海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何かを始めるかどうか、あれこれ考えて迷った末に、「よし、やろう」と最後のひと押しを自分に加える——そんな瞬間は、誰にでもありますよね。
今回学ぶのは 「pull the trigger」。迷いを断ち切って実行に踏み切る、という表現です。『CHUCK/チャック』シーズン4第21話で、ウェディングプランナーがチャックとサラに結婚式の最終決定を促す場面に登場します。準備が整い、いよいよ「決める」段になったやりとりから、一緒に見ていきましょう。
「pull the trigger」の意味とニュアンス
pull the trigger
意味:(迷いを断って)思い切って決断・実行に踏み切る
pull the trigger は文字どおりには「銃の引き金を引く」ですが、日常会話では「ずっと迷っていたことに、ついに踏み切る」という意味で広く使われます。引き金を引けばもう弾は戻せない——その「後戻りできない一手」という感覚が、そのまま比喩になっています。
ポイントは、単に「決める(decide)」よりも一歩進んで、「決めて、実際に行動を起こす」ところまでを含むことです。買うかどうか長く悩んでいた家を契約する、転職を申し出る、プロポーズする——考える段階を終えて、実行のボタンを押す場面にぴたりとはまります。ビジネスでも日常でも頻出で、「いつ pull the trigger するか」という形で「決行のタイミング」を話題にすることも多い表現です。
【ここがポイント!】
- 核は「引き金を引く=もう戻せない一手を実行する」というイメージ
- 「決める」だけでなく「決めて動き出す」までを含むのが持ち味
- 「いつ踏み切るか」とタイミングを語るときにも使える一言
『CHUCK/チャック』S04E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
結婚式の準備がひととおり整い、ウェディングプランナーのダフニがチャックとサラに最終確認をとる場面です。会場も花も料理もそろい、あとは「本当にこれで進めるか」を二人が決めるだけ。その最後のひと押しを促す一言に、このフレーズが使われます。
Daphne: It looks like everything is in place. We’ve got the location, the flowers, the food. So, are you two finally ready to pull the trigger on this?
(すべて整ったようですね。会場も、お花も、お料理も。それで、お二人はいよいよこれに踏み切るご準備はできましたか?)Chuck: No, we’re ready.
(いや、準備はできてます。)Sarah: No more changes.
(もう変更はなし。)Chuck Season4 Episode21(Chuck Versus the Wedding Planner)
シーン解説と心理考察
ダフニの pull the trigger は、迷いがちな新郎新婦に「もう決めていいんですよ」とそっと背中を押す一言として響きます。式の準備という後戻りしにくい決断を前に、彼女があえて「引き金を引く」という強い言い回しを選ぶことで、これが軽い確認ではなく「最終決定」なのだと会話の温度を引き締めています。
それに対してチャックの「No, we’re ready.」とサラの「No more changes.」は、迷いを断ち切った二人の即答です。短いやりとりの中に、ここまで揺れていた準備をようやく確定させる覚悟がにじむ場面と言えます。もっとも、この直後に物語は思わぬ方向へ転がっていくのですが、その落差を際立たせる意味でも、この「踏み切る」やりとりが効いています。
『CHUCK/チャック』流・覚え方のコツ
pull the trigger は、人差し指で引き金をゆっくり引く動作をそのまま思い浮かべると覚えやすい表現です。引き金は、引いた瞬間にもう元へは戻せません。ダフニの一言を受けて即答する二人の姿を、その「もう戻せない一手」に重ねてみてください。
頭の中で「買うか、やめるか」と天秤が揺れている状態から、カチッと引き金を引いて動き出す——その指先の感覚と「決めて動く」という意味をセットにしておくと、いざ英語で使うときに自然と口をついて出てきます。
例文で覚える「pull the trigger」
「踏み切る」対象(on 〜)と、タイミングを語る言い回しを意識すると、使いこなしの幅が広がります。3つの例文で感覚をつかんでみましょう。
We spent months comparing houses, and last week we finally pulled the trigger.
(何か月も家を比べ続けて、先週ついに踏み切ったんだ。)
長く迷った末の大きな買い物の場面です。finally と組み合わせると「ようやく決断した」という達成感が伝わります。
The company is still deciding whether to pull the trigger on the new project.
(その会社は新プロジェクトを実行に移すかどうか、まだ決めかねている。)
ビジネスで「決行するかどうか」を話す場面です。whether to と続けると、実行前の逡巡をうまく表せます。
A: Are you going to ask her out or not?
B: I know, I know. I just need to pull the trigger already.
(A:彼女をデートに誘うの、誘わないの?)
(B:わかってるよ。もう思い切って踏み切らなきゃ、ってだけなんだ。)
友人同士のくだけた会話です。already を添えると「いい加減、腹をくくらないと」という自分へのツッコミがにじみます。
あわせて覚えたい関連表現
take the plunge
(思い切って飛び込む)
水に飛び込む像から生まれた表現で、pull the trigger と同じく「勇気のいる決断を実行する」を指します。結婚や起業など、人生の大きな一歩に使われやすい点が特徴です。
bite the bullet
(歯を食いしばってやる)
こちらは「気は進まないが、避けられないことを覚悟してやる」ニュアンス。pull the trigger が「迷いを断って決行する」なら、bite the bullet は「嫌なことを腹をくくって受け入れる」に力点があります。
go for it
(思い切ってやってみる)
背中を押すときの定番フレーズです。pull the trigger より軽く、相手に「やっちゃいなよ」と勧める場面で気軽に使えます。
Note|銃の「引き金」が「決断」を運ぶようになるまで
pull the trigger がなぜ「決断して実行する」を意味するのか。その手がかりは、trigger という語がたどってきた道のりにあります。
trigger はもともと「引く」を意味するオランダ語系の語にさかのぼるとされ、銃や罠を作動させる「引き金」を指す語として英語に定着しました。引き金は、指をかけて引いた瞬間に一連の動作が一気に起こり、しかももう途中で止められません。この「小さな一手が、後戻りできない大きな結果を引き起こす」という性質から、trigger は動詞として「(出来事などを)引き起こす・作動させる」の意味を持つようになったと考えられています。pull the trigger という句も、この延長線上で「決定的な一手を、自分の意志で実行する」という比喩へ広がっていきました。近年ではビジネスの意思決定を語る場面で特に好まれ、「実行に移すか、まだ待つか」を表す定番句として根づいています。
こうして見ると、ダフニがチャックとサラに投げかけた pull the trigger も、単なる「決めましたか?」ではなく、「もう戻れない一手を、今ここで打ちますか?」という重みを帯びた問いだったことが見えてきます。
引き金にかけた指の力加減が、そのまま「決断」の手触りになっている表現です。
まとめ|チャックとサラの「もう戻さない」から学ぶこと
pull the trigger は、長く迷っていたことに、ついに自分の意志で踏み切る——その決定的な一手を表す表現です。「決める」で止まらず「決めて動き出す」ところまでを含むのが、この言い回しの核だと言えます。
買い物でも仕事でも人間関係でも、「そろそろ腹をくくらないと」という場面は誰にでも訪れます。そんなとき、この一言を思い出せば、揺れていた気持ちに区切りをつける感覚を英語でも表せます。
チャックとサラの「もう変更はなし」という即答の潔さとともに、この表現を会話のレパートリーに加えてみてくださいね。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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