「push someone’s buttons」の意味と使い方|『モダンファミリー』S04E06で学ぶ英会話

「push someone's buttons」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

いちばん言われたくない一言を絶妙なタイミングで突かれて、つい反応してしまった経験はありませんか。

そんな「反応するスイッチ」を押すことを表す「push someone’s buttons」を、『モダンファミリー』シーズン4第6話、ルークがグロリアにマニーの様子を話す場面で、自分のことを「欲しいものを手に入れるために人のスイッチを押す方法を知ってる」と語る一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「push someone’s buttons」の意味とニュアンス

push someone’s buttons
意味:(人の)感情のスイッチを押す、神経を逆なでする

push someone’s buttons は、人が敏感に反応する話題や言い方を突いて、怒りやいらだちなどの反応を引き出す表現です。button は「ボタン」のことで、押せば決まった反応が返ってくる仕組みを人の心に重ねています。

「そのボタンを押せば必ず反応する」という前提があるため、相手の反応のしかたを知っていることが背景にあります。わざとからかって反応を引き出す場合にも、意図せず相手を怒らせてしまう場合にも使えます。相手の反応を引き出して思いどおりに動かす、という意味合いで使うこともできます。

someone’s の部分には、ボタンの持ち主が入ります。push my buttons(私の神経を逆なでする)、push his buttons(彼の神経を逆なでする)のように、誰のボタンかで形が変わります。誰かを特定せずに、人一般のボタンを指して push buttons と言う形もあります。ボタンは1つではなく、人の心にいくつもある反応のポイントという見立てなので、buttons と複数形で使います。

【ここがポイント!】

  • 「push someone’s buttons」の核は、押せば反応が返ってくる人の心のスイッチ
  • 相手をいらだたせる意味にも、反応を引き出して動かす意味にも使える
  • someone’s の部分は、誰のボタンかで my / his / her などに変わる

『モダンファミリー』S04E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ルークが、グロリアにマニーの様子を話します。マニーは「グロリアがどれだけ勇敢か」をいつも話しているのに、今は少し悲しそうに見えると言うルークに、グロリアが「どのくらい?」と問い返します。ルークは「心配しないで」と続け、最後の一言で push buttons を使います。

Gloria: What do you mean?
(どういう意味?)

Luke: Well, I don’t know. He’s always talking about how brave you are, how you’re not afraid of anything. Now he just seems a little sad.
(うーん、よく分からないんだけど。マニーは、あなたがどれだけ勇敢か、何も怖がらないかっていつも話してるでしょ。今はなんだか、ちょっと悲しそうに見えるんだ。)

Gloria: How sad?
(どのくらい悲しそうなの?)

Luke: Don’t worry. It’s a good thing. He needs a little dose of reality. You walk around school telling everyone how great your mommy is all the time, you find yourself on the business end of a wedgie. I know how to push buttons to get what I want, and what I want is to see a puppet show.
(心配しないで。いいことだよ。マニーには、ちょっと現実を知る機会が必要なんだ。学校で毎日みんなに「うちのママはすごい」って言い回ってたら、ウェッジー(下着を引っ張り上げられるいたずら)をされる目に遭うよ。僕はね、欲しいものを手に入れるために人のスイッチを押す方法を知ってるんだ。そして、僕が欲しいのは人形劇を見ることなんだ。)

Modern Family Season4 Episode6 (Yard Sale)

シーン解説と心理考察

グロリアの「どういう意味?」「どのくらい悲しそうなの?」という短い問いかけは、マニーのことを知りたい気持ちの強さを伝えています。それに対してルークは、心配しないでと言ったうえで、「いいことだよ」と切り出します。マニーには現実を知る機会が必要だと語り、学校で母親の自慢を言い回ればウェッジーをされる目に遭う、と続けます。

最後の一文は、ルークが自分のことを語る言葉です。「欲しいものを手に入れるために、人のスイッチを押す方法を知っている」と言い切り、その欲しいものは人形劇を見ることだと明かします。作中で、前に述べた言葉と push buttons の関係は説明されないため、ルークが自分の得意なことを述べた一言として受け取れます。

見どころは、長く続く説明の最後に、子どもらしい欲求が飛び出す落差です。マニーの様子を語る話から、人形劇という具体的な望みへ移るため、ルークの物言いの軽さが際立ちます。ルークの言葉の軽さが、この場面の空気をやわらかく見せています。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

