海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン6第18話では、映画のオーディションを受けたいジョーイに頼まれたチャンドラーが、10年話していない大学時代の知り合いのダナに連絡を取ります。頼みごとはすぐには口にせず、コーヒー、さらに食事と、会う約束を重ねていきます。
長く連絡していない相手に何かを頼むとき、どんな順序でどう切り出すか。頼む側と頼まれる側、両方の言葉から見ていきます。
「I would owe you so much」頼む側の押しと、借りを持ち出す返し
ダナが映画の監督になったと知ったジョーイは、チャンドラーにオーディションの口利きを頼みます。
Joey: You got to get me an audition.
(オーディション、受けられるようにしてくれよ。)
Chandler: I haven’t talked to her in ten years.
(彼女とはもう10年話してないんだぞ。)
Joey: Oh, no, no, no. Please, please, Chandler? I would owe you so much.
(いやいやいや、頼むよ、頼むって、チャンドラー。すごく恩に着るからさ。)
Chandler: You do owe me so much. You owe me $3,400…
(もう十分借りがあるだろ。3,400ドルの借りが……)
Friends Season6 Episode18(The One Where Ross Dates a Student)
You got to get me ~ の got to は have got to の口語的な形で、「〜してくれなきゃ」という強い頼み方になります。get me an audition は「get+人+もの」の形で、「人のためにものを手に入れる」という意味です。
チャンドラーの I haven’t talked to her in ten years. は、現在完了の否定に in+期間 を続けて「〜年話していない」と言う形です。期間を表すのに for を使うことも多く、アメリカ英語では in が使われる場面もあると言われます。
ジョーイの I would owe you so much. は、would で「引き受けてくれたら」という仮定を含ませ、恩に着ると伝えています。チャンドラーは同じ owe を使い、do で強めて「すでに借りはある」と返します。金額まで挙げて切り返す、冗談まじりのやり取りです。頼む側は先に感謝を差し出し、頼まれる側はこれまでの貸しを持ち出して軽く押し返しています。このあとチャンドラーは、やってみると引き受けます。
「You got to put in some time」10年ぶりの相手には、まず時間をかける
ダナとの電話を終えたチャンドラーは、オーディションの話まではたどり着かず、コーヒーに誘ってから話すつもりだとジョーイに伝えます。それを聞いたモニカとのやり取りです。
Monica: Wow. So, now you’re going on a date with this girl?
(へえ。じゃあ今度はその子とデートするってわけ?)
Chandler: Honey, it is not a date. I haven’t talked to her in ten years. You can’t call up somebody you haven’t talked to in ten years and ask them for a favor.
(ハニー、デートじゃないって。10年話してないんだぞ。10年話してない相手に電話して頼みごとをするなんて、できないよ。)
Chandler: There are rules. You got to put in some time.
(ルールってものがあるんだ。ちゃんと時間をかけないと。)
Friends Season6 Episode18(The One Where Ross Dates a Student)
モニカの going on a date は「デートに出かける」で、チャンドラーは it is not a date とそのまま打ち消しています。
call up は「電話をかける」、ask ~ for a favor は「〜に頼みごとをする」です。put in some time は「時間を費やす」という意味で、ここでは頼む前に会って関係を温め直すことを指しています。There are rules. と前置きしてから理由を続けることで、頼みごとには手順があるという考えを示しています。
場面がカフェのセントラルパークに移り、チャンドラーが友達のジョーイの話を出しかけると、ダナは学校時代の知り合いのハウイーの話を始めます。
Dana: Apparently, Howie’s editing now.
(ハウイーって、今は編集の仕事をしてるらしいの。)
Dana: Yeah. He calls me up and asks me if he can edit my new movie.
(そう。電話してきて、私の新作を編集させてくれないかって言うのよ。)
Dana: Can you believe that? You know, I haven’t spoken to him in what, ten years, and he asks me for a favor?
(信じられる?だって、もう何年かしら、10年は話してないのに、頼みごとしてくるなんて。)
Chandler: Yeah, I’ve always hated that Howie.
(ああ、ハウイーのやつは昔から嫌いだったよ。)
Dana: No, no “how you doing?” Man, I mean, not even a cup of coffee first.
(「元気?」の一言もないの。まったく、まずコーヒー1杯もなしによ。)
Friends Season6 Episode18(The One Where Ross Dates a Student)
Can you believe that? は「信じられる?」と相手に同意を求めながら、あきれた気持ちを伝えるひと言です。ダナの言い分は、チャンドラーがモニカに話した「ルール」を、頼まれる側から言い直したものになっています。not even ~ first は「先に〜すらない」と、順序を飛ばしたことへの不満を表します。チャンドラーはダナに合わせて返し、この日は頼みごとを口にしません。
「Would it be possible for him to ~?」可能性を尋ねる形で頼む
レストランの場面では、ダナが、チャンドラーに好意を持たれていると受け取り、そういう気持ちはないと伝えます。チャンドラーが「つらい」と口にしたあと、話は頼みごとへ進みます。
Chandler: Well, maybe there is one thing you can do.
(まあ、一つだけ、してもらえることがあるかもな。)
Dana: What? Anything. Anything.
(何?何でもするわ、何でも。)
Friends Season6 Episode18(The One Where Ross Dates a Student)
maybe there is one thing ~ は、本題の前に「一つだけ」と範囲を絞って示す前置きです。maybe を添えることで、押しつける響きがやわらぎます。Anything. を重ねるダナの返事は、何でも引き受けるつもりだと示す短い受け答えです。チャンドラーは俳優の友達がいると話したうえで、こう続けます。
Chandler: Um, but, um… would it be possible for him to get an audition for your movie say, on Thursday?
(えっと、でも、その……そいつが君の映画のオーディションを受けることって、できないかな、たとえば木曜日とか?)
Dana: But you’d really feel better about me rejecting you if your actor friend can audition for my movie?
(でも、私に断られたことが、お友達の俳優が私の映画のオーディションを受けられたら、本当に気が晴れるの?)
Friends Season6 Episode18(The One Where Ross Dates a Student)
Would it be possible for ~ to …? は「〜が…することは可能でしょうか」と、相手に断る余地を残して頼む丁寧な形です。for him で、恩恵を受けるのが自分ではなく友達だと示しています。say は「たとえば」と候補を挙げるときの言い方です。ダナの問い返しは、断られた話と友達のオーディションを結びつけた頼み方に、そのまま疑問を向けています。
まとめ|久しぶりの相手に頼むときの英語
I would owe you so much で頼み込み、You got to put in some time で頼む前の順序を語り、Would it be possible for him to ~? で可能性を尋ねる流れを見てきました。頼む側と頼まれる側の両方の言葉をあわせて読むと、頼みごとの切り出し方が立体的に見えてきます。
次回も『フレンズ』と一緒に、場面の中の英語を味わっていきましょう。
この回のほかのコラムやフレーズ記事では、同じエピソードの別の場面の英語を取り上げています。


コメント