海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『メンタリスト』シーズン1第1話。容疑者として浮かぶプロゴルファーの夫について、ジェーンが戦績を根拠に反論する場面から、ゴルフ実況発の人物評スラングを取り上げます。
「chokerだ」「shank itする」という言い方は、スポーツ中継の実況席で生まれ、日常の人物評にまで広がった英語表現です。ゴルフを知らなくても意味を捉えられる表現として、この場面を通して見ていきます。
「shank it」と「choker」―プレッシャーに弱い人を表すゴルフ発のスラング
シーフードレストランでの一幕です。チョウはプロゴルファーの夫プライスを有力容疑者と見ていますが、ジェーンはゴルフの戦績を根拠に反論します。
Jane: Have you looked at his PGA tournament record?
Cho: Not bad. 6 mill career earnings.
Jane: For coming in second and third. You put him on the 18th tee with a big win on the line, like night follows day he’ll shank it. He’s a choker. He doesn’t have the nerve to kill his wife. Didn’t do it.
(「彼のPGAツアーの成績は見たか?」「悪くない。生涯獲得賞金600万ドルだ」「2位や3位止まりでね。優勝がかかった最終18番ホールに立たせたら、判で押したようにshankするよ。chokerなんだ。妻を殺す度胸なんてない。彼はやってない」)
The Mentalist Season1 Episode1 (Pilot)
shank it はゴルフでクラブのシャンク(ソケット)付近にボールが当たり、意図しない方向へ大きく逸れてしまうミスショットを指す言葉です。ここから転じて、プレッシャーのかかる場面で本来の実力を発揮できずに失敗することを表すようになりました。choker も同じくスポーツ実況発の表現で、緊張のあまり大事な場面で実力を出し切れない人を指す言い方です。日本語の「本番に弱い」「勝負弱い」に近いニュアンスと言えます。
| 表現 | 由来 | 意味 |
|---|---|---|
| shank it | ゴルフのミスショット(シャンク) | プレッシャーの場面で大きく外す、失敗する |
| choker | スポーツ実況全般 | 大事な場面で実力を発揮できない人 |
どちらも相手の性格そのものではなく「特定の場面での弱さ」を指す表現である点が見どころです。ジェーンはこの弱さを根拠に、プライスには妻を手にかけるだけの度胸がないと結論づけています。
「never won a major」―実績のシビアな見方を表すゴルフ英語
チョウの見立てにリズボンも一旦は乗りかけますが、ジェーンの理屈に対してこう切り返します。
Lisbon: Are you suggesting we drop a prime suspect because he’s never won a major?
(「メジャー未勝利ってだけで、有力容疑者を外そうって言うの?」)
The Mentalist Season1 Episode1 (Pilot)
major はゴルフの四大メジャー大会(全米オープンなど、その競技で最も権威のある大会)を指す言葉です。never won a major は「メジャー大会では一度も優勝していない」という意味で、賞金や順位といった数字だけでなく、勝負どころで勝ち切れるかどうかという視点で実績を評価する時に使われます。
日常の会話でも、肩書きや実績はあるのに「ここぞという場面」で結果を出せていない人を評する時に、この視点を応用できます。稼いでいるかどうかではなく、大一番で勝てるかどうかで人を見るという、リズボンの言葉に含まれるシビアな観点が伝わってきます。
例えば “He’s made a lot of money, but he’s never won a major.” のように使えば、数字の上での実績と、勝負どころでの実績を切り分けて評価していることが伝わります。同じ「実績がある」という状況でも、何を基準に評価するかで見え方が変わる点は、ビジネスの場でのシビアな人物評にもそのまま通じるところです。チョウが数字(career earnings)を根拠に容疑者を見立て、ジェーンとリズボンがそれぞれ別の物差しで反論する構図も、この場面のやり取りをより立体的にしています。
まとめ|ゴルフ実況の言葉が人物評になる面白さ
shank it、choker、never won a major という3つの表現には、ゴルフというスポーツの評価軸がそのまま人物評に持ち込まれている面白さがあります。プレッシャーへの弱さや勝負どころでの実績を、スポーツ用語で語る視点が見えてきます。
ゴルフ実況の言葉づかいが、日常の人物評としても機能している様子は、スポーツ用語の広がりを考える上でも興味深い点です。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。
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