「the big cheese」の意味と使い方|『Friends』S06E20で学ぶ英会話

「the big cheese」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

職場や仲間内で一番偉い人、いちばん目立つ人を、少し冗談めかして呼びたくなった経験はありませんか。

そんな場面で使える「the big cheese」を、『フレンズ』シーズン6第20話の前半、ジョーイが新しいTV番組のオーディションについて話し、レイチェルが軽口で盛り上げる場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「the big cheese」の意味とニュアンス

the big cheese
意味:大物、偉い人、その集団のトップに立つ人

the big cheese は、組織や集団の中で一番偉い人、いちばん影響力のある人を指す口語表現です。big は「大きな」、cheese は食べ物のチーズですが、この2語が組み合わさると、その場の中心にどんと構える大物の姿を指す言い方になります。

冠詞の the は、その集団に一人しかいない「頂点」を示します。社長や部長のように、決定権を持つ一人を、くだけた調子で呼ぶときに向いています。真面目に役職を述べる言い方ではなく、少しからかうような、あるいは親しみを込めたような響きがあるため、友人同士の会話や、職場の軽いやり取りで使われます。

近い意味の big shot は「有力者」「大物」を広く指す表現で、the big cheese は集団の頂点に立つ人という点に重心があります。今回のシーンでは、レイチェルが you’ll be like the big cheese と言っており、like を使って「〜のような立場になる」と話しています。

もうひとつ、この場面には言葉遊びが重なっています。ジョーイが受けようとしている番組のタイトルは「マック・アンド・チーズ」で、cheese が話題の中心にあります。その流れで the big cheese と言い、すぐに the Big Mac(ハンバーガーの名前)と続けているため、食べ物の言葉を並べた軽い洒落にもなっています。

【ここがポイント!】

  • 「the big cheese」の核は、集団の頂点に立つ、いちばん偉い人や影響力のある人
  • 役職を述べる言い方ではなく、冗談めかしたくだけた口語
  • 作中の you’ll be like the big cheese のように、like で「〜のような立場になる」と言える

『フレンズ』S06E20のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジョーイが新しいTV番組の役に応募したと話し、仲間たちが番組のタイトルに盛り上がっています。役の名前はマックで、その相棒であるロボットの正式名の頭文字を並べると「チーズ」と読めるため、タイトルが「マック・アンド・チーズ」になるという流れです。

Rachel: So, Mac and cheese.
(つまり、マック・アンド・チーズってことね。)

Joey: That’s the title. You know, they really lucked out that the initials spell “cheese.”
(それがタイトルなんだ。なあ、頭文字が「チーズ」って読めるなんて、ほんとにラッキーだよな。)

Chandler: That is lucky.
(たしかにラッキーだな。)

Rachel: So, Joey, if you get this you’re going to be, like, the star of your own TV show. I mean, you’ll be like the big cheese. Or the Big Mac. Hey, you love those.
(ねえ、ジョーイ、これが取れたら、自分のTV番組の主役になるようなものじゃない。つまりね、大物(ビッグ・チーズ)みたいになるってこと。それか、ビッグマックね。ほら、あれ大好きでしょ。)

Joey: Well, don’t get your hopes up because it’s probably not going to happen.
(まあ、あんまり期待しないでくれよ。たぶん無理だと思うから。)

Friends Season6 Episode20(The One with Mac and C.H.E.E.S.E.)

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シーン解説と心理考察

レイチェルの「So, Mac and cheese.」は、ジョーイの説明を受けて、番組名を確認するひと言です。ここから会話は、タイトルの頭文字の話へ進みます。

ジョーイの「they really lucked out that the initials spell “cheese.”」の lucked out は「運よく〜になる」という意味で、they は番組を作る側を指します。役のロボットの正式名を並べると「チーズ」と読めることを、ジョーイは、作り手の運がよかったと受け取っています。チャンドラーの「That is lucky.」は、ジョーイの言葉をそのまま繰り返す形の、そっけない返事です。頭文字に合わせて作られた名前を運のよさと受け取るジョーイへの、チャンドラーらしい皮肉として読めます。

続くレイチェルは、ジョーイに向かって「これが取れたら、自分のTV番組の主役になる」と話を先に進め、「you’ll be like the big cheese」と言います。ジョーイの役はまだ決まっていないので、the big cheese は実現した姿ではなく、期待をふくらませた場合の未来の姿です。番組の頭文字が cheese であることを受けて、主役になる=チーズの大物という洒落を利かせています。

そこへ「Or the Big Mac. Hey, you love those.」と続けるのが、この台詞の後半です。the Big Mac は、ハンバーガーの名前と、役の名前マックの両方に掛かった言葉遊びで、「大物でもいいし、ビッグマックでもいい。ほら、好きでしょう」と軽く畳みかけています。「you love those」は、ビッグマックが好きだという小ネタで、レイチェルが励ましを冗談に包んでいる様子が伝わります。

