海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
仕事の説明をどれだけでも続けられるはずなのに、目の前の別の出来事の方がずっと気になってしまう、そんな経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「till the cows come home」を、『モダンファミリー』シーズン1第7話の後半、住宅の内覧営業中のフィルが子供たちの様子に気を取られる一言から、一緒に見ていきましょう。
「till the cows come home」の意味とニュアンス
till the cows come home
意味:いつまでも、延々と
till the cows come homeは、非常に長い時間を大げさに表現する口語表現です。直訳すると「牛が家に帰ってくるまで」となり、農場で放牧された牛が牧草地から自主的に戻ってくるまでには長い時間がかかるという、のどかな農業の情景に由来しています。
議論や作業がいつまでも終わらない状況、いつまでも待たされる状況などを、少しユーモラスに大げさに表現したい時に使われます。具体的な時間を示すわけではなく、「果てしなく長い」という誇張のニュアンスを伝える表現なので、深刻な場面よりも軽い会話の中で使われることが多い言い回しです。似た表現に until the cows come home という形もありますが、意味・使い方はほぼ同じで、どちらも会話の中で気軽に使える口語表現です。
【ここがポイント!】
- 「牛が家に帰ってくるまで」という農場由来ののどかな比喩
- 具体的な時間ではなく「果てしなく長い」という誇張を表す
- 深刻な場面よりも軽い会話で使われるユーモラスな響き
『モダンファミリー』S01E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
住宅の内覧営業を続けるフィルのもとに、見込み客の男性が子供たちの様子について声をかける場面です。設備の説明ならいくらでも続けられるはずのフィルが、思わぬ形で本音をこぼします。
Man: Well, our boys are enjoying themselves.
(いやあ、うちの息子たちは楽しんでるみたいですね。)Phil: Yeah. I can talk about crown moldings and recessed lighting Till the cows come home, But nothing compares with that sound right there.
(ええ。クラウンモールディングや埋め込み照明のことならいつまでだって話せますけど、今のあの音には敵いませんね。)Luke: Ow!
(痛っ!)Phil: Hey, buddy.
(おっと、大丈夫か、相棒。)Modern Family Season1 Episode7 (En Garde)
シーン解説と心理考察
見込み客の男性が「うちの息子たちは楽しんでるみたいですね」と声をかけると、フィルは「クラウンモールディングや埋め込み照明のことならいつまでだって話せますけど」と、住宅設備の説明にかけては自信満々な様子を見せます。しかし続けて「今のあの音には敵いませんね」と本音をこぼすところに、営