海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
平気なふりをしたつもりだったのに「顔に出てるよ」と言われてしまった。あるいは逆に、相手の表情だけで隠しごとを察してしまった。そんなやり取りを経験したことはありませんか。
そんなときにぴったりの「written all over one’s face」を、『メンタリスト』シーズン2第13話の後半、容疑者と同席したままリズボンからの電話に出たジェーンが、目の前の相手を評してみせるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「written all over one’s face」の意味とニュアンス
written all over one’s face
意味:顔に出ている、隠しきれていない
顔の上に文字が書かれている、という絵をそのまま言葉にした表現です。書かれているのは罪悪感だったり、失望だったり、抑えきれない喜びだったりします。本人には書いた覚えがないのに、周りからははっきり読めてしまう。その一方通行が、この表現の中心にあります。
語順は二通りあります。Guilt was written all over his face. のように感情を主語に置く形と、It’s written all over your face. のように it で受ける形です。前者は書き言葉寄りで、何が読み取れたのかを明確に示せます。後者は会話で使いやすく、相手も分かっている前提で軽く指摘するときに向いています。
all over という部分も見逃せません。顔の一部ではなく全面に、という広がりが、隠す努力がまったく効いていない様子を示します。そのためこの表現は、単に「表情に出ている」よりも一段強い言い方になります。
【ここがポイント!】
- 顔が掲示板になっていて、感情の名前が大きく書かれている絵が核
- all over が「全面に」を担い、隠せていない度合いを強めている
- 感情を主語に置くか it で受けるか、場面に合わせて選ぶのがコツ
『メンタリスト』S02E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者の恋人を確保したリズボンが、ジェーンに電話をかけます。ところがジェーンはそのとき、捜査対象であるはずの大富豪マッシュバーンと同席していました。居場所を隠すどころか、目の前の相手を容疑者扱いして本人に聞かせるという、大胆な返答をします。
Lisbon: We brought in the victim’s boyfriend. He’s looking pretty good for it. Wanna come and have a chat with him?
(被害者の恋人を連れてきたわ。かなり怪しい。来て話をする?)Jane: Yeah, maybe a little later. I’m kind of busy.
(ああ、もう少し後でね。ちょっと立て込んでるんだ。)Lisbon: Where are you?
(今どこにいるの?)Jane: Well, I’m with an admirer of yours, who looks very good for it as well, has “killer” written all over his face.
(今はね、君のファンと一緒なんだ。この人もかなり怪しい。顔に「殺人犯」って書いてあるよ。)Lisbon: Not Mashburn.
(まさかマッシュバーンじゃないでしょうね。)The Mentalist Season2 Episode13 (Redline)
シーン解説と心理考察
この一言は、電話の相手にだけ向けられたものではありません。すぐ隣にいるマッシュバーン本人にも、はっきり聞こえています。ジェーンは容疑者を目の前にして「顔に殺人犯と書いてある」と言い放ち、その反応を観察の材料にしようとしています。
読心を売りにする人物が、相手の顔は読めると宣言する構図には、二重の効果があります。当たっていれば相手は動揺しますし、外れていても平然としていられるかどうかで別の情報が取れます。どちらに転んでも損をしない仕掛けです。
一方のマッシュバーンは、それを見抜いたうえで乗ってきます。動揺するかわりに「よろしく伝えてくれ」と伝言を頼み、会話を尋問から社交へ引き戻してしまう。捜査官と容疑者という関係が、いつのまにか対等な駆け引きに置き換わっている。この二人のやり取りの手触りが、本話の見どころのひとつです。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
相手の顔が大きな掲示板になっていて、そこに guilty や happy と太い字で貼り出されている。そんな絵を思い浮かべてみましょう。貼った覚えは本人にないのに、向かい合った人には端から端まで読めてしまいます。
ジェーンが電話越しに読み上げていたのも、まさにその掲示板の文字でした。「顔に殺人犯と書いてある」という言い方は、掲示板の比喩をそのまま口に出したものです。この場面を思い出せば、何が書かれているかを先に置く語順も、all over が担う「全面に」という広がりも、絵の中で一緒に押さえられます。
例文で覚える「written all over one’s face」
書かれている中身を主語に置くか、it で受けるかで印象が変わります。そっと指摘する場面、後から報告する場面、踏み込む場面で見てみましょう。
You don’t have to tell me. It’s written all over your face.
