「no can do」の意味と使い方|『フレンズ』S02E09で学ぶ英会話

「no can do」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

頼み込む相手が、理由も説明せず短い一言で扉を閉じてしまう。そういう瞬間が、ドラマには時々あります。

そんな瞬間にぴったりの「no can do」を、『フレンズ』シーズン2第9話の終盤、暑さで蒸し風呂と化したパーティーで、ロスが管理人に修理を頼み込むシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「no can do」の意味とニュアンス

no can do
意味:それは無理だ、できない相談だ

三語だけで「できない」を伝える口語表現です。主語もなければ助動詞の形も整っていません。文法的には明らかに壊れているのに、英語話者はこれを迷いなく使います。

I can’t do that. と比べると、響きが軽く、そして突き放しています。理由の説明も丁寧な前置きもないため、断りの意思だけが剥き出しで残るからです。同僚や友人など、気心の知れた相手への軽い断りには向きますが、取引先や目上の相手に使うと冷たく響く恐れがあります。

on を続けて対象を示すこともできます。No can do on the discount. と言えば「値引きは無理だ」となり、断る範囲を限定できます。また said no can do のように、引用の形で「無理だと言われた」と伝えることも可能です。

【ここがポイント!】

  • 「no can do」の核は、三語で扉が閉まる音のようなイメージ
  • 文法が壊れていることが、この表現の軽さと突き放した響きを支えている一言
  • 親しい相手にはよくても、フォーマルな場では避けるのが無難なところ

『フレンズ』S02E09のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ラジエーターのつまみが壊れ、モニカの部屋は真冬のクリスマスパーティーだというのに蒸し風呂状態。レイチェルに「今をつかまない男」と言われたロスは、汚名返上とばかりに管理人トリーガーへ五十ドルを握らせ、修理を頼み込みます。その返答が、今回のフレーズです。

Ross: Oh, hey. Do you think there’s a chance you can fix that radiator now?
(あの、ラジエーターを今直してもらえる見込みはありますかね?)

Treeger: No can do. Like I told the girl, I can’t get a new knob until Tuesday.
(無理だね。あの子にも言ったが、火曜まで新しいつまみは手に入らないんだ)

Chandler: Looks like he’s playing baseball.
(どうやら野球でもやってるみたいだな)

Ross: You mean hardball?
(ハードボールってことか?)

Friends Season2 Episode9(The One with Phoebe’s Dad)

Amazon Prime Videoで見る ※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)

シーン解説と心理考察

トリーガーの返答に、駆け引きの気配がまったくないところが見どころです。彼は金銭で動いているわけでも、もったいぶっているわけでもありません。火曜まで部品が入らない。ただそれだけを、三語で告げています。

ところがロスにはそれが伝わりません。彼は「seize the day しない男」という汚名を返上するために動いており、断られた理由を聞き取る余裕を失っています。だからさらに五十ドルを重ね、また同じ答えを受け取ることになります。必死さが理解を鈍らせていく過程が、この短いやり取りに表れています。

チャンドラーとロスの「baseball」「hardball」の応酬も、この空回りを引き立てる一手です。強気の駆け引きだと解釈したい二人と、そもそも駆け引きなどしていない管理人。すれ違いのまま会話が閉じられていくところに、この場面の可笑しさが宿っています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

三語だけで扉が閉まる音を想像してください。No。Can。Do。理由の説明も、申し訳なさそうな前置きもありません。言葉が足りないぶん、断りの意思だけが残ります。文法的におかしいことが、この表現の突き放した軽さをそのまま支えているのです。

劇中では、必死に札束を差し出すロスの前に、トリーガーがこの三語を落とします。ロスの努力は宙に浮き、次の場面ではまた五十ドルが追加される。掴もうとする男と、掴ませない三語。この対比を覚えておけば、no can do が取りつく島のない断りであることが、身体の感覚として残ります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「no can do」

軽く断る、範囲を限定して断る、断られた事実を伝える。三つの使い方を確かめていきましょう。

Lend you my car this weekend? Sorry, no can do.
(今週末に車を貸す?悪いけど、それは無理だ)
友人の頼みを軽く断る場面です。sorry を添えることで、突き放した響きがやわらぎ、関係を壊さずに済みます。

No can do on the discount, but I can throw in free shipping.
(値引きは無理ですが、送料は無料にできます)
交渉で一方を断り、別の案を出す場面です。on を続けると断る対象が限定され、代替案への流れも自然に作れます。

A: Can you cover my shift tomorrow?
B: No can do. I’ve got my sister’s wedding.
(A:明日のシフト、代わってもらえない?)
(B:無理だな。妹の結婚式があるんだ)
同僚からの依頼を断る場面です。三語で断ったあと理由を添えることで、冷たさを残さずに済ませています。

あわせて覚えたい関連表現

I’m afraid not.
(残念ながら無理です)
丁寧で改まった断り方です。no can do が肩をすくめる仕草を伴うのに対し、こちらは姿勢を正して発せられます。ビジネスや目上の相手にはこちらが適切です。

That’s not going to happen.
(そうはならないよ)
拒絶の意思が強く、やや冷たく響きます。no can do には「できるものならしたい」という含みが残る場合がありますが、こちらにはそれがありません。

Not a chance.
(とんでもない、絶対に無理だ)
可能性そのものを否定する強い表現です。no can do は状況的にできないだけで、拒絶の強度はずっと低いところが違いになります。

Note|文法が壊れたまま生き残った表現たち

no can do。主語がなく、助動詞の後に原形が二つ並ぶこの三語は、英文法のどの規則にも収まりません。

由来については、19世紀の交易圏で用いられたピジン英語に遡るという説が広く紹介されています。ピジンとは、異なる言語を話す者どうしが交易のために作り上げた簡易的な共通語のこと。動詞の活用や時制を切り捨て、語順だけで意味を伝える構造を持ちます。その簡潔さゆえに、no can do のような形が生まれ、やがて英語話者のあいだにも定着していったとされています。同じ系譜に属する表現として long time no see(久しぶり)がしばしば挙げられます。

興味深いのは、これらが「訂正されずに」生き残った点です。文法的に正しい I can’t do that. や It’s been a long time. がすでに存在するにもかかわらず、崩れた形のほうが日常会話で愛用され続けている。壊れていること自体が、この表現の親しみやすさを生んでいるからです。整った文には距離があり、崩れた文には気安さがある。話し手はその差を無意識に使い分けています。

トリーガーがロスに no can do と言えたのも、二人のあいだに上下関係がなかったからでしょう。彼が管理人として振る舞うなら I’m afraid I can’t. だったはずです。三語を選んだ時点で、彼は相手を格式張った関係の外に置いていました。

言葉の崩れ方が、人と人の距離を測っていることがあります。

まとめ|三語で閉じる扉

no can do は、文法を切り詰めた三語で断りを伝える表現です。壊れた形であることが、そのまま軽さと突き放した響きを生んでいます。

この言葉を持っておくと、断り方に選択肢が生まれます。丁寧に断るなら I’m afraid not.、気安く断るなら no can do。同じ「できません」でも、どちらを選ぶかで相手との距離が変わることを、この二つの対比が教えてくれます。

トリーガーの三語は、必死のロスをあっさり押し戻しました。悪意はなく、駆け引きもなく、ただ事実だけがそこにあった。断ることは冷たさとは限りません。言葉の温度を測る道具のひとつとして、表現の引き出しに加えてみてください。

このエピソードを見るには

(タップすると各配信サービスの視聴ページへ移動します)

※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


このエピソードの他のフレーズ

おすすめ記事
日常英会話を学びたい方におすすめの海外ドラマはこちら
「no can do」のような、日常で使いやすい英語表現をもっと学びたい方におすすめです。
日常英会話が学べる海外ドラマを見る

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次