エレベーターの押しボタンを思い浮かべましょう。押せば、必ず同じ反応が返ってきます。人の心にもそんなボタンがあって、そこを押すと怒ったり動いたりする、というイメージです。

ルークは「押せば動くボタンの場所を知っている」と語り、そのボタンで欲しいものを手に入れると言っています。ボタンの場所を知っているのは、相手をよく見ているからです。ボタンの位置を指先で探す動作と、相手の反応を読むことを重ねておくと、push someone’s buttons が「相手の反応するポイントを突く」表現だと自然に頭に残ります。反対に、相手のボタンに触れたくないときは、その場所を避けて話す、という動きで覚えることもできます。

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例文で覚える「push someone’s buttons」

いらだたせる場合と、反応を引き出す場合の両方を、3つの例文で確認していきましょう。

My little brother knows exactly how to push my buttons.
(弟は、私がどこを突かれると怒るのか、ちゃんと分かっている。)
きょうだいげんかの愚痴を話す場面です。knows exactly how to のあとに置くと、「どうすれば私が反応するかを知っている」というニュアンスが強まります。

A good negotiator knows which buttons to push without being rude.
(優れた交渉役は、失礼にならずに相手の動くポイントを押せる。)
交渉のコツを説明する場面です。which buttons to push の形にすると、「どのボタンを押せばよいか」という選び方の話になります。

A: Why did you get so angry?
B: He knew which buttons to push.
(A:どうしてそんなに怒ったの?)
(B:あいつ、どこを押せば俺が怒るか分かってたんだよ。)
口論のあとで理由を説明する会話です。相手が自分の反応するポイントを知っていた、という理由を一言で伝えられます。

あわせて覚えたい関連表現

get on someone’s nerves
((人)の神経に障る、いらいらさせる)
get on someone’s nerves は、相手がいらだつという結果に焦点があります。push someone’s buttons は、相手の反応するポイントを突くという行為に焦点があります。

get under someone’s skin
((人)を苛立たせる、心に引っかかる)
get under someone’s skin は、その人が頭から離れないほど心に入り込んでいらだたせる言い方です。push someone’s buttons は、特定の反応を引き出すためにポイントを突くニュアンスです。

hit a nerve
((人の)痛いところを突く)
hit a nerve は、言ったことが相手の痛いところに触れて反応が出た、という一度の結果を表します。push someone’s buttons は、そのポイントを狙って繰り返し押す場面にも使えます。

Note|「ボタンを押す」と push someone’s buttons の間にあるずれ

日本語の「ボタンを押す」は機械の操作を思い浮かべる言い方ですが、push someone’s buttons は、まったく違う場面で使われる表現です。

日本語で「ボタンを押す」と聞くと、エレベーターや家電の操作が浮かびます。push someone’s buttons の button は、人の心にある「反応するポイント」を指す比喩です。日本語なら「スイッチを入れる」「痛いところを突く」「地雷を踏む」に近い場面で使われます。ただし、それぞれ少しずつ違い、「地雷を踏む」は意図せず触れてしまう意味が中心ですが、push someone’s buttons はわざと押す場合にも、意図せず押す場合にも使えます。また、button は複数形の buttons で使うのが基本で、一つの反応ではなく、いくつもあるポイントの中から選んで押すイメージがあります。

今回のルークのセリフでは、push buttons に someone’s が入りません。誰かを特定せず、人のボタンを押す方法を知っている、という一般的な言い方になっています。日本語に訳すときも、「人のスイッチを押す方法を知ってる」と、人一般を対象にする形になっています。

「押す」のは機械ではなく、人の反応のポイントです。この違いを頭に置くだけで、英文を見たときの感覚が変わります。

まとめ|相手の反応のスイッチを、押すのか、押さないのか

push someone’s buttons は、相手の反応するポイントを突く表現です。いらだたせる意味にも、反応を引き出して動かす意味にも使え、誰のボタンかは someone’s の部分で示します。

口論のあとの理由づけや、交渉のコツを語る場面まで、相手の反応のスイッチという一つのイメージで通して使えます。

ルークは、人のスイッチを押す方法を知っていると語り、欲しいのは人形劇だと明かしていました。その落差が、この表現を印象づけています。長めの説明と、子どもらしい望みの取り合わせが、フレーズと一緒に記憶に残ります。相手の反応を読む視点を、表現の引き出しに加えてみてください。

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