前回うまくいきすぎて、次の本番が不安なときの英語|『モダンファミリー』S11E03で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 前回うまくいきすぎて、次の本番が不安なときの英語|『モダンファミリー』S11E03で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン11第3話では、フィルが不動産業者の晩餐会で手品を披露する日を迎えます。前の年の出し物が好評だったぶん、今年は失敗できないという思いがフィルを追い詰めていきます。

一度うまくいった人ほど、次の本番を前に弱気になるものです。不安を口にする言い方、自分の出し物を悪く言う言い方、そしてそれを打ち消すひと言を、フィルと娘たちの会話から順に見ていきます。

目次

「gonna cut it」——ほめられても不安が消えないとき

フィルが手品を披露すると、アレックスはすぐにほめます。ところが、フィルの返事は意外なものでした。

Phil: The Duke becomes a uke becomes a Luke.
(デュークが……ウクレレ(ウーク)になって……ルークになる!)
Alex: Dad, that was amazing!
(パパ、すごかったよ!)
Phil: Yeah! Amazing that I think a hacky parlor trick is gonna cut it at SCARB.
(ああ! こんなありきたりな手品でSCARBに通用すると思ってるなんて、すごいよな。)
Modern Family Season11 Episode3 (Perfect Pairs)

cut it は「通用する・水準に届く」という意味の口語表現です。is gonna cut it(通用するだろう)の形で、That’s not gonna cut it.(それじゃ通用しない)のように、否定の見通しを述べる文で使われることがよくあります。

フィルはアレックスの amazing をそのまま拾い、Amazing that I think ~ と自分に向けて言い直しています。「すごい」と言われた直後に「こんな手品で通用すると思っているなんて、すごい(おめでたい)」と返す形で、ほめ言葉を自分への皮肉に変える組み立てです。hacky は「ありきたりな・使い古された」、parlor trick は「座敷芸・ちょっとした隠し芸」を指し、どちらも自分の手品を小さく見せる語として選ばれています。

フィルによると、SCARB は Southern California Area Realtors’ Banquet、つまり南カリフォルニア地域の不動産業者の晩餐会の略で、業界では年間で最も大きなイベントです。身内には好評でも、その大舞台に見合うかどうかがフィルの不安の中心にあります。

「Too well.」と「If I blow it」——前回の成功が重荷になる

フィルが不安になる理由は、前の年の出来にあります。

Phil: I performed at last year’s SCARB, and and I did well.
(去年のSCARBで出し物をして、それで……うまくいったんだ。)
Phil: Too well.
(うまくいきすぎた。)
Modern Family Season11 Episode3 (Perfect Pairs)

I did well. は「うまくやった・好成績だった」という基本の言い方です。そこに Too well. と短く足すことで、「うまくいきすぎたせいで困っている」という逆説が生まれます。too は「〜すぎる」で、良いことにつけても「度が過ぎて問題がある」という含みを持たせられる語です。

Phil: I’ve never known that kind of adulation.
(あんなにちやほやされたのは初めてだったよ。)
Phil: If I blow it tonight, it all goes away.
(今夜しくじったら、全部消えちゃうんだ。)
Modern Family Season11 Episode3 (Perfect Pairs)

adulation は「過剰なほどの称賛・もてはやし」を指す少し硬めの語で、I’ve never known ~ と組み合わせると「あれほどの〜は経験したことがない」という意味になります。blow it は「しくじる・チャンスを台無しにする」という口語表現で、試験や面接、発表など、一度きりの場面を前にした不安を言うときに使われることがある表現です。

If I blow it, it all goes away. は、「しくじれば、これまでに得たものが全部なくなる」という心配をそのまま言葉にした形です。前回の成功が大きいほど、失うものも大きく感じられるという心理が、2つの短い文で言い表されています。

「It’s like I want to fail!」——自分を責める言葉と打ち消すひと言

家族の前で手品を次々に見せる場面でも、フィルは途中で自分を責め始めます。

Phil: It’s like I want to fail!
(まるで失敗したがってるみたいだ!)
Haley: Dad, stop being crazy.
(パパ、変なこと言わないで。)
Haley: Your act is great!
(パパの出し物、最高だよ!)
Phil: It’s a flat finish, which means it’s a flat act.
(つや消し仕上げってことは、つまらない出し物ってことだよ。)
Modern Family Season11 Episode3 (Perfect Pairs)

It’s like I want to fail! は「まるで自分から失敗したがっているみたいだ」という自己批判です。It’s like ~ は「〜みたいだ」と、実際にはそうでないことを大げさにたとえる口語的な言い方になります。

ヘイリーの stop being crazy は「おかしなこと言わないで」と相手の考えすぎを止める言い方で、続く Your act is great! で出し物そのものをはっきりほめています。不安を打ち消すときは、まず相手の思い込みを止め、それから出し物そのものをほめるという順番になっています。

それでもフィルは、塗装や仕上げの「つや消し」を表す flat finish から、同じ flat を使って flat act(盛り上がりに欠ける出し物)へと言葉をつなげます。flat には「平らな」のほかに「単調な・気の抜けた」という意味もあり、その二つの意味を重ねた言葉遊びです。家族にほめられても、フィルの不安はすぐには消えません。

まとめ|前回の成功を背負ったときの英語

cut it は通用するかどうか、blow it はしくじる不安、Too well. は成功が重荷になった気持ちを表します。It’s like I want to fail! のような自己批判と、Your act is great! のような打ち消しをあわせて覚えると、本番前の会話がぐっと読み取りやすくなります。

本番を控えたフィルの姿を観ながら、緊張をにじませる英語に耳を傾けてみるのも、この回の楽しみ方のひとつです。

同じ回のほかのコラムでは、完璧な人と比べて気後れする場面や、下心のある手助けを指摘するひと言も扱っています。

このエピソードを見るには

(タップすると各配信サービスの視聴ページへ移動します)

※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)



  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次