海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友達のちょっと変わった言動やクセを見ていて、思わず「もう、そういうとこ本当に面白いんだから」と楽しくなってしまうこと、ありますよね。
そんな気持ちを表すのが「get a kick out of」で、何かから大きな楽しみや面白さを感じることを意味します。『フレンズ』シーズン5第6話、大切な毛皮のコートを燃やそうとする風変わりなフィービーを、レイチェルが「あなたのそういうところ、面白いのよ」となだめるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get a kick out of」の意味とニュアンス
get a kick out of
意味:〜が面白くてたまらない、〜を大いに楽しむ
get a kick out of は、何かから強い楽しさ・面白さ・スリルを得ることを表します。ここでの kick は「蹴る」ではなく、「快感」「わくわくする刺激」を意味する名詞です。out of の後ろには、その楽しみの源となる人・もの・行為が続きます。
ただ「楽しい」よりも一段強い、思わず心が弾むような愉快さを含むのが持ち味です。しかもその面白さの対象が、少し意外なもの・変わったものであることが多く、「そんなことが面白いの?」というちょっとした驚きを伴います。
I get a real kick out of it(それがもう本当に面白くてね)のように、real や big を挟んで面白さの度合いを強めることもよくあります。今回のシーンでも a big kick という形で、その楽しさの大きさが強調されています。
【ここがポイント!】
- kick は「蹴る」ではなく「快感・わくわくする刺激」を表す名詞
- ただ楽しいより一段強い、心が弾むような面白さを表す一言
- big や real を挟んで面白さの度合いを盛れるのがコツ
『フレンズ』S05E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
祖母から譲り受けた毛皮のコートを、動物愛護の信条から火葬しようとするフィービー。その突飛な行動を止めようと、レイチェルはコートの価値を必死に訴えつつ、フィービーの個性を持ち上げます。
Rachel: Phoebe? Honey? Honey, I know you’re quirky and I get a big kick out of it. We all do, actually. But if you destroy a coat like this, I mean, that is like a crime against nature.
(フィービー?ねえ?あなたが変わり者なのは分かってるし、私、それがすっごく面白いのよ。っていうか、みんなそう思ってる。でもこんなコートを台無しにするなんて、それこそ自然への冒涜よ。)Phoebe: No, not nature. Fashion.
(違うわ、自然じゃない。ファッションよ。)Rachel: This is fashion?
(これがファッション?)Friends Season5 Episode6(The One With The Yeti)
シーン解説と心理考察
I get a big kick out of it という一言は、レイチェルの説得テクニックの巧みさを物語っています。彼女はフィービーの「変わり者(quirky)」な部分を否定せず、むしろ「それが面白い」と肯定してから、本題のコートの話へ持っていこうとしているのです。
get a kick out of の「意外なものを面白がる」というニュアンスが、この場面で絶妙に効いています。フィービーの奇抜さは、時に周囲を困らせもしますが、レイチェルはそれを「みんなが楽しんでいる魅力」として位置づけます。We all do, actually(っていうか、みんなそう)という補足が、その肯定をグループ全体の気持ちへと広げていく様子が伝わってきます。
それでも我が道を行くフィービーが、「自然じゃない、ファッションよ」と切り返すあたりに、彼女の一貫したマイペースぶりが表れています。レイチェルの持ち上げすら軽やかにかわしていく、その掛け合いが見どころです。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
get a kick out of は、面白いものに出会った瞬間、心の中で思わずポンと軽くジャンプするような、あの弾む感覚をイメージすると覚えやすくなります。kick という言葉が持つ「ポンと弾ける」動きが、そのまま「わくわくする楽しさ」に重なります。
このシーンのレイチェルが、フィービーの奇妙さを前に呆れながらも、どこか楽しそうにしている表情を思い浮かべてください。「もう、変わってるんだから」と言いつつ心が弾んでいる、あの感覚こそ get a kick out of です。面白いものに触れて心がポンと跳ねる動きと結びつければ、意味がすっと入ってきます。
例文で覚える「get a kick out of」
get a kick out of は、何かを心から面白がっている気持ちを伝えるときに活躍します。3つの場面で見ていきましょう。
My grandpa gets a real kick out of teaching the kids card tricks.
