海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
経験から言って「たいていこうなる」と伝えたいのに、どう言えばよいか迷った経験はありませんか。
そんな場面で使える「more often than not」を、『フレンズ』シーズン6第19話の後半、旅行に出るエリザベスを見送るロスが、日焼け止めの中身を疑ってみせるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「more often than not」の意味とニュアンス
more often than not
意味:たいてい、たいていの場合は
more often than not は、「そうでない場合より、そうである場合のほうが多い」という傾向を表す表現です。日本語では「たいてい」「たいていの場合は」にあたります。
直訳すると、「そうでない(not)場合よりも(than)、もっと頻繁に(more often)」になります。「そうである回数」が「そうでない回数」を上回っている、つまり半分より多い、という比較の感覚が残る言い方です。
always のように「例外なくいつも」とは言い切らず、少しは例外もあると認めたうえで、傾向として述べます。話し手が経験や見通しから語る傾向を、やわらかく言い切りたいときに向いています。
位置は文頭でも文中でも文末でも置けます。作中では「I swear to God」に続けて、文の中ほどに置かれています。「I swear to God」は「誓って言うけど」と強調する言い方で、そのあとに more often than not を続けることで、たまにではなくたいていそうなのだ、という強調が加わっています。
【ここがポイント!】
- 「more often than not」の核は、そうでない場合より、そうである場合のほうが多いという傾向
- always ほど言い切らず、少しは例外もあると認めたうえで、傾向として述べる
- 文頭・文中・文末のどこにでも置ける
『フレンズ』S06E19のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
旅行に出るエリザベスに、ロスが別れの挨拶をかける場面です。ロスは、水着を隠していたことを笑い話にしたあと、心配なのは健康、つまり日焼けだと話題を変えます。エリザベスは日焼け止めを持っていると答え、ロスはその中身を疑い始めます。
Ross: No, I’m concerned about your health… um, sun exposure.
(いや、俺が心配してるのは君の健康なんだ……ええと、日焼けだよ。)Elizabeth: Oh, don’t worry. I have plenty of sunblock. It’s SPF-30.
(あ、大丈夫よ。日焼け止めならたっぷり持ってるから。SPF30なの。)Ross: Well, if what’s in the bottle is actually 30. I mean, sometimes you get 30 sometimes it’s four. And I swear to God more often than not, it’s just milk.
(まあ、瓶の中身が本当に30ならね。つまり、30のこともあれば、4のこともあるんだ。それに誓って言うけど、たいていはただの牛乳なんだよ。)Elizabeth: Ross, it’s going to be okay.
(ロス、大丈夫だから。)Friends Season6 Episode19(The One with Joey’s Fridge)
シーン解説と心理考察
「I’m concerned about your health」と言い直すロスの心配は、健康への配慮という形で語られます。「No,」で始まり、「…」や「um」で言いよどんでいるのは、直前まで別の話をしていたところから、話の向きを変えているためです。少し前の場面で、ロスは旅行に持っていく水着を見て、人前で着るのかと戸惑っていました。日焼けの心配という形で、その気がかりが表に出ている様子もうかがえます。
エリザベスは「don’t worry」と受け、日焼け止めをたっぷり持っていること、SPF30であることを具体的に答えます。心配される側として、必要な準備は整えていると伝える返答です。日焼け止めという身近な物と数字で答えることで、漠然とした心配を具体的な話に引き戻しています。ロスが次に疑うのは、その数字が本物かどうかでした。
ここからロスの発言が大げさになっていきます。「if what’s in the bottle is actually 30」と、まず瓶の中身が表示どおりなのかを疑います。次に「sometimes you get 30 sometimes it’s four」と、30のときもあれば4のときもあると、表示と実際の差を挙げます。そして「I swear to God more often than not, it’s just milk」と続け、たいていはただの牛乳だと言い切ります。more often than not が入ることで、話が「たまに外れる」から「たいていは外れる」へ膨らみ、冗談の度合いが一段上がります。
もちろん、これは事実の主張ではなく、心配を引き延ばすための誇張です。牛乳が入っている日焼け止めを、本気で警戒する話ではありません。エリザベスが「Ross, it’s going to be okay.」と名前を呼んで落ち着かせるように返す流れも、冗談まじりの心配をなだめるやり取りになっています。
この後、エリザベスは、休んで友人と過ごすために行くのだと説明します。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
天秤を思い浮かべてみましょう。片側に「そうである回数」、もう片側に「そうでない回数」を載せます。more often than not は、その天秤が「そうである側」に傾いている様子で、半分より多い、という感覚を言い表します。
ロスの冗談では、日焼け止めの瓶が「たいてい牛乳」という設定になっていました。天秤でいえば、「本物の日焼け止めが出てくる回数」より「牛乳が出てくる回数」のほうが多い状態です。実際にはありえない傾きを口にするからこそ、大げさな冗談として成り立っています。回数の天秤がどちらに傾いているかを言い切る言葉、と覚えておくと使いやすくなります。
例文で覚える「more often than not」
傾向を述べるときに使える more often than not を、3つの例文で確認していきましょう。
More often than not, the train is late on Mondays.
