海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン5第6話には、ロスを怒らせてしまった仲間4人が、そろってロスのもとへ謝りに行く場面があります。フィービーは謝るための歌まで用意してきますが、ほかの仲間が次々に謝り始め、歌はなかなか始まりません。
謝る側の言い方に加えて、自分の出番や言葉を先に使われたときの言い方を、同じ部屋で続く短いやりとりの流れの中から順に見ていきます。
「I feel really bad.」謝りに来た仲間が切り出す一言
仲間とのやりとりでロスを怒らせてしまったあと、場面は荷物が運び出されたロスの部屋に移ります。ロスは壁の穴をふさいでいて、そこへモニカ、チャンドラー、ジョーイ、フィービーの4人がやって来ます。まだ怒っているかと聞かれたロスは、怒っていると答えます。
Phoebe: Oh, good, ‘cause we have an “I’m sorry” song.
(よかった、だって「ごめんね」の歌があるの。)
Ross: You know what? I’m really not in the mood.
(あのさ、今はほんとにそんな気分じゃないんだ。)
Joey: Look, Ross, I feel really bad.
(なあロス、本当に悪かったと思ってるんだ。)
Joey: I mean, you’re going through all this stuff
(だってさ、お前はいろいろ大変なのに)
Joey: and… I just acted like a jerk.
(俺、ただの嫌なやつだった。)
Friends Season5 Episode6(The One With The Yeti)
「怒っている」という答えに Oh, good と返すフィービーの一言は、話がかみ合っていない返しになっています。ロスの I’m really not in the mood. は「そういう気分じゃない」と、相手の申し出を断るときに使えます。
ジョーイの I feel really bad. は、直訳の「気分が悪い」ではなく、「申し訳なく思っている」という意味で使われています。sorry と言う前に自分の気持ちを伝える形で、謝罪の切り出しとして使われることがある形です。
go through ~ は「(つらいことを)経験している、くぐり抜けている」という意味で、all this stuff と組み合わせると、相手が抱えている事情をぼかして指す言い方になります。act like a jerk は「嫌なやつのようにふるまう」で、自分の態度を責めるときに使われます。
ここまでで、フィービーが用意した歌はまだ一度も始まっていません。ジョーイの謝罪が先に始まったことで、歌の出番は後ろへずれていきます。
「stepping on the song」と「taking lines right out of the song」
ジョーイに続いてチャンドラーも謝ると、フィービーはチャンドラーに向かって不満を口にします。さらにジョーイとモニカが言葉を重ねると、フィービーの言い方が変わります。
Chandler: Yeah, we are so sorry.
(ああ、本当にごめん。)
Phoebe: You’re kind of stepping on the song.
(ちょっと、歌の出番にかぶせちゃってるんだけど。)
Joey: Look… we were way out of line, all right? We totally support you.
(なあ……俺たち、本当に出過ぎたまねをした。な? 全力で応援するからさ。)
Monica: Whatever you decide, whatever you do.
(何を決めても、何をしても。)
Phoebe: Okay, now you’re just taking lines right out of the song.
(ちょっと、今度は歌の歌詞をそのまま使ってるじゃない。)
Friends Season5 Episode6(The One With The Yeti)
step on ~ は文字どおりには「〜を踏む」ですが、ここでは「人の出番にかぶせて台無しにする」という意味です。舞台や会話で、相手の台詞や話の締めに自分の声をかぶせることを step on と言う場合があります。フィービーは、歌で謝るはずだった場面に、チャンドラーが先に謝罪の言葉を入れてしまったことを指しています。kind of を入れて「ちょっと」と和らげているので、責める調子は強くありません。
一方の take lines out of ~ は「〜から言葉を抜き出して使う」という意味で、フィービーは、ジョーイとモニカが歌と同じ言葉を先に言ってしまったと訴えています。英語には「まさに言おうとしていたことを先に言う」という意味の take the words right out of my mouth という言い回しもあり、これに近い発想の言い方です。
二つを比べると、step on はタイミングや出番への割り込み、take lines out of は言おうとしていた中身を先に使われることを指しています。
ジョーイの way out of line は「すっかり度を越していた」、We totally support you. は「全面的に支える」という意味です。モニカの Whatever you decide, whatever you do. は、何を選んでも味方でいると伝えるひと言です。歌の中身は、この場面では最後まで明かされません。
「I really need you guys right now.」謝罪を受け止めて、関係を戻す
謝罪を重ねる仲間に、ロスはこう答えます。歌を始めようとしたフィービーをモニカが止め、話は夕食の誘いへと移ります。
Ross: Look, this is hard enough, okay. I really need you guys right now.
(いいか、ただでさえきついんだ。今は本当にみんなが必要なんだよ。)
Phoebe: Yes. Exactly. And that’s why…
(そう、その通り。だからこそ……)
Monica: Why don’t you come over tonight and I’ll make you your favorite dinner?
(今夜うちに来ない? あなたの好きな料理を作るから。)
Ross: Thanks, you guys.
(ありがとう、みんな。)
Friends Season5 Episode6(The One With The Yeti)
hard enough は「ただでさえ大変だ」という意味で、今の状況のつらさを先に伝える前置きとして働いています。そのうえでロスは I really need you guys right now. と、謝罪を受け入れる方向の言葉を返しています。you guys は男女を問わず「みんな」と呼びかける言い方です。
フィービーの Yes. Exactly. And that’s why… は、相手の言葉に乗って自分の話につなげようとする形で、ここでは歌に入るための前置きになっています。ただ、その歌はまたしても止められます。
モニカの Why don’t you ~? は「〜しない?」と誘う言い方で、come over は「(自分の家に)来る」を表します。誘いのあとに I’ll make you ~ と、相手のためにすることを添えています。ロスの Thanks, you guys. で、この場面の謝罪はひと区切りになります。
まとめ|先に言われたときの英語と謝る英語
I feel really bad や way out of line で謝る言い方、stepping on the song と taking lines right out of the song で出番や言葉を先に使われたと伝える言い方を見てきました。似た場面でも、割り込まれたのがタイミングか中身かで言い方が変わります。
歌い出せないフィービーに注目しながら観ると、この場面の英語がより身近に感じられます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の会話を別の角度から取り上げています。


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