海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
口では強がっていても、心の奥ではとっくに答えが出ている。そんな本音を、そっと打ち明けたくなる瞬間があります。
そのときに添えたい「in one’s heart of hearts」を、『モダンファミリー』シーズン10第1話の後半、ヘイリーに詰め寄られたディランが冗談を挟みながら口にするシーンから、見ていきましょう。
「in one’s heart of hearts」の意味とニュアンス
in one’s heart of hearts
意味:心の奥底では、本心では
in one’s heart of hearts は、表向きの態度や言葉とは別に、自分でも奥にしまっている本当の気持ちを打ち明けるときの表現です。heart は「心」のことで、それを重ねた heart of hearts は「心の中の心」、つまり心のいちばん深いところを指します。
見出しの one’s は、主語に合わせて my、his、her、our などに変わります。劇中のディランは自分の本心を語るので in my heart of hearts と言っています。誰かの本心を第三者の立場で説明するなら、in his heart of hearts のように置き換えられます。
使い方の型は、「口では〜と言うけれど、心の奥では〜だ」という対比です。文の頭か途中に置き、あとに本心の中身を続けます。劇中のディランも、Look, と呼びかけてから、この一言に入っています。認めたくないことを認めるとき、声には出していない望みを打ち明けるときに、前置きとして添えられる便利な一言です。
【ここがポイント!】
- in one’s heart of hearts は、心のいちばん奥にある本心を打ち明ける表現
- one’s は主語に合わせて変わり、my のほか his や her にも置き換えられる
- 「口では〜、でも心の奥では〜」という対比の文で働く一言
『モダンファミリー』S10E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーが「認めなさいよ」とディランに詰め寄る場面です。ディランは冗談を挟みつつ、今も二人のことを考えていると打ち明け、ヘイリーが「ほらね」と返すと、今度は逆に切り返します。in my heart of hearts を含む一言が、その流れの中で本心を語る役目を担っています。
Haley: Just admit it! You said that to try and get back with me.
(認めなさいよ! あんなことを言ったのは、私とよりを戻そうとしたからでしょ。)Dylan: Look, in my heart of hearts which does not exist, by the way yeah, I still think about us. We were great.
(いいか、心の奥底では——ちなみにその心なんてものは存在しないんだけど——まあ、今でも俺たちのことを考えてる。俺たちは最高だった。)Haley: Aha!
(ほらね!)Dylan: Nuh-ha! You’re the one who drove across town, paid $12 for parking and then an additional $2 for the yellow wristband for beer and medical tent access. It sounds like you’re the one who’s into me.
(いやいや! 町を横切って車で来て、駐車に12ドル払って、さらにビールと医療テントに入るための黄色いリストバンドに2ドル払ったのは君のほうだろ。君のほうが俺に気があるみたいに聞こえるけどな。)Modern Family Season10 Episode1 (I Love a Parade)
シーン解説と心理考察
ディランの返答は、フレーズの直後に挟まれた言葉が目を引きます。心の奥底を意味する表現を口にしたそばから、「その心なんてものは存在しない」と自分で茶化しているからです。本心を打ち明けているのに、冗談の衣をかぶせている構図になっています。
それでも、続く言葉は「今でも俺たちのことを考えてる。俺たちは最高だった」とはっきりしています。ヘイリーが求めた「認めなさい」に対して、ディランは冗談の形を取りながら、今も二人のことを考えていると答えました。
ヘイリーが「ほらね!」と勝ち誇ると、ディランは「いやいや!」と切り返し、町を横切って来て駐車料金とリストバンド代まで払ったのはそちらだと指摘します。数字まで挙げた具体的な切り返しは、認めた直後に主導権を取り戻す動きとして機能しています。
互いに相手のほうが気があると言い合う、売り言葉に買い言葉のやり取りが続いていきます。本心を語る一言と、それを軽くかわす言い回しが同じ会話に並んでいる点が、この場面の見どころです。
ディランの発言は Look, で始まり、挿入のあとに yeah と間を置いてから「今でも俺たちのことを考えてる」に進みます。ためらいを含んだ運びの中に、前置きとしての in my heart of hearts が働いています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
心(heart)の中に、もうひとつ小さな心が入っている入れ子の箱を思い浮かべてみましょう。外側の箱では取り繕っていても、いちばん奥の箱を開けると、本当の気持ちが入っています。
heart of hearts の「心の中の心」という形は、この二重の箱のイメージにそのまま重なります。外側の心が表向きの顔、奥の心が本心という配置です。
ディランが口にした in my heart of hearts は、その奥の箱をちらりと開けて見せる一言でした。ただし、すぐに「その心は存在しない」と蓋を閉めてみせるところまでが、この場面の動きです。開ける、閉める、という二つの動きを一緒に覚えておくと、意味と使い方が一緒に残ります。この二重の箱の絵は、所有格を his や her に変えたときにも、そのまま使えます。
例文で覚える「in one’s heart of hearts」
振り返りの場面、本音をそっと打ち明ける場面、口と本心が食い違う場面の3つで、使い方を見てみましょう。
In my heart of hearts, I knew he wasn’t coming back.
