海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
引き出しを開けた瞬間に「ああ、やっぱり何もない」と分かってしまう。そんな脱力の一瞬が、ドラマには時々あります。
そこで使われる「やっぱりね」という意味の「it figures」を、『メンタリスト』シーズン3第8話から見ていきます。行方の分からなくなったジェーンの手がかりを求めて、ヴァン・ペルトとチョウが彼の机を調べる場面です。一緒に見ていきましょう。
「it figures」の意味とニュアンス
it figures
意味:やっぱりね、そんなことだろうと思った
figure という動詞には「計算する」「数字が合う」という意味があります。it figures は、そこから広がった言い方で、「計算どおりだ」「筋が通っている」というのが元の姿です。そこから、目の前で起きたことが自分の予想とぴったり合ったときの相づちとして定着しました。
好ましくない結果へ皮肉や諦めを込めて使うことはよくありますが、それに限定されません。文脈によっては単に「筋が通る」「当然だ」と納得を示します。
会話では主語を落として Figures. とだけ言う形も使われます。短いぶんぶっきらぼうに聞こえることはありますが、諦めや皮肉が必ず強まるわけではありません。どちらも返答として使えます。
【ここがポイント!】
- 核は「頭の中の計算と、目の前の結果がぴたりと合った」という感覚
- 当たってうれしくない予想に使う、諦めと皮肉がにじむ相づち
- 主語を落とした Figures. だけでも通じると覚えておくのがコツ
『メンタリスト』S03E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェーンの行方を追うため、ヴァン・ペルトが彼の机を調べています。引き出しには鍵がかかっていましたが、チョウがあっさり開けてみせます。手がかりが出てくるかと思われたその中身に、ヴァン・ペルトが肩を落とす場面です。ここで it figures が飛び出します。
Van Pelt: Cough drops. Superglue. Clippings. Pfft. Big help. Well, it figures. Jane’s not gonna keep anything important in the office.
(のど飴。瞬間接着剤。切り抜き。はあ、大助かりね。まあ、やっぱりって感じ。ジェーンが大事なものをオフィスに置いておくわけないもの)Cho: Wait. There’s something else in here.
(待った。まだ何かある)Van Pelt: What do you mean?
(どういうこと?)Cho: It’s taped to the top of the drawer.
(引き出しの天板に貼りつけてある)The Mentalist Season3 Episode8(Ball of Fire)
シーン解説と心理考察
出てきたのは、のど飴と瞬間接着剤と新聞の切り抜きでした。捜査の役に立つものは何ひとつありません。Big help(大助かり)という言葉が皮肉として響きます。
ただ、ヴァン・ペルトの it figures には落胆だけでなく、「彼らしい」という半ばあきれた納得が混じっています。大事なものをオフィスに置くような人ではない、と分かっていたからこそ出てくる一言で、失望より先に理解のほうが来ているところに、チームとジェーンの距離感が表れています。
鍵を開けたチョウが「ジェーンには言うなよ」とだけ付け加えていたのも、この空気を後押ししています。手順を飛ばした後ろめたさより、あの人ならどうせ気づく、という前提のほうが強い場面です。
そして諦めかけた直後に、引き出しの天板の裏に貼られたものが見つかります。予想どおりで終わらせなかったのは、いつも短く事実だけを口にするチョウでした。相づちの直後に流れが変わるところが、この短い場面の見どころと言えます。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
帳簿の数字を上から順に足していって、いちばん下の答えが予想と一致した瞬間を思い浮かべてみてください。計算は合っているのに、少しもうれしくない。it figures は、その感覚をそのまま相づちにした表現です。
figure に「数字」という意味があることを手がかりにすると、記憶に引っかかりやすくなります。頭の中で足し算をして、出てきた答えが予想どおりだった、という絵です。
引き出しからのど飴を取り出して肩を落とすヴァン・ペルトの姿を重ねておけば、「当たったのに全然うれしくない」という温度まで一緒に残ります。主語を落とした Figures. の形も、同じ絵からそのままつながります。
例文で覚える「it figures」
短く置くだけで成立する、相づちとして使いやすい表現です。日常・仕事・会話のやり取りの3つの形で見ていきましょう。
The one day I forget my umbrella, it rains. It figures.
(傘を忘れた日に限って雨。やっぱりね)
間の悪い出来事が起きたときの一言です。状況を述べたあとに単独で置くのが、いちばん自然な形になります。
It figures that the cheapest option would sell out first.
(いちばん安いのから売り切れるのは、まあ当然よね)
在庫切れの知らせを見た場面で使えます。that 節を続けると、何が予想どおりだったのかを具体的に示せます。
A: The printer broke again — right before the presentation.
B: Figures.
(A:プレゼンの直前に、またプリンターが壊れた)
(B:だろうね)
職場でのやり取りです。主語を落とした一語だけの返しは、うんざりした気分を最短で伝えられます。
あわせて覚えたい関連表現
that makes sense
(なるほど、筋が通る)
「道理にかなう」と納得を表します。it figures より説明的ですが、どちらも肯定・不満の色は文脈によって変わります。
no surprise there
(驚きはないね)
意味はかなり近い表現です。it figures のほうが短く口語的で、感情の起伏がやや強く出る点が違います。
go figure
(訳が分からない、不思議なものだ)
驚きや不可解さに対する反応として「何とも不思議だ」「そういうこともある」といった調子で使われます。it figures の単純な反対語ではありません。
Note|it figures と go figure を、歴史ではなく用法で分ける
it figures は「筋が通る」「予想どおりだ」と反応する短い表現です。Figures. という省略形や go figure もありますが、現在の用法が近いからといって、歴史的に一方向へ派生したとは限りません。
it stands to reason は「道理にかなう」という説明的な表現で、it figures と意味が重なる場面があります。ただし、it stands to reason から it figures、さらに Figures. へ歴史的に短縮されたという経路は確認できません。Figures. は会話で主語 it を省いた形として理解できます。
it figures や Figures. が皮肉・諦めを帯びることはありますが、短さだけで感情が決まるわけではありません。好ましい結果にも使え、声の調子と前後の発言が読みを決めます。
go figure は、驚きや不可解さに反応する独立した口語表現です。it figures から生まれた反転形だという歴史は確認できないため、同じ figure を含む別の定型表現として覚えます。
it figures を覚えるときは、この短さ自体が意味の一部だと考えておくと使いやすくなります。長く説明せずに二語で切り上げるからこそ、「もう分かっていた」という気分が伝わります。ヴァン・ペルトが引き出しの中身を並べたあと、説明を足さずに切り上げたのも、その効果を使った言い方でした。
短い相づちほど、言わなかった部分が物を言います。
まとめ|当たってしまった予想を、二語で片づける
it figures は、目の前の結果に「筋が通る」「予想どおりだ」と反応する表現でした。不満や皮肉を帯びることはありますが、それだけに限定されません。
この一言を持っておくと、間の悪い出来事や、いつもの人のいつもの行動に対して、長い説明をせずに反応できるようになります。主語を落とした Figures. まで覚えておけば、返しの引き出しはさらに増えます。
期待していなかった予想ほど、よく当たるものなのかもしれません。


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