海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
感動的な話を聞いているうちに、胸がいっぱいになって、言葉がうまく出てこなくなった経験はありませんか。
そんな場面で使える「choked up」を、『フレンズ』シーズン6第14話の前半、泣かないと言い張るチャンドラーに、ジョーイが子犬のたとえで迫るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「choked up」の意味とニュアンス
choked up
意味:感情が込み上げて、胸や喉が詰まる
choked up は、感動や悲しみで感情が込み上げ、喉や胸が詰まったようになる状態を表す表現です。choke は「息を詰まらせる」という意味の動詞で、そこに up が加わると、詰まった状態にすっかりなっているという感覚が出ます。涙が出ることもありますが、中心にあるのは「声や言葉が詰まる感じ」で、涙ぐむより一歩手前の、込み上げた状態を指すことが多い言い方です。
使い方には、get choked up と be choked up の形があります。get choked up は「そうなる」という変化を表し、be choked up は「そうなっている」という状態を表します。感動的なスピーチを聞いたとき、家族との別れの場面、思い出の曲を聞いたときなど、気持ちが動いて言葉に詰まる場面で広く使われます。
今回のシーンでは、get someone choked up の形で登場します。choked up の前に、get と人を表す you が付いて、「(人)を胸が詰まった状態にさせる」という意味になります。作中では「something that gets you choked up」と、「相手の胸を詰まらせるもの」を尋ねる形です。
【ここがポイント!】
- 「choked up」の核は、感情が込み上げて喉や胸が詰まり、言葉が出にくくなる状態
- get choked up は「そうなる」、be choked up は「そうなっている」という向きの違いがある
- get someone choked up の形にすると、「(人)をそうさせる」という意味になる
『フレンズ』S06E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
泣くことをめぐる話が続くなか、自分は泣かないタイプだと言うチャンドラーに、ジョーイが「胸に来ることが何かあるはずだ」と食い下がる場面です。三本脚の子犬、しゃべる子犬と、たとえを重ねるジョーイに、チャンドラーは冗談で切り返します。
Joey: Come on, man, there’s got to be something that gets you choked up. Like, uh… uh, what if you saw a three-legged puppy.
(なあ、お前だって胸に来ることが何かあるはずだろ。たとえば……その、三本脚の子犬を見たらどうだ?)Chandler: I’d be sad, sure… but I wouldn’t cry.
(そりゃ悲しくはなるよ……でも泣きはしないな。)Joey: Okay, what if the puppy said, “Help me, Chandler. All the other puppies pick on me.”
(じゃあ、その子犬が「助けて、チャンドラー。ほかの子犬たちがいじめるんだ」って言ったらどうだ?)Chandler: Cry? I just found a talking puppy. I’m rich.
(泣く? 俺は今、しゃべる子犬を見つけたんだぞ。大金持ちだ。)Friends Season6 Episode14(The One Where Chandler Can’t Cry)
シーン解説と心理考察
ジョーイの「Come on, man」は、相手を促す呼びかけで、泣かないというチャンドラーの言い分にどうしても納得できない様子が伝わってきます。「there’s got to be something」という言い方も、「何かないはずがない」という決めつけに近い響きで、チャンドラーが何かに心を動かされることを疑っていません。
続く「Like, uh… uh,」という言いよどみは、たとえを探しながら話している間です。そうして出てくるのが三本脚の子犬で、かわいそうな動物を思い浮かべさせて、胸に来る場面を作ろうとしています。チャンドラーは「悲しくはなるけれど泣きはしない」と、感情が動くこと自体は認めつつ、泣くところまでは行かないと線を引きます。
ジョーイは諦めず、子犬に「助けて、チャンドラー」としゃべらせ、ほかの子犬にいじめられていると訴えさせます。名前を呼びかけられる形にして、より身近に感じさせようとする工夫です。ところがチャンドラーは、泣くどころか「しゃべる子犬を見つけたなら大金持ちだ」と、話をお金の話に変えてしまいます。胸に来る場面のたとえを、稼げる見世物にすり替える切り返しで、本気で心を動かされた様子は見せていません。
心を動かそうと重ねるジョーイと、冗談で受け流し続けるチャンドラーという押し引きが、この場面の見どころです。真剣に食い下がるジョーイと、たとえの中身を金儲けの話に変えてしまうチャンドラーの温度差が、場面の笑いになっています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
喉に何かがぐっと詰まって、言葉がすんなり出てこない様子を思い浮かべてみましょう。choke は「息が詰まる」という感覚を持つ語なので、感情が喉のあたりで止まっている絵になります。up は、その状態にすっかりなる感覚を添えます。
ジョーイの「something that gets you choked up」も、この絵でとらえられます。チャンドラーの喉を詰まらせるものは何か、という探し方で、子犬というたとえを次々に持ち出していました。喉が詰まる瞬間を引き出そうとしても、チャンドラーは「泣く?」と聞き返して、あっさり別の話にしてしまいます。
choked up を見かけたら、涙よりも先に「言葉が詰まる感じ」を思い出すと、意味の中心をつかみやすくなります。
例文で覚える「choked up」
感情が込み上げる場面は、家族の行事から音楽まで幅広くあります。3つの例文で確認していきましょう。
I got choked up when my daughter gave her speech.