(言わなくていいよ。顔に書いてあるから。)
うつむいたまま帰ってきた友人に、静かに声をかける場面です。it で受けると説明が要らなくなり、相手も分かっている前提で寄り添う言い方になります。
Guilt was written all over his face when I asked about the missing file.
(紛失したファイルの件を聞いたとき、彼の顔には罪悪感がありありと出ていました。)
後日、当時の様子を第三者に伝える場面です。感情の名前を主語に置くと、何が読み取れたのかが一文で明確になります。
A: I’m fine, really. Nothing happened.
B: Come on. Whatever it is, it’s written all over your face.
(A:大丈夫だって、本当に。何もないよ。)
(B:またまた。何があったのか知らないけど、顔に全部出てるよ。)
隠しごとを察して踏み込む、気の置けない間柄の会話です。whatever it is を前に置くと、中身を問い詰めずに事実だけを指摘できます。
あわせて覚えたい関連表現
give oneself away
(正体や本心を漏らす)
ばれてしまう点は同じですが、手がかりは表情に限りません。言い間違いや行動から露見する場面にも使えるため、written all over one’s face より守備範囲が広い表現です。
wear one’s heart on one’s sleeve
(感情を隠さない)
その場の表情ではなく、感情を隠さない人柄そのものを指します。一時的に顔に出ているのか、いつもそうなのか、という時間の幅が違いです。
read someone like a book
(〜の考えを見透かす)
主語が読む側に移ります。written all over one’s face が読まれる側に焦点を置くのに対して、こちらは読み手の力量を語る表現です。
Note|顔は本当に読めるのか
顔に書いてある、という言い方はどの言語にもありそうな比喩ですが、実際のところ、人の表情から本心はどこまで読めるのでしょうか。ジェーンの手法とも重なる、少し込み入った話題です。
表情研究の分野では、意図して作った表情の下に、抑えきれず一瞬だけ表れる動きがあるという指摘が重ねられてきました。数十分の一秒という短さで消えるため、通常の会話では気づかれないまま流れていきます。この一瞬の動きを手がかりに嘘を見抜こうという発想は、取り調べや空港の保安検査といった現場で実際に検討されてきました。
ただし、その有効性については慎重な見方も根強くあります。表情には個人差があり、文化や状況によって出方も変わります。緊張しているだけの人が動揺しているように見えることもあれば、その逆もあります。訓練を受けた担当者の判別精度が偶然と大きくは変わらなかったという報告もあり、顔を読むことが確実な技術として認められているわけではありません。
作中でジェーンが見せるのは、表情そのものよりも、相手の置かれた状況と発言の組み立てから逆算する読み方です。顔に書いてあると言い切ることで反応を引き出し、その反応をさらに材料にしていく。読めるかどうかより、読めると宣言することの効果を使っている、と言い換えられます。
written all over one’s face が使われ続けているのは、この感覚に誰もが身に覚えがあるからでしょう。読めた気がした経験と、読まれた気がした経験。その両方を畳み込んだ一語です。
まとめ|読まれる側と読む側
written all over one’s face は、隠したつもりの感情が顔の全面に出てしまっている状態を、文字が書かれているという絵で言い表す表現です。書いた覚えのない本人と、読めてしまう周囲。そのずれが一語に収まっています。
この言い方を持っていると、相手の気持ちを言葉で確かめる前に受け止められるようになります。何があったのかを問い詰めるかわりに、分かっていると伝える。踏み込みすぎずに寄り添う言い方として、会話の中で使いどころの多い表現です。
電話越しに言い放つジェーンのように、読む側から使うこともできます。誰かの表情が言葉より先に語っていた場面を思い浮かべてみてください。


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