「hold down the fort」の意味と使い方|『メンタリスト』S03E08で学ぶ英会話

「hold down the fort」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

同僚が急な打ち合わせで席を外すとき、「こっちは見ておくから行ってきて」と声をかける場面があります。

そんな「留守を預かる」という意味の「hold down the fort」を、『メンタリスト』シーズン3第8話から見ていきます。容疑者の自宅を捜索したあと、チームが手分けして次の現場へ向かう場面です。一緒に見ていきましょう。

目次

「hold down the fort」の意味とニュアンス

hold down the fort
意味:留守を預かる、その場を守る

fort は「砦」を指す語です。hold down the fort は、部隊の主力が出払っているあいだ、残った者が砦を守り続けるという絵から生まれた表現になります。

いま使われるのは、もっぱら日常の場面です。責任者や同僚が席を外すあいだ、残った人が仕事を回し続ける。親が出かけているあいだ、子どもたちが家のことを引き受ける。職場でも家庭でも、規模を問わずに使えます。

含みとしては、「完璧に処理する」よりも「崩さずに持たせる」に近い表現です。攻めるでも成果を出すでもなく、旗を降ろさずに持ちこたえる。だからこそ、引き受ける側が控えめに言う言葉としても、任せる側が礼を言う言葉としても、どちらの向きでも自然に使えます。

【ここがポイント!】

  • 主力が出払った砦を、残った者が守り続けるという絵が核
  • 「完璧にこなす」ではなく「崩さずに持たせる」という控えめな含み
  • 引き受ける側からも、礼を言う側からも使えると押さえておくのがコツ

『メンタリスト』S03E08のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

容疑者の自宅に踏み込んだものの、家はもぬけの殻でした。鑑識を入れて手がかりを探すさなか、別ルートから協力者の父親の居場所がつかめます。捜査班がその場で役割を分け合い、それぞれの現場へ散っていく場面です。ここで hold down the fort が飛び出します。

Cho: So we got a line on Fred Kittel’s dad. He’s got a place just south of Diamond Springs.
(フレッド・キッテルの父親の手がかりが取れました。ダイアモンドスプリングスのすぐ南に家があります)

Lisbon: You and O’Laughlin go and talk to him.
(あなたとオローリンで話を聞いてきて)

Rigsby: Sure.
(了解です)

Lisbon: I’m gonna head back to the office. I wanna look at something in Rachel Bowman’s file.
(私はオフィスに戻る。レイチェル・ボウマンの資料で確認したいことがあるの)

Cho: All right, I’ll hold down the fort here.
(分かりました、こっちは自分が押さえておきます)

The Mentalist Season3 Episode8(Ball of Fire)

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シーン解説と心理考察

指示が飛び交うなかで、チョウの一言だけが自発的です。リズボンはリグスビーとオローリンに聞き込みを割り振り、自分はオフィスへ戻ると告げます。誰も現場の残りについては触れていません。その空白を、指示を待たずにチョウが埋めています。

言い方も彼らしいものです。「自分がやります」と力むでもなく、必要なことだけを短く引き受ける。感情を表に出さない人物として描かれてきたぶん、この淡々とした引き受け方が、緊迫した捜査現場での安心材料として響きます。

hold down the fort という言い回しの控えめさも、この場面によく合っています。手柄を立てに行くのは聞き込みに向かう二人で、彼が引き受けたのは、鑑識が入っている家を崩さずに持たせることでした。

そして、この直後にリズボンが単独で車に戻り、思わぬ事態に巻き込まれます。全員が別の方向へ散ったこの短いやり取りが、物語の転換点になる場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

丘の上の小さな砦に、隊の主力が出払ったあと、一人だけ残されている姿を思い浮かべてみてください。攻め込むわけでも勝ちに行くわけでもなく、旗を降ろさずに持ちこたえるだけ。hold down the fort が引き受けているのは、その役割です。

「守り抜く」より「崩さずに保つ」という、少し力の抜けた温度が核にあります。fort(砦)という一語さえ拾っておけば、意味は絵のほうから引き出せます。

捜索の現場に一人残り、短く「こっちは押さえておきます」と引き受けるチョウの姿を重ねておくと、砦の絵と、あの淡々とした口調が一緒に記憶に残ります。

例文で覚える「hold down the fort」

任せる側からも引き受ける側からも使える表現です。会話のやり取り・仕事・家庭の3つの場面で見ていきましょう。

A: I have to run to the client meeting.
B: Go ahead — I’ll hold down the fort.
(A:クライアントとの打ち合わせに行かないと)
(B:行ってきて。こっちは見ておくから)
同僚が席を外す場面のやり取りです。引き受ける側の一言として、劇中とほぼ同じ形で使えます。

Can you hold down the fort while I’m on vacation?
(休暇のあいだ、留守を任せてもいい?)
休暇前の引き継ぎで使えます。while 節と組み合わせると、任せる期間まで一息で伝わります。

Thanks for holding down the fort last week.
(先週、留守を預かってくれてありがとう)
出張から戻った日の一言です。動名詞の形にすると、お礼の定型としてそのまま使えます。

あわせて覚えたい関連表現

cover for someone
(〜の代わりを務める、かばう)
特定の人の穴を埋めることを指し、文脈によっては「かばう」の意味も帯びます。hold down the fort は場所や部署そのものを維持する側に重心がある点が違います。

keep things running
(物事を回し続ける)
業務の継続に焦点があり、比喩の色が薄いぶんどんな場面にも使えます。hold down the fort は砦の絵が入るため、より口語的で温かみのある言い方になります。

man the shop
(店番をする、持ち場につく)
実際に人を配置して持ち場を守る意味です。hold down the fort より対象が具体的で、規模の小さい場面に向きます。

Note|hold the fort と hold down the fort、down があるかないか

この表現には、down のある形とない形の二つがあります。どちらも同じ意味で使われますが、よく使われる地域が分かれています。

イギリス英語では hold the fort、アメリカ英語では hold down the fort が主流とされています。イギリスの職場で「留守を頼む」と言うときは down が落ち、アメリカのドラマでは down が付いた形をよく耳にします。劇中のチョウの言い方も、down のあるアメリカ式です。どちらを使っても通じますが、書き手や話し手がどちらの英語圏に近いかが、この一語から透けて見えることになります。

down が加わることで何が変わるのかについては、「押さえつけて動かさないようにする」という感覚が足される、と説明されることが多いようです。同じ発想は、hold down a job(職を失わずに続ける)にも見られます。アメリカ英語の句動詞が down や up を添えて意味を強める傾向とも重なる現象です。

もともとは軍事の場面で使われた言い方が、職場や家庭の日常語へ移っていったと考えられています。砦を守れという指示が、留守番を頼む言葉になったわけです。

使い分けに迷ったときは、相手や場面がどちらの英語に近いかで選べば十分です。意味は変わらないので、down の有無で通じなくなることはありません。むしろ、二つの形があると知っていること自体が、聞き取りのときに効いてきます。

一語の有無に、海を隔てた距離が残っています。

まとめ|旗を降ろさずに持ちこたえる

hold down the fort は、主力が出払った砦を残った者が守り続けるという絵から生まれた表現でした。完璧にこなすことではなく、崩さずに持たせることを引き受ける、控えめな一言です。

この言い方を持っておくと、同僚が席を外すときも、休暇前の引き継ぎでも、「こちらは大丈夫」という気持ちを軽やかに伝えられるようになります。お礼を言う側に回っても、そのまま使えます。

指示が飛び交う捜索現場で、誰も触れなかった役割を短く引き受けたチョウの一言は、緊迫した場面にわずかな余裕を残す瞬間でした。

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