(娘のスピーチを聞いて、胸がいっぱいになった。)
家族の行事で感動した場面です。got choked up は「そうなった」という変化を表し、スピーチの最中に感情が込み上げた瞬間を描けます。
A: Did you cry at the ceremony?
B: Not exactly, but I did get a little choked up.
(A:式で泣いた?)
(B:泣いたってほどじゃないけど、ちょっと胸が詰まったよ。)
友人同士の会話です。「泣いたわけではないが、込み上げるものはあった」という、涙の手前の状態を伝えるときに、choked up がよく合います。
She sounded choked up on the phone.
(電話の彼女は、声が詰まっているようだった。)
電話越しの様子を伝える場面です。sounded と組み合わせると、声の調子から、感情が込み上げているらしいことが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
tear up
(涙ぐむ、目に涙が浮かぶ)
tear up は、目に涙が浮かぶことに重点があります。choked up は、喉が詰まって言葉が出にくい感じに重点があり、涙が伴うかどうかは決まっていません。
well up
(目に涙があふれてくる)
well up は、涙や感情が内側からせり上がってくる動きを表します。choked up は、そのせり上がったものが喉で止まっている状態そのものを指します。
break down
(泣き崩れる)
break down は、感情を抑えきれずに泣き出す段階を表します。choked up は、その手前の、込み上げたもののまだ抑えている状態にあたります。
Note|choked up と tear up と well up と break down、込み上げ方の段階の違い
感情が込み上げたときの表現には、いくつかの段階があります。choked up、tear up、well up、break down の4つを並べると、進み具合の違いが見えてきます。
choked up は、喉や胸が詰まり、言葉が出にくくなる段階です。tear up は、目に涙が浮かぶ段階で、涙が視界を曇らせます。well up は、目に涙がたまっていく動きそのものを表し、あふれる直前の様子にも使えます。break down は、こらえきれずに泣き出してしまう段階です。感情を抑える度合いで並べると、choked up と tear up は「まだこらえている」側、break down は「こらえきれなくなった」側と言えます。
日本語では「胸がいっぱいになる」「涙ぐむ」「泣き崩れる」と使い分ける言葉が、英語でも別の表現に分かれています。choked up は、そのうち「胸がいっぱいで言葉に詰まる」に近い位置にあります。
チャンドラーが泣かないと言うとき、ジョーイが探していたのは、この段階の一番手前にあたる、胸が詰まる瞬間でした。
まとめ|泣かなくても、胸は詰まる
choked up は、感情が込み上げて喉や胸が詰まり、言葉が出にくくなる状態を表す表現です。get choked up は変化、be choked up は状態、get someone choked up は「(人)をそうさせる」という形になります。
感動的な話を聞いた場面や、家族の行事、思い出の曲など、胸がいっぱいになった気持ちを伝える一言として、会話にすっと馴染みます。tear up や well up との段階の違いも押さえておくと、込み上げ具合に合わせて選べます。
ジョーイは子犬のたとえでチャンドラーの胸を詰まらせようとしましたが、返ってきたのは「大金持ちだ」の一言でした。心を動かそうとする側と、冗談で受け流す側の掛け合いが続いていく場面でした。


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