(うちのおじいちゃん、子どもたちにトランプの手品を教えるのが面白くてたまらないみたい。)
ほほえましい日常の一場面です。real を挟むことで、その楽しみようの大きさが伝わります。
The boss gets a kick out of surprising the team with small rewards.
(うちの上司、ちょっとしたご褒美でチームを驚かせるのを楽しんでるんだ。)
職場での人物描写です。「そんなことを楽しんでいる」という、少し意外な一面を表しています。
A: Why do you keep watching those blooper videos?
B: I don’t know, I just get a kick out of them.
(A:なんでそのNG集の動画ばっかり見てるの?)
(B:さあ、なんかもう面白くてたまらなくて。)
理由を説明する往復会話です。them のように、楽しみの対象を代名詞で受けることもできます。
あわせて覚えたい関連表現
have a blast
(最高に楽しむ、大いに盛り上がる)
イベントやパーティーなど、その場の体験を思いきり楽しむことを表します。get a kick out of が「特定の対象を面白がる」のに対し、have a blast は「その時間全体を楽しむ」点が違います。
get a thrill out of
(〜にスリルを感じる、わくわくする)
get a kick out of とほぼ同じ構造で、out of の後ろに楽しみの源を続けます。thrill は「ぞくぞくする興奮」を指すため、より刺激的・スリリングな楽しさに寄る点が特徴です。
find something amusing
(〜を面白いと思う)
より落ち着いた、控えめな面白がり方を表します。get a kick out of の「心が弾む」熱量に比べると、静かに楽しんでいるニュアンスになります。
Note|「楽しい」の強度マップ ― enjoy と get a kick out of の距離
get a kick out of を覚えると、英語の「楽しい」を表す表現たちが、それぞれどのくらいの熱量を持っているのか、その地図が気になってきます。
いちばん守備範囲が広いのは enjoy です。食事も映画も休暇も、対象を選ばず「楽しむ」と言える万能選手で、熱量は控えめから高めまで自在に調整できます。have fun は「楽しい時間を過ごす」ことに焦点があり、パーティーや遊びなど、体験そのものを楽しむ場面で活躍します。そこから一段熱量が上がるのが get a kick out of です。単に楽しいのではなく、心がポンと弾むような面白さ、しかも対象がちょっと意外なものであることが多いのが特徴です。友達の変わったクセ、上司の妙な趣味、NG集の動画――「そんなものが?」と言いたくなる対象にこそ、この表現がはまります。さらに have a blast まで行くと、「最高に盛り上がった!」という爆発的な楽しさになり、イベントや旅行の感想として使われる、熱量の頂点に近い表現です。
このシーンでレイチェルが選んだのは、enjoy でも have fun でもなく、get a big kick out of でした。フィービーの奇抜さという「意外な対象」を面白がっている、という気持ちの質を伝えるには、この表現がいちばん正確だったからです。しかも big を挟んで熱量をさらに一段上げている、細かな調整も効いています。
楽しさの強度マップの中で、自分の気持ちがどこにあるか。それを探すのも英語の楽しみ方のひとつです。
まとめ|レイチェルの説得術から学ぶ「面白くてたまらない」
get a kick out of は、何かから大きな楽しみや面白さを感じることを表す表現です。kick が持つ「ポンと来る刺激」のイメージが、心が弾むような愉快さを言い当てています。
この表現があると、ただ「楽しい」で終わらせず、「もう面白くてたまらない」という一段強い気持ちや、意外なものを面白がるニュアンスを英語で伝えられるようになります。
フィービーの個性を面白がりながら説得を試みるレイチェルのように、get a kick out of を会話のレパートリーに加えてみてください。


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