海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
得意なことも、苦手なことも、率直に言うより少しやわらかく伝えたい場面がありませんか。
そんなときに役立つ「one’s strong suit」を、『モダンファミリー』シーズン2第20話の中盤、スポーツ用品店でジェイがマニーの不安を見抜く場面から、一緒に見ていきましょう。
「one’s strong suit」の意味とニュアンス
one’s strong suit
意味:得意分野
one’s strong suitは、トランプのブリッジなどで使われる「自分の手札の中で強い組札(スート)」を指す言葉から転じて、人の得意な技能や分野を表す口語表現になりました。得意なことを自信を持って挙げる場面でも、not exactly one’s strong suitのように婉曲的に苦手なことを伝える場面でも使われます。誰かの得意・不得意を話題にするとき、直接的に「苦手だ」と言うよりも、やわらかい響きで伝えられる便利な言い回しです。isn’t my strong suitのように所有格+strong suitの形で使われるのが基本の形になります。
【ここがポイント!】
- 「one’s strong suit」の核は、手札の中で一番強い組札という得意分野のイメージ
- 得意なことにも、婉曲的に苦手なことを伝える場面にも使える柔らかさ
- not exactly one’s strong suitの形で遠回しに苦手を伝えるのがコツで、履歴書や面接のような場面でも重宝する
『モダンファミリー』S02E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャンプの準備でスポーツ用品店を訪れたジェイとマニーが、体調不良を訴えるマニーの様子について話す場面です。継父ジェイが、マニーの本当の不安の正体を見抜こうとするやり取りに注目です。
Jay: It’s butterflies.
(それは緊張(蝶が舞うような感じ)ってやつだ。)Manny: Where?
(どこに?)Jay: You’re just nervous because there’s gonna be a lot of physical activity which is not exactly your strong suit.
(運動する場面が多いから緊張してるだけだろ。そこはお前の得意分野とは言いにくいからな。)Manny: It is a little daunting out there.
(確かに、あそこは少し気後れするんだよね。)Modern Family Season2 Episode20 (Someone to Watch Over Lily)
シーン解説と心理考察
キャンプ前に体調不良を訴えるマニーに対し、ジェイはすぐに「それは緊張ってやつだ」と見抜きます。マニーが「どこに?」と字義どおりに聞き返す一瞬の食い違いも、この二人らしいやり取りです。ジェイは「運動する場面が多いから緊張してるだけだろ。そこはお前の得意分野とは言いにくいからな」とずばり指摘します。
マニー自身も「確かに、あそこは少し気後れするんだよね」と認め、素直に不安を口にします。継父ジェイが、マニーの苦手分野をあえて言葉にしたうえで受け止める、不器用ながらも芯のある関わり方が表れている場面です。遠回しにごまかさず、はっきりと名指しすることで、かえってマニーが本音を口にしやすくなっている様子もうかがえます。運動が得意な継父と、芸術肌のマニーという対照的な二人だからこそ、この短いやり取りの中に不思議な信頼関係が見え隠れしています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
トランプのカードを思い浮かべ、自分の手札の中で一番強いスート(組)を握っているイメージを持ちましょう。「これなら自信を持って勝負できる」という得意札の感覚が、そのまま「得意分野」の意味につながります。
ジェイがマニーに向けた「そこはお前の得意分野とは言いにくいからな」という一言も、手札の中に弱いスートがあることをやんわり指摘するようなニュアンスを持っています。得意な組札と苦手な組札、その両方が同じ手札の中にあるとイメージしておくと、strong suitという表現の柔らかさも印象に残りやすくなります。強いスートだけでなく弱いスートも同じ手札に含まれている、という前提を持っておくと、誰かの弱点を指摘するときの表現としても不自然に響きにくくなります。
例文で覚える「one’s strong suit」
得意・不得意をやわらかく伝えるときに使えるone’s strong suitを、3つの例文で確認していきましょう。
Public speaking isn’t exactly my strong suit.