ジョーイの返事「don’t get your hopes up」は、「あんまり期待しないでくれ」という意味で、期待するなと注意する相手は周りの仲間ですが、実際には自分自身に言い聞かせているようにも聞こえます。「it’s probably not going to happen」と、役が取れる見込みを低く見積もる言い方をしており、大物になれるという言葉を素直に受け取れない様子です。このあとジョーイは、自分がそこまでの器なのか自信がないと打ち明け、仲間から「You’re a terrific actor.」と励まされる流れになります。

冗談で持ち上げるレイチェルと、謙遜で受け止めるジョーイの温度差が、この場面の見どころです。the big cheese という言葉は、その軽さを支える役割を果たしています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

大きなチーズの塊が、食卓の真ん中にどんと置かれている様子を思い浮かべてみましょう。いちばん大きく、いちばん目立つものが、その場の中心になる。その感覚が、集団の頂点に立つ人を指す言い方につながっています。

レイチェルの「you’ll be like the big cheese」も、番組の主役という「その場の中心」に座るジョーイの姿を、チーズの塊に重ねた言い方でした。番組名のチーズと、役のポジションの大きさが、同じ絵の中に収まっています。

big(大きい)と cheese(チーズ)を別々に思い浮かべてから、「大きいもの=中心にいる人」という連想で意味をたどると、初めて聞く場面でも意味を思い出しやすくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「the big cheese」

職場でも家族の話でも、この表現は同じ形で使えます。3つの例文で確認していきましょう。

Everyone waited for the big cheese to make the final call.
(全員が、一番偉い人が最終判断を下すのを待っていた。)
決裁者の判断を待つ職場の場面です。the big cheese が「最終判断を下す人」として、話の中心に立っています。make the final call のように、決定にかかわる言葉と一緒に使うと、意味がはっきりします。

A: Who’s in charge here?
B: The big cheese is in the corner office.
(A:ここの責任者は誰?)
(B:一番偉い人は角の部屋にいるよ。)
責任者を尋ねる会話です。in the corner office と場所を添えると、偉い人のいる場所まで具体的に伝わります。

Grandpa sits at the head of the table like the big cheese.
(おじいちゃんは、食卓の上座に、一家の大物のような顔で座っている。)
家族の食事の場面です。家族の中で一番決定権のある人を、冗談めかして指しています。like the big cheese の形はドラマと同じで、実際の肩書きではなく、そう見えるふるまいを軽く描いています。

あわせて覚えたい関連表現

big shot
(大物、有力者)
影響力のある人を広く指す表現です。the big cheese が集団の頂点に立つ人という点に重心があるのに対し、big shot は頂点に限らず、力のある人を指します。

head honcho
(親玉、責任者)
一番偉い人を指す、くだけた言い方です。the big cheese と近い意味で、honcho はグループの長を指す語です。

VIP
(要人、重要人物)
扱いが特別な人という、客観的な言い方です。the big cheese は冗談めいた口語で、VIP は扱いの特別さを示す点が異なります。

Note|the big cheese は「一人の頂点」、a big cheese は「大物の一人」

big cheese の前には、the が付く形と、a が付く形があります。この2つは、同じ「大物」を指しますが、示す人数の感覚が違います。

the big cheese は、その集団にただ一人いる頂点の人を指します。会社なら社長、部署なら部長のように、「あの人がトップだ」と特定できる人物です。今回のシーンの you’ll be like the big cheese も、番組の主役という一人の中心を指しています。

一方、a big cheese は、大物のうちの一人を指します。「業界の大物の一人だ」「彼は、その会社の大物の一人だ」のように、頂点に限らず、影響力のある人が複数いるなかの一人を紹介するときに向いています。

似た意味の big shot と a big cheese は、どちらも大物の一人を指す近い言い方です。the をつけて頂点の一人に絞れる点が、the big cheese の特徴です。

レイチェルがジョーイに向かって使った the big cheese は、番組の主役という、一人しかいない中心の座を指しています。冠詞の the が、その唯一感を担っています。

冠詞ひとつで、頂点の一人か、大物の一人かが変わります。

まとめ|チーズの大物になる、と軽く持ち上げる一言

the big cheese は、組織や集団の中で一番偉い人、いちばん影響力のある人を指す口語表現です。冠詞の the が、その集団の頂点に立つ一人を示し、役職を述べる真面目な言い方ではなく、冗談めかした、くだけた響きを持っています。

you’ll be like the big cheese のように like と組み合わせれば、「〜のような立場になる」と将来の姿を語れます。a big cheese にすれば、大物の一人を紹介する言い方になります。big shot、head honcho、VIP といった近い表現との違いは、頂点かどうか、冗談めかすかどうかで整理できます。

ジョーイの役の話に、番組名の頭文字と言葉遊びを重ねて励ますレイチェルと、期待をふくらませないでほしいと返すジョーイの様子には、冗談で持ち上げる側と、謙遜で受け止める側の温度差が表れていました。集団の中心に立つ人を軽く持ち上げたい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。

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