(たいてい、月曜は電車が遅れる。)
通勤の傾向を話す場面です。文頭に置くと、これから述べる内容が傾向であることを最初に示せます。
A: Does he call you back?
B: More often than not, yes.
(A:彼は折り返しの電話をくれる?)
(B:たいていはね。)
相手の傾向を尋ねる会話です。短い返答として単独で置くと、「たいていはそう」という答えになります。
More often than not, the first draft needs a lot of changes.
(たいていの場合、最初の草稿は大幅な修正が必要になる。)
仕事の傾向を説明する場面です。ビジネスの文脈でも、経験からの傾向を述べるときに使えます。
あわせて覚えたい関連表現
usually
(たいてい、普通は)
usually は習慣的にそうなることを表します。more often than not は、そうでない場合より多いという比較の感覚が残ります。
most of the time
(ほとんどの場合)
most of the time は時間の大部分を占めることを表します。more often than not は、そうなる回数が、そうならない回数を上回ることを表します。
by and large
(概して、おおむね)
by and large は全体を見渡した評価を述べます。more often than not は、回数に重点があります。
Note|more often than not は、always と usually の間で例外を認める言い方
more often than not は、always や usually と並べて考えると、位置づけが見えてきます。三つとも「よくそうなる」という方向の表現ですが、例外の扱いが違います。
always は、例外なくいつもそうなる、という言い切りです。usually は、習慣として普通はそうなる、という言い方で、例外の存在は前提にしつつ、話の焦点は「普通の状態」に置かれます。それに対して more often than not は、「そうである回数」と「そうでない回数」を比べたうえで、前者のほうが多い、と述べます。例外の存在を認めていることが、表現そのものに含まれています。
たとえば The bus is always late. なら、例外なく遅れる、という強い言い方です。The bus is usually late. なら、遅れるのが普通の状態だ、という言い方です。The bus is late more often than not. なら、遅れない日もあるが、遅れる日のほうが多い、という比較の言い方になります。
ロスの冗談も、この比較の感覚があるから成り立っています。「たいていは牛乳」という言い方は、「ときどき本物が出る」ことを認めたうえで、牛乳のほうが多いと大げさに言っているため、笑いになっています。always と言い切るより、例外を残した言い方のほうが、冗談として自然に聞こえます。
例外を認めつつ傾向を述べたいときに、more often than not は都合のよい選択肢になります。
まとめ|例外を認めつつ、傾向を言い切る
more often than not は、そうでない場合より、そうである場合のほうが多いという傾向を表す表現です。always ほど言い切らず、usually よりも回数の比較の感覚が残ります。
文頭・文中・文末のどこにでも置ける点も、あわせて押さえておくと使いやすくなります。
日焼け止めの中身を疑うロスは、「たいていはただの牛乳」と誇張して、心配を冗談に変えていました。エリザベスは名前を呼んで落ち着かせ、二人のやり取りの温度が、表現の使い方を通して見える場面でした。


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