海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン6第3話では、一緒に住む準備を進めていたモニカとチャンドラーが、部屋の使い道をめぐってけんかになります。そこへ割って入るのがロスです。仲裁の言葉に対して、チャンドラーは「be fond of」と「have a soft spot for」を使い分けて答えます。
二人の言い合いに第三者として口を出すとき、英語ではどう切り出し、どう説得するのでしょうか。仲裁の流れと、二つの「好き」の違いを順に見ていきます。
「What’s all this about ~?」けんか中の二人に割って入る
モニカとチャンドラーが大げんかをして同居をやめた、とレイチェルから聞いたロスは、チャンドラーを連れてモニカの部屋に入ってきます。
Ross: What’s all this about you guys fighting?
(二人がけんかしてるって、いったいどういうことなんだ?)
Ross: Is this really over a room? I mean, that is so silly.
(本当に部屋のことでもめてるのか?だって、そんなのすごくばかげてるだろ。)
Friends Season6 Episode3(The One with Ross’ Denial)
What’s all this about ~? は「〜って、いったい何の話?」と、聞きつけた騒ぎについて説明を求める切り出し方です。all this が付くことで、ただの質問ではなく、穏やかではない状況に首を突っ込む響きが出ます。続く Is this really over ~? の over は「〜をめぐって」と争いの原因を示す前置詞で、really を添えることで「本当にそんなことで?」という驚きが加わります。
モニカは自分たちで何とかできると返しますが、ロスは引き下がりません。大事に思う二人がばかげたことで傷つくのを、stand by and watch(黙って見ている)わけにはいかないと続け、こう言い切ります。
Ross: I mean, enough of the silliness.
(とにかく、ばかげたことはもうたくさんだ。)
Chandler: Why don’t you tell her to stop being silly?
(じゃあ、彼女にばかなことはやめろって言ってやってよ。)
Friends Season6 Episode3(The One with Ross’ Denial)
Enough of ~. は「〜はもうたくさん」と、続いている状態を打ち切りたいときの言い方です。チャンドラーはロスの silly という言葉をそのまま借り、悪いのはモニカの方だと言わんばかりに返します。仲裁に入った人の言葉が、当事者同士の言い合いの道具になってしまうやりとりです。
「Do you really wanna throw that all away?」二人の今を思い出させて迫る
二人が互いにからかい合ったところで、ロスは話を本題へ戻します。
Ross: Two very good points.
(どっちも、実にごもっともだ。)
Ross: Look, I’ve known you both a long time.
(いいか、俺は二人とも長いこと知ってる。)
Ross: And I’ve never seen either of you one-millionth as happy as you’ve been since you got together.
(それに、付き合い始めてからの今の幸せの100万分の1ほども、どっちかが幸せそうにしてるのを見たことがなかった。)
Ross: Do you really wanna throw that all away over a room?
(部屋のことで、それを全部捨てるつもりか?)
Ross: That is so silly.
(そんなのすごくばかげてるよ。)
Ross: I mean, what’s more important, love or silliness?
(つまり、何が大事なんだ?愛か、ばかばかしさか?)
Friends Season6 Episode3(The One with Ross’ Denial)
Two very good points. は本来「どちらも的を射ている」とほめる言い方ですが、ここではからかい合う二人を皮肉まじりに受け流す言い方として読めます。そのあと Look で注意を引き、I’ve known you both a long time. と二人との付き合いの長さを前置きにするのは、言いにくいことを言う前の地ならしになっています。
one-millionth as happy as ~ は「〜の100万分の1ほども幸せ」という大げさな比較です。I’ve never seen と組み合わせることで、付き合い始めてからの二人が、それまでとは比べものにならないほど幸せそうだと伝える言い回しになります。
説得の中心は throw that all away です。throw away は「捨てる」、all が加わると「何もかも捨てる」となり、over a room で「部屋ごときのために」という釣り合わなさが強調されます。最後の What’s more important, A or B? は二択を突きつける形で、ロスは「愛か、ばかばかしさか」と、答えが一つに決まっているように見える問いで迫ります。
「be fond of」と「have a soft spot for」二つの「好き」で二択に答える
ロスの二択に、チャンドラーはこう返します。
Chandler: Well, we are fond of the silliness. But we also have a soft spot for the love.
(まあ、俺たちはばかばかしいのも好きなんだよね。でも、愛にも弱いんだ。)
Friends Season6 Episode3(The One with Ross’ Denial)
be fond of ~ は「〜が好きだ、〜に愛着がある」という意味で、like より少し穏やかで、長く親しんでいるものへの好意を表すことが多い言い方です。一方の have a soft spot for ~ は「〜に弱い、〜につい甘くなる」という意味で、理屈抜きで心を動かされてしまう相手や物に使われることがあります。
| 表現 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| be fond of ~ | 〜が好きだ | 穏やかな好意・愛着 |
| have a soft spot for ~ | 〜に弱い | 理屈抜きでひかれてしまう |
チャンドラーはこの二つを並べ、「どちらか」を選ばずに「どちらも」と答える形です。ロスが silliness を否定的な意味で使ったのに対し、それも気に入っていると返すことで、二択そのものをかわす冗談として読めます。
そのあと、ロスは一人ずつ気持ちを確かめていきます。
Ross: Now, Chandler, you wanna live with Monica, right?
(よし、チャンドラー、モニカと住みたいんだよな?)
Chandler: Yeah, I do.
(うん、住みたい。)
Ross: And, Mon, you wanna live with Chandler, don’t you?
(で、モン、チャンドラーと住みたいだろ?)
Monica: Yes.
(ええ。)
Ross: Good. A verbal contract is binding in the state of New York.
(よし。ニューヨーク州じゃ、口約束にも拘束力があるんだ。)
Friends Season6 Episode3(The One with Ross’ Denial)
~, right? と ~, don’t you? はどちらも付加疑問で、相手に「はい」と言わせる確認の形です。ロスは二人の返事を verbal contract(口頭での約束)という堅い言葉で締めくくり、その場で同居の話を確定させています。
まとめ|けんかの仲裁に返す英語
What’s all this about ~? で割って入り、throw that all away と What’s more important, A or B? で迫る仲裁の流れと、be fond of と have a soft spot for の違いを見てきました。同じ「好き」も、気持ちの向き方で言い分けられます。
ロスの説得を思い出しながら観ると、仲裁の英語が立体的に見えます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の英語を扱っています。


コメント