「No sale」と「Not going to happen」はどう違う?誘いを断る側と、断られて引く側の英語|『モダンファミリー』S09E12で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「No sale」と「Not going to happen」はどう違う?誘いを断る側と、断られて引く側の英語|『モダンファミリー』S09E12で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン9第12話の冒頭では、フィルが毎年の恒例にしたい競技会「ダンフィー・ゲームズ」の開幕を宣言します。それに対するジェイの返事は、ひと言ずつはっきりと強さを増していく拒否です。

誘いを断る言葉と、断られた側が引き下がる言葉は、どちらも短いぶん温度差がつかみにくいものです。この場面では、その両方がわずか数行のうちに次々と出そろいます。

目次

「Nope」から「It’s not going to happen」へ、断り方の強さ

フィルが布告のような口調で呼びかけると、ジェイは一つ返すごとに言葉を強めていきます。

Phil: Hear ye, hear ye!
(皆の者、よく聞け!)
Jay: Nope.
(やだね。)
Phil: I hereby declare the opening of the first annual Dunphy Games.
(ここに、第1回ダンフィー・ゲームズの開幕を宣言する。)
Jay: Hard pass.
(断固パスだ。)
Phil: Tests of strength, games of chance with the champion receiving the coveted Dunphy chalice and this gift card to Yogurtland.
(力比べに運試し。優勝者には栄えあるダンフィー杯と、このYogurtlandのギフトカードが贈られる。)
Jay: Phil, it’s not going to happen.
(フィル、そいつはありえない。)
Phil: Your dissent has been noted, town elder, but perhaps those who’ve seen fewer winters should cast a vote.
(長老殿の反対意見は承った。だが、冬をまだあまり越していない者たちにも一票を投じてもらおう。)

Modern Family Season9 Episode12 (Dear Beloved Family)

最初の Nope. は No をくだけさせた返事で、呼びかけの段階で早くも返ってくる短さが特徴です。強い否定というより「その気はない」と軽く払う響きで、親しい相手とのくだけた会話で使われることが多い語です。

2つ目の Hard pass. は、誘いを「パスする」の pass に hard を付けて、「きっぱり見送る」と強めた形です。「考える余地もない」という調子が加わり、冗談めかした場面でも本気の場面でも使われます。

3つ目の It’s not going to happen. は、提案そのものを「実現しない」と未来形で打ち消す言い方です。冒頭でフィルの名前を呼んでいるぶん、相手に正面から向き合って言い切る形になっています。最初の二つが自分の気持ちの表明であるのに対し、こちらは話の行き先そのものを閉じる表現と言えます。三つを並べると、ジェイの拒否が一段ずつ固くなっていくのが分かります。

「No sale」と「Nice try」、断られた側の引き際

続いてフランクが参加者を募りますが、誰も乗ってきません。フィルはその結果を、父親であるフランクにこう伝えます。

Frank: Who dares accept the challenge of a noodle-joust?
(ヌードル・ジョストの挑戦を受ける勇気のある者はいるか?)
Phil: No sale, Dad.
(商談不成立だよ、父さん。)
Frank: Oh, well.
(まあ、しかたない。)
Frank: Nice try, Son.
(いい挑戦だったぞ、息子よ。)
Frank: I’ll probably just drive back to Florida, then.
(じゃあ、わしは車でフロリダに帰るとするか。)
Frank: Great to see you guys.
(みんなに会えてよかったよ。)

Modern Family Season9 Episode12 (Dear Beloved Family)

No sale. はもともと「売れなかった」「商談がまとまらなかった」という意味で、そこから「相手が話に乗ってこない」「提案が通らない」ことを表すくだけた言い方として使われます。ここで大事なのは、フィル自身が断っているのではない点です。誰も乗ってこないという結果を、提案した側がフランクに報告しているのがこの台詞の働きです。

同じ「だめだった」を伝えるにも、It’s not going to happen. は断る側の言葉、No sale. は断られた側が状況を認める言葉という違いがあります。主語がどちらの立場にあるかで、選ぶ表現が変わるという場面です。

フランクの Oh, well. は「まあ、しかたない」とあっさり受け流す一言で、Nice try. は「惜しかった」「よく頑張った」と相手の試みをねぎらう表現です。Nice try は言い訳や見え透いた嘘に対して「その手には乗らない」と皮肉で返すときにも使われますが、ここでは Son と呼びかけていることから、息子を励ます側の意味で読み取れます。

「Your dissent has been noted」と、提案の理由を言い直す英語

一度断られても、フィルはすぐには引き下がりません。1つ目の引用の最後にある Your dissent has been noted は、会議や議事録で使う「反対意見は記録しました」という形式ばった言い回しです。反対を正面から否定せず「承りました」と受け流し、but で自分の話を続けるための前置きとして働いています。cast a vote も「票を投じる」という改まった表現で、布告調の口ぶりにそろえた言葉選びが伝わってきます。

話がまとまらなかったあと、フィルは別の場面で、競技会を思い立った理由をこう話します。

Phil: I just thought with everyone growing up, a new tradition might give us another excuse to get together every year.
(みんな大きくなっていくから、新しい恒例行事があれば、毎年集まる口実がもう一つできると思ったんだ。)

Modern Family Season9 Episode12 (Dear Beloved Family)

I just thought ~ は「ただ〜と思っただけなんだ」と、提案の動機をやわらかく打ち明ける出だしです。an excuse to ~ は「〜する口実」で、another excuse to get together とすると「集まるためのもう一つの理由」になります。excuse は「言い訳」という否定的な意味だけでなく、ここでのように前向きな「きっかけ」として使われることも多い語です。

断られた提案を押し通すのではなく、目的を言い直して相手に分かってもらおうとしている点が伝わってきます。布告調の Hear ye から始まった誘いが、最後は飾らない本音に落ち着く流れも、この場面の流れです。

まとめ|断る側と引く側の短い英語

Nope から It’s not going to happen までの三つは断る側の強さの段階、No sale、Oh, well、Nice try は断られた側が状況を受け止める言葉です。同じ拒否の場面でも、立場によって選ぶ表現が変わることが分かります。

『モダンファミリー』の家族のやりとりを観ながら、短い一言の温度差に耳を澄ませると、会話の空気がつかみやすくなります。

同じ回のほかのコラムでは、人目が気になる相手への声のかけ方や、思い出の品にまつわる話の英語も取り上げています。

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