海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
節約上手な相手が得意げに見せた工夫に、感心するより先に、大げさな相づちで返したくなった経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「God forbid」を、『フレンズ』シーズン6第8話の中盤、古いパンストを使った工夫に満足するモニカに、チャンドラーが大げさな相づちで返す場面から、一緒に見ていきましょう。
「God forbid」の意味とニュアンス
God forbid
意味:〜なんてとんでもない・万が一〜したら大変だ
God forbidは、直訳すると「神がそれを禁じますように」です。「そんなことが起きませんように」という強い打ち消しの気持ちを、ひと言で伝える慣用表現です。
多くは「God forbid + 主語 + 動詞」の形で使われ、「万が一〜なんてことになったら」という意味になります。たとえば「God forbid anything happens to him」なら、「彼に万が一のことがあったら大変だ」と、起きてほしくない事態への強い懸念を表します。
もうひとつの使い方が、皮肉です。大した問題ではない事柄に対して「そんなことをしたら大変だ」と大げさに応じると、相手のこだわりや言動を軽くからかう言い方になります。字面が大げさなぶん、皮肉としての効き目が出やすい表現です。
場面で使われている形は「God forbid we throw out old underwear」で、見出しのGod forbidのあとに、主語のweと動詞のthrow outが続く形になっています。
【ここがポイント!】
- 「God forbid」の核は、「そんなことが起きませんように」という強い打ち消し
- 「God forbid + 主語 + 動詞」で、「万が一〜したら大変だ」と言い表せる
- 些細な事柄に大げさに使うと、皮肉としてからかう一言になる
『フレンズ』S06E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
モニカとチャンドラーが、古いパンストを使った香りづけの工夫を話題にしている場面です。モニカが「無駄にならなかった」と満足げに話すと、チャンドラーは大げさな相づちで返します。そのままジョーイのところへ行くと切り出し、二人のやり取りは続いていきます。相づちの中に、God forbidが登場します。
Monica: Now our drawers will smell nice and we didn’t waste these pantyhose.
(これで引き出しがいい香りになるし、このパンストも無駄にならなかったわ。)Chandler: Yes, God forbid we throw out old underwear. I’m-I’m going to… I’m going to go over to Joey’s.
(ああ、そうだね、古い下着を捨てるなんてとんでもない話だよな。俺、ちょっと……ジョーイのところに行ってくる。)Monica: We’re suppose to organize the wrapping-paper drawer.
(包装紙の引き出しを整理することになってるでしょ。)Chandler: Yes, but I feel like I’ve really gotten in touch with my feminine side enough today, you know.
(そうなんだけど、今日はもう自分の女性的な面と十分ふれあった気がするんだよ、わかるだろ。)Friends Season6 Episode8(The One with Ross’s Teeth)
シーン解説と心理考察
チャンドラーの返しは「Yes」で始まります。相手の話に同意する形を取りながら、続く内容は「古い下着を捨てるなんてとんでもない」という大げさなものです。同意の言葉と大げさな中身のずれが、皮肉として効いています。
モニカが誇らしげに語ったのは、古いパンストを無駄にしなかったという工夫です。それに対して、捨てないことをまるで重大な決まりのように持ち上げる返しは、モニカの節約ぶりを軽くからかっています。主語にweを使い、自分も含めた言い方にしています。
そのすぐ後で、チャンドラーは「I’m-I’m going to… I’m going to go over to Joey’s」と続けます。言いよどみを重ねながら、ジョーイのところへ行くという別の話へ移ろうとしています。
モニカが引き出しの整理の予定を持ち出すと、チャンドラーは再び「Yes, but」で受け止めます。「Yes」で始めて別の方向へ向かう話し方が、この場面のチャンドラーの持ち味になっています。
二人の会話は、モニカの満足げな報告から、チャンドラーの皮肉、予定の確認へとテンポよく進みます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
「神様、どうかそれだけは」と両手を合わせて祈る姿を思い浮かべてみましょう。本気で祈れば、「万が一〜だけは勘弁してほしい」という懸念になります。同じ祈りを大げさに演じれば、「〜なんてとんでもない」という皮肉に変わります。
チャンドラーの場面では、古い下着を捨てるという些細な行為を、まるで一大事のように扱っていました。祈るほどの事態ではないのに、祈るような言い方をする。そのずれが皮肉の正体です。
「God forbid + we + 動詞」の形をひとまとまりで口に出して覚えると、使いどころが定着します。動詞の部分だけを入れ替えれば、身の回りの些細な出来事にもそのまま当てはめられます。
例文で覚える「God forbid」
本気の懸念にも皮肉にも使えるGod forbidを、3つの例文で確認していきましょう。
God forbid anything happens to my dog while I’m away.
(留守の間に犬に何かあったら大変だ。)
心配事を語る場面です。起きてほしくない事態を「anything happens」と示すと、本気の懸念として伝わります。
A: I’m going to throw out this old sweater.
B: Yes, God forbid we keep anything useful.
(A:この古いセーターを捨てるよ。)
(B:そうね、役に立つ物を持っておくなんてとんでもないわよね。)
皮肉を込めて返す往復会話です。相手の言動を、あえて逆の方向から大げさに持ち上げると、からかいの一言になります。チャンドラーの返し方と同じ運びです。
God forbid the meeting ends early.
(会議が早く終わるなんてことがあったら大変だ。)
長引きがちな会議への皮肉です。望ましい出来事にGod forbidを付けると、「それは困る」という皮肉になります。
あわせて覚えたい関連表現
heaven forbid
(とんでもない・万が一〜だけは)
heaven forbidは、God forbidのGodをheavenに置き換えた形で、意味はほぼ同じです。後ろに文を続ける使い方もそのまま共通しています。
perish the thought
(とんでもない・縁起でもない)
perish the thoughtは、単独で「そんなことは考えたくもない」と打ち消す言い方です。God forbidのように後ろへ文を続ける形ではない点が異なります。
the last thing I want is
(一番避けたいのは〜だ)
the last thing I want isは、望まない事態を率直に述べる言い方です。God forbidのような皮肉の響きは持たない点が異なります。
Note|同じGod forbidが「万が一」にも「とんでもない(皮肉)」にもなる理由
God forbidは、日本語にすると「万が一〜したら大変だ」にも「〜なんてとんでもない」にもなります。英語では同じ表現なのに、日本語では雰囲気の違う言葉になるため、訳し分けが必要です。
分かれ目は、後ろに続く内容の大きさにあります。事故や病気のように、本当に起きてほしくない重大な事態が続くなら、本気の懸念です。「万が一〜」「〜だけは勘弁してほしい」と訳せます。一方、古い下着を捨てる、会議が早く終わるといった、些細な内容や望ましい出来事が続くなら、大げさに演じた皮肉になります。「〜なんてとんでもないよな」と、少しからかう調子で訳せます。
チャンドラーの場面では、続く内容が「古い下着を捨てる」という些細な行為です。ここで「万が一〜」と訳すと、本気で心配しているような、意味の通らない場面になってしまいます。
同じ英語でも、後ろに続く内容の大きさで日本語が変わります。
まとめ|大げさな「とんでもない」で返す一言
God forbidは、直訳すると「神がそれを禁じますように」という強い打ち消しの表現です。重大な事態には「万が一〜だけは勘弁」、些細な事柄には「〜なんてとんでもない」という皮肉になります。
どちらの意味になるかを決めるのは、後ろに続く内容の大きさです。「God forbid + 主語 + 動詞」の形で覚えておくと、本気の心配にも、軽い皮肉にも使えます。文字どおりの意味が大げさなぶん、話し手の温度がそのまま伝わりやすい表現でもあります。
チャンドラーは、同意の「Yes」で始めながら、大げさな言い方でモニカの工夫をからかっていました。こだわりを軽く受け流したいときに使える一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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