海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰の手も借りず、自分の力だけでやってみせると意気込んだ経験はありませんか。
そんな決意を英語で言い切りたいときに使える「make it on one’s own」を、『フレンズ』シーズン6第20話の前半、ジョーイの練習に付き合っていたフィービーが、練習を切り上げられて言い放つ場面から、一緒に見ていきましょう。
「make it on one’s own」の意味とニュアンス
make it on one’s own
意味:(人の助けを借りずに)自力で成功する・やっていく
make it on one’s own は、誰の力も借りず、自分だけの力で成果を出すという意味の表現です。make it は「成功する」「うまくやりおおせる」、on one’s own は「自分だけで」「自力で」を表します。この2つが組み合わさると、助けなしにやり遂げる決意や実績を示す言い方になります。
one’s の部分は、主語に合わせて形が変わります。主語が I なら make it on my own、主語が she なら make it on her own、主語が we なら make it on our own です。今回のシーンの I’m going to make it on my own は、be going to を使って「自力でやり遂げてみせる」と意志を表す宣言の形です。
on one’s own は単独でも使え、「一人で」「自力で」という意味になります。live on one’s own なら「一人暮らしをする」、do it on one’s own なら「自分だけでやる」です。make it が付くと、単に一人で行うだけでなく、その結果として成功する、うまくやりおおせるという意味が加わります。
独立や自立を語る場面のほか、「手伝いは要らない」と伝える場面でも使えます。「今回は自分一人でやり遂げたい」という気持ちを、短い言葉で言い切れる表現です。
【ここがポイント!】
- 「make it on one’s own」の核は、誰の助けも借りずに、自分の力で成果まで出すこと
- one’s は主語に合わせて my / your / his / her / our / their と変わる
- I’m going to make it on my own のように be going to と組み合わせると、決意の宣言になる
『フレンズ』S06E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーイが役の台詞を声に出して練習し、フィービーがその相手をつとめています。フィービーは自分の演技の出来にたいそう自信を持っていて、ジョーイが切り上げようと言い出すと、その一言に大きな声で反応します。
Joey: Well, I thought I was pretty good, too.
(いや、俺だって結構いい線いってたと思うけどな。)Phoebe: Oh, yeah, you’re solid. You’re just no… me.
(ああ、そうね、あなたも堅実よ。ただ、その……私には及ばないだけ。)Joey: You know what? I think that’s enough for now. I don’t want to be over-rehearsed.
(なあ、今日のところはここまでにしよう。練習しすぎになるのは嫌なんだ。)Phoebe: Fine! I’ll do it without you! I don’t need you or anybody else! I’m going to make it on my own!
(いいわよ! あなたなしでやるから! あなたも、ほかの誰も必要ないわ! 私は自分一人でやり遂げてみせる!)Friends Season6 Episode20(The One with Mac and C.H.E.E.S.E.)
シーン解説と心理考察
ジョーイの「Well, I thought I was pretty good, too.」の too は、フィービーが少し前から語っていた自分の演技への自信を受けて、自分もよく演じられたと言い添えるひと言です。ジョーイは張り合うというより、控えめに自分の出来に触れています。
これに対するフィービーの「Oh, yeah, you’re solid.」は、solid が「堅実な」「しっかりした」というほめ言葉なので、字面ではジョーイをほめています。ところが、すぐあとの「You’re just no… me.」で、ほめた相手よりも自分のほうが上だと告げています。no のあとに「……」の間が置かれ、そのあとに me が来る形なので、ほめるふりをして最後に自分(me)を置く運びです。ほめ言葉に見えて、実は自画自賛という構造です。
ジョーイの「You know what? I think that’s enough for now.」は、練習を切り上げる合図です。理由として挙げる「I don’t want to be over-rehearsed.」は「練習しすぎになりたくない」という意味で、over- が「〜しすぎる」を表します。相手の自賛にこれ以上付き合わず、ほどほどのところで区切りたいという意図が読み取れます。
最後のフィービーの「Fine!」は、納得した返事というより、不満をのみ込んだ返事です。「I’ll do it without you!」「I don’t need you or anybody else!」と勢いよく続け、練習を切り上げられたことを、まるで関係を断つ出来事のように大きく言い立てます。そして「I’m going to make it on my own!」で、その大きな決意がひとつの宣言にまとまります。
この場面の笑いどころは、決意の大きさと、きっかけの小ささの落差です。練習を切り上げられただけなのに、フィービーは「誰の助けも借りずに成功してみせる」という人生の独立宣言のような言い方をします。make it on my own は、本来は自立や成功を語る重い場面で使う表現ですが、ここでは軽い出来事に付けることで、大げさな決意表明のおかしさを引き立てています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
make it は「目的地にたどり着く」、on は「〜を土台にして」、own は「自分のもの」と分けて思い浮かべてみましょう。ほかの人の手を離し、自分のものだけを土台にして、目的地までたどり着く。その一連の動きが、make it on one’s own の意味そのものです。
フィービーの「I’m going to make it on my own!」も、ジョーイの手を離して、自分だけの足取りで進むという宣言でした。「相手なしでやる」「誰も要らない」と言い切ったあとに、この一文が来るので、頼る相手を一人ずつ外していき、最後に自分だけが残る形になります。この並びごと覚えると、make it on one’s own が「自力」を表す言い方として定着しやすくなります。
主語に合わせて one’s の形が変わる点は、my / your / his / her / our / their を並べて声に出してみると、口が覚えてくれます。
例文で覚える「make it on one’s own」
自立する場面でも、手伝いを断る場面でも、この表現は同じ形で使えます。3つの例文で確認していきましょう。
She moved to Chicago to make it on her own as a designer.
(彼女はデザイナーとして自力で成功するため、シカゴに引っ越した。)
親元や地元を離れて、自分の力で挑戦する人を紹介する場面です。主語が she なので、one’s が her に変わっています。as a designer のように立場を添えると、何で成功を目指すのかが伝わります。
A: Do you need a hand with the project?
B: No, thanks. I want to make it on my own this time.
(A:プロジェクト、手伝おうか?)
(B:ありがとう、でも今回は自分一人でやり遂げたいんだ。)
手伝いの申し出を断る場面の会話です。this time を添えると、「今回は」という区切りがつき、いつも一人でやるわけではないという含みが出ます。
After college, he decided to make it on his own instead of joining the family business.
(大学を出たあと、彼は家業に入らず、自力でやっていくことに決めた。)
進路を選ぶ場面です。instead of joining the family business が、頼らない対象をはっきり示しています。decided to のあとに動詞の原形が続く形なので、make it on his own の形がそのまま入ります。
あわせて覚えたい関連表現
stand on one’s own two feet
(自立する)
自分の足で立つように、生活や仕事の面で人に頼らず自立している状態を表します。make it on one’s own が自力で成果まで出すことに重点があるのに対し、stand on one’s own two feet は自立した状態そのものに重点があります。
go it alone
(単独でやる)
人と組まず、単独で進むという行動の選び方を表します。make it on one’s own は自力で成功することまで含みますが、go it alone は「一人でやる」という選択にとどまります。
by oneself
(一人で)
周りに人がおらず、一人で行うという状態を表します。成功のニュアンスは持たないので、「一人で出かける」「一人で食べる」のような場面でもそのまま使えます。
Note|on one’s own と by oneself は、成し遂げる力まで含むかどうかが違う
on one’s own と by oneself は、どちらも「一人で」と訳せます。ところが、この2つは、伝える中身が少し違います。
by oneself は、周りに人がいない、誰の手も借りずに行うという状態を、そのまま述べる言い方です。たとえば「一人で食事をする」なら、eat by oneself で、その場に人がいないことを示します。一方、on one’s own は、その状態に加えて、自分の力や自分の責任で行うという意味が入ります。「自力で」「独立して」と訳せる場面が多いのは、このためです。
live by oneself と live on one’s own は、どちらも「一人で暮らす」と訳せますが、on one’s own のほうには、親元を離れて自分の責任で暮らす、という自立の含みが加わります。make it on one’s own が「自力で成功する」という意味になるのも、この on one’s own の性格が、make it の「うまくやりおおせる」と結びついているからです。
フィービーの「I’m going to make it on my own!」は、単に「一人でやる」と言っているのではなく、誰にも頼らず、自分の力で成し遂げてみせるという宣言でした。「一人で」の中身が、状態か、力かで、使う表現が変わります。
同じ「一人で」でも、伝えたい中身で言葉を選べるようになると、英語の幅が広がります。
まとめ|一人でやり遂げるという宣言を、大げさに言い切る
make it on one’s own は、誰の助けも借りず、自分の力で成功する、やっていくという意味の表現です。make it が「うまくやりおおせる」、on one’s own が「自力で」を表し、one’s は主語に合わせて形が変わります。
I’m going to make it on my own のように be going to と組み合わせれば決意の宣言に、I want to make it on my own this time のように want to と組み合わせれば、手伝いを断る場面にも使えます。単に一人で行う状態を述べる by oneself とは違い、自力で成し遂げる意味まで含む点が、この表現の特徴です。
ジョーイに練習を切り上げられたフィービーが、人生の独立宣言のように言い放つ様子には、決意の大きさときっかけの小ささの落差が表れていました。自分の力でやり遂げたい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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