(心の奥底では、彼が戻ってこないことは分かっていた。)
認めたくなかった本心を、あとから振り返る場面です。過去形の knew と組み合わせると、当時から気づいていたことを打ち明ける語り口になります。
A: Do you really think we’ll win?
B: In my heart of hearts, yes. But don’t tell the team.
(A:本当に勝てると思ってる?)
(B:心の奥底ではそう思ってるよ。でもチームには内緒にしてね。)
本音をそっと打ち明ける会話です。yes の前に置くと、「口には出さないが」という前置きとして働きます。
She says she doesn’t mind staying home, but in her heart of hearts, she wants to join the trip.
(彼女は家にいても構わないと言うけれど、内心では旅行に行きたいと思っている。)
口と本心が食い違う人を説明する場面です。her に置き換えて、第三者の本心を語る形になっています。
あわせて覚えたい関連表現
deep down
(心の奥では、本当は)
deep down は、日常会話で気軽に使える言い方です。in one’s heart of hearts は、それより少し改まった強調の響きを持つ表現として並べて覚えられます。
at heart
(根は、本質的には)
at heart は、その人の性格の根本を指す言い方です。in one’s heart of hearts が特定の事柄に対する隠れた本心を指すのに対し、at heart は人柄の本質を述べます。
from the bottom of one’s heart
(心の底から)
from the bottom of one’s heart は、感謝や謝罪などの気持ちの深さを強調する言い方です。in one’s heart of hearts は、表の態度との対比で本音を打ち明ける場面で使う点が違います。
Note|heart を重ねた形が示す、いちばん奥の本心
heart of hearts という形は、heart を二度重ねているため、一度見ただけでは意味がつかみにくい表現です。構成を分解して確認しておきます。
heart は「心」で、of hearts は「複数の心の」という形です。合わせると「心の中の心」、つまり心のさらに奥の部分という意味になります。一枚の心の中に層があり、外側の層は人前で見せる顔、いちばん奥の層が本心という見立てです。この構造があるから、表向きと本心を対比させる文脈で使うと、はっきりと意味が伝わります。
語順にも型があります。劇中のディランのように、Look, in my heart of hearts, … と文頭に置いて、あとに本心の内容を続ける形が基本です。文の途中に挟んで、She knew, in her heart of hearts, that … のように置く形も作れます。どちらも、カンマで区切ると前置きとしての働きが見えやすくなります。
ディランの言葉では、この前置きのすぐ後ろに「その心なんてものは存在しない」という挿入が入りました。表現の構造を知っていると、フレーズを使った直後に、わざとそれを崩して冗談にしていることが分かります。
まとめ|心の奥の箱を、ちらりと開けて見せる一言
in one’s heart of hearts は、表向きの態度の奥にある、いちばん深い本心を打ち明けるときの表現です。主語に合わせて one’s を変え、「口では〜、でも心の奥では〜」という対比の文に添えて使います。
認めたくなかったことを振り返るときや、声に出さない望みをそっと伝えるときなど、気持ちの層を一枚はがして見せる場面で働きます。deep down より少し改まった響きの前置きとして、本音の前に一呼吸置くことができます。
ヘイリーに「認めなさい」と詰め寄られたディランは、本心の箱を冗談の蓋で隠しながら、今も二人のことを考えていると語りました。切り返しの応酬の中でこの一言が顔を出す、そんな場面でした。


コメント