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『メンタリスト』シーズン4第23話には、言い切りの強さを一段ずつ下げていく受け答えが出てきます。「誰からも好かれていた」という評価が、「人気はあった」という言い方に置き換わる場面が、その代表です。会社を訪ねた聞き込みの中で、評価や答えの強さを調整する言葉が重なって出てきます。
どこまで言い切り、どこから控えるのか。popular という語の二つの意味にも触れながら、台詞の順に見ていきます。
「That would be the popular view」世間の見方を認めて、留保をつける
最初に取り上げるのは、金融の仲介を手がける会社を訪ねた場面です。事業内容を尋ねる質問に説明が返ったあと、ある見方が持ち出され、次の台詞が続きます。
— That would be the popular view. Not entirely accurate.
(それが世間一般の見方でしょうね。完全に正確とは言えませんが。)
The Mentalist Season4 Episode23 (Red Rover, Red Rover)
the popular view の popular は、「人気のある」ではなく「世間に広く行き渡った」という意味で使われています。the popular view で「世間一般の見方」にあたり、個人の意見ではなく、広く共有されている見方を指す形です。
That would be ~ の would は、「〜というところでしょう」と断定をやわらげる働きをします。事実として言い切る That is ~ よりも、一歩引いた距離感の言い方です。
後半の Not entirely accurate. は、not entirely で部分否定になります。「まったく違う」と全面的に退けるのではなく、「すべてが正確なわけではない」と一部に留保をつける形です。accurate は、事実や数値などが「正確な」ことを表す語です。
この二文は、世間の見方をいったん認めてから留保を足す順序になっています。
「universally loved」と「popular」誰からも好かれたと言われ、人気はあったと言い直す
同じ訪問先でやり取りが進むと、会社で働いていた社員の周囲との関係を尋ねる質問が出てきます。続く台詞を順に並べます。
— How’d he get along with people?
(周りの人とはうまくやっていましたか?)
— Oh, he was universally loved, a leader in the company.
(ええ、誰からも好かれていました。会社の中心的な存在でした。)
Ian: Absolutely.
(まったくです。)
— You don’t agree?
(同意しないのですか?)
— Well, who’s universally loved? He was popular.
(さあ、誰からも好かれる人なんているでしょうか。人気はありました。)
The Mentalist Season4 Episode23 (Red Rover, Red Rover)
universally は「例外なく、広く」という意味の副詞で、universally loved は「誰からも愛される」と、範囲を限らずに言い切る形をとっています。a leader in the company が添えられ、評価の大きさがさらに強調されています。
これに対して popular は、「人気がある」「多くの人に好かれている」を表します。多くの人に好かれていることは言えても、全員に好かれているとまでは言っていません。universally loved から popular への言い換えは、言い切る範囲を縮めた形になっています。
言い換えの前に挟まれているのが Who’s universally loved? です。前の台詞と同じ universally loved をそのまま繰り返し、疑問の形で投げ返しています。「そんな人はいるでしょうか」と、前の言い方に待ったをかける反語です。文頭の Well, も、すぐに反対を述べず、少し間合いをとって切り出す語です。
You don’t agree? は、相手に同意しないのかを確かめる短い問いかけです。Absolutely. は、形の上では全面的な同意を一語で示す返事ですが、直後に You don’t agree? と問い返されています。同意の一語と言い直しの台詞が並ぶと、言い切りの強さの差がはっきりします。
「Not that I was aware of」知る範囲に限って答える
このあいだにも質問は続きますが、ここでは職場での問題の有無を尋ねるやり取りに進みます。
— And did he have any problems at work?
(仕事で何か問題はありましたか?)
— Not that I was aware of.
(私の知る限りでは、ありません。)
The Mentalist Season4 Episode23 (Red Rover, Red Rover)
Not that I was aware of. は、「あった」とも「なかった」とも言い切らず、「自分が認識していた範囲では」と答えの範囲を限る答え方です。aware of ~ は「〜に気づいている」という意味で、ここでは was と過去形になっており、質問の did he have と時制がそろっています。
Not that I know of. のように know を使う似た形もあります。どちらも、自分の知っていることの外には何があるか分からない、という含みを残した答え方です。「ない」と断定すると、自分の知らない事実が出てきたときに食い違いが生じます。範囲を限った答えは、その食い違いを避ける言い方です。
前の二つの台詞と並べると、共通点が見えてきます。Not entirely accurate. は一部を認めたうえで全面的な肯定を避け、popular への言い直しは範囲を縮め、Not that I was aware of. は自分の認識の範囲に答えを閉じます。いずれも、強い断定を一段下げる方向の工夫です。
まとめ|言い切りを弱める三つの形
popular view と Not entirely accurate. で留保をつけ、universally loved を popular に言い直し、Not that I was aware of. で知る範囲に答えを限る。言い切りの強さを一段下げる形が三つそろっていました。
強い言葉を使うのではなく、どこまで言うかを調整する場面に注目して観ると、短い受け答えの違いが見えてきます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の別の場面の英語を扱っています。


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