本で、続く言葉が「ただの思いつきではなく、きちんと表明したいこと」だと相手に伝えるはたらきがあります。報道やビジネスの場でもよく耳にする、フォーマル寄りの表現です。
【ここがポイント!】
- 核は「議事録に書き残す」ように、発言を公式・明確にする前置きのイメージ
- 誤解を避けたいとき、立場をはっきり表明したいときに文頭で使う一言
- 続く言葉に「きちんと言っておきたい」という重みを添えるのがコツ
『CHUCK』S03E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
サラを失うと思い込み、酒に沈んでいたチャック。そのチャックが、ずっと胸にあった問いをサラに切り出します。「一度だけ、はっきり訊いておきたい」という前置きに、後悔を残すまいとする覚悟がにじむ場面です。
Chuck: Really important question that I’d like to ask you now, if that’s okay. Just once, for the record… Sarah, do you love me?
(今どうしても訊きたい大事な質問があるんだ、いいかな。一度だけ、はっきり訊いておきたい… サラ、僕を愛してる?)Sarah: Yes.
(ええ。)Chuck Season3 Episode13(Chuck Versus the Other Guy)
シーン解説と心理考察
Just once, for the record という前置きに、チャックの覚悟が表れています。衝動でこぼれた問いではなく、「これだけは記録として残しておきたい」という切実さが、この一言に重なっています。
チャックは作中、ふだんは茶化したり言葉に詰まったりして、本心をまっすぐ口にするのが苦手なキャラクターとして描かれます。だからこそ、ここで for the record とあえて前置きしてから核心の問いを投げる姿は、普段との落差をともなって響きます。「一度だけ(just once)」という言葉が、もう後には引けないという覚悟を添え、続く問いの重みを引き立てています。失意のなかで本心を確かめにいく、シリーズでも印象的な場面です。
なお、このシーンは物語の大きな転換点に関わるため、ここではその後の展開には踏み込みません。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
会議や裁判の場で、書記が議事録(the record)に発言を書き留めていく光景を思い浮かべてみてください。「これは記録に残すからね」と前置きすると、その一言は公式で重いものになります。紙に刻まれて後々まで残る——その物理的なイメージが for the record です。
チャックが「一度だけ、はっきり訊いておきたい」と覚悟を込めて切り出したあの瞬間を、議事録に刻まれる言葉のイメージと重ねて覚えておくと、for the record が「はっきり言っておくと」という真剣な前置きだと体に残ります。
例文で覚える「for the record」
このフレーズは、自分の立場や意見を「念のためはっきり残しておく」場面で活躍します。フォーマル度の幅も含めて、3つの例文でつかんでみましょう。
For the record, I never agreed to that plan.
(はっきり言っておくけど、私はあの計画に同意した覚えはないよ。)
誤解を正して自分の立場を明確にする場面です。for the record の最も典型的な、念押し・牽制の使い方です。
For the record, this decision was made by the whole team, not just by me.
(記録として申し上げますが、この決定は私個人ではなくチーム全体で行ったものです。)
会議で責任の所在をはっきりさせる場面です。フォーマルな場では、こうして公式に立場を残す前置きとして機能します。
A: So you’re doing this just because the boss told you to?
B: For the record, I’m doing this because I think it’s right.
(A:じゃあ、上司に言われたからこれをやってるだけなの?)
(B:はっきりさせておくけど、正しいと思うからやってるんだよ。)
自分の意志を相手に明言する会話です。誤解にかぶせて、自分の本当の立場を残す使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
off the record
(ここだけの話/非公式に)
for the record のちょうど対になる表現です。記録に残さない・公にしない前提で話すときに使います。セットで覚えると、「記録に残す/残さない」の対比がくっきりつかめます。
to be clear
(はっきりさせておくと)
for the record と近い前置きですが、to be clear は「誤解を防ぐための明確化」に焦点があります。記録に残すという公式さのニュアンスは弱く、より会話的です。
just so you know
(一応言っておくと)
よりカジュアルで軽い念押しです。for the record が持つ「公式・記録」の重みはなく、ちょっとした情報を添えるときに気軽に使えます。
Note|for the record と off the record の対
for the record を語るうえで欠かせないのが、その対になる off the record です。この二つの対比には、報道やビジネスの現場で根づいた「記録に残す/残さない」という発想が映っています。
英語圏では、発言を「公式な記録に残すかどうか」を明示する習慣が、とくにジャーナリズムの世界で発達してきました。取材を受ける人が「これは on the record で(=記録に残してよい)」「これは off the record で(=記事にしないで)」と線引きするのは、報道の現場ではごく日常的なやり取りです。情報を引用してよいか、発言者を明かしてよいか——その境界を、話し手と聞き手が言葉で取り決めるわけです。この「記録に残す/残さない」を意識する感覚が、やがて一般の会話にも広がりました。for the record は「これは公式に言っておきたい」、off the record は「ここだけの話にして」という、日常の念押し表現として定着していきます。報道由来の言い回しが、ふつうの会話の温度調整に使われるようになった好例と言えます。
この対比を知ると、チャックの for the record がより立体的に見えてきます。彼は、ふだんは茶化してしまう本心を、あえて「記録に残す」側に置いた——その選び方に、二度と聞きそびれたくないという覚悟がにじんでいるのです。
「記録に残す」という一言が、覚悟の重みまで運ぶようになった表現です。
まとめ|立場をはっきり残しておく一言
for the record は、議事録に発言を書き残すイメージから生まれた、「はっきり言っておくと/念のため明言しておくと」を表す表現でした。続く言葉を「公式に、きちんと表明したいこと」として相手に伝える、というのがこの一言の核心です。
誤解を避けたいときも、立場を明確にしたいときも、文頭にこの一言を添えるだけで発言に重みが加わります。対になる off the record と一緒に、会話のレパートリーに加えてみてください。
ふだんは本心を茶化してしまうチャックが、あえて「記録に残す」と前置きして問いを投げたあの瞬間は、for the record が運ぶ覚悟の重みを、静かに見せてくれる場面でした。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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