(人前で話すのは、正直あまり得意じゃないんだ。)
自分の弱点を謙遜して伝える場面です。isn’t exactlyという婉曲表現が、直接的な言い方をやわらげています。
Math has always been her strong suit.
(数学は昔から彼女の得意分野だ。)
誰かの得意科目を話す教育系の場面です。has always beenという形で、長く続く得意分野であることを伝えています。
A: Can you fix the printer?
B: Technology isn’t my strong suit, but I’ll try.
(A:プリンター直せる?)
(B:機械関係は得意じゃないけど、やってみるよ。)
職場で頼まれごとをされた場面です。苦手だと素直に伝えながらも、前向きに引き受ける姿勢を示しています。
あわせて覚えたい関連表現
forte
(得意分野、真骨頂)
one’s strong suitとほぼ同義で言い換え可能ですが、forteはよりフォーマルな語感を持つ単語で、履歴書や紹介文のような改まった文章でも使いやすい表現です。
have a knack for
(〜のコツをつかんでいる、〜が得意だ)
one’s strong suitが「分野全体」における得意さを指すのに対し、have a knack forは「特定のやり方やコツ」を自然につかんでいることに重点があります。
be someone’s thing
(〜が性に合っている、好みだ)
one’s strong suitが「技能上の得意さ」を表すのに対し、be someone’s thingは好みや興味の対象を指すことが多く、必ずしも上手であることを意味しません。
Note|トランプのブリッジ用語から生まれたstrong suit
strong suitという表現は、もともとトランプのカードゲームで使われていた言葉が、日常会話に定着した例のひとつです。
ブリッジなどのトランプゲームでは、配られた手札の中にスペード・ハート・ダイヤ・クラブという4つの組札(スート)があり、そのうち自分が多く持っている、あるいは強いカードが揃っている組を「strong suit」と呼びます。ゲームを有利に進めるには、この強い組札をどう活かすかが鍵になるため、strong suitは「頼りになる持ち札」という前向きな響きを持つ言葉でした。この発想が転じて、人の得意な技能や分野そのものを指す表現として、日常会話やビジネスの場でも使われるようになったとされています。カードゲームの用語が人の能力を表す比喩に転用される例は英語には多く見られ、手札という具体的なイメージが、抽象的な「得意・不得意」の話をわかりやすくする役割を果たしています。
作中でジェイが口にした「not exactly your strong suit」も、マニーの苦手分野をやんわり指摘する場面で使われていました。手札の中に弱いスートがあることを認めるような、婉曲的な響きがよく表れた一言です。得意分野を尋ねるビジネスの場面でも、What’s your strong suit?のように気軽に使える表現で、フォーマルな面接から友人との雑談まで幅広く顔を出します。
得意な組札を握っているときの安心感を思い浮かべると、この表現の持つ前向きな響きも記憶に残りやすくなります。ゲームのテーブルで自分の強い手札をそっと確認するような感覚を持っておくと、日常会話でこの表現に出会ったときにも意味がすっと入ってきやすくなります。
まとめ|手札の中の得意札を、そっと言葉にする
one’s strong suitは、人の得意な技能や分野を表す口語表現です。
得意なことを自信を持って挙げる場面でも、not exactly one’s strong suitの形で婉曲的に苦手を伝える場面でも使える、幅の広い言い回しです。直接的な言い方を避けたいときに重宝する表現でもあります。
継父ジェイがマニーの苦手分野をあえて言葉にしたうえで受け止めた場面には、不器用ながらも相手の本音を引き出そうとする関わり方がにじんでいました。得意・不得意を話題にするとき、こうしたやわらかい一言が会話の空気を変えてくれる場面でした。運動が得意ではないマニーの不安を笑い飛ばさず、ただ名前をつけて受け止めるジェイの様子が、二人の関係性を静かに物語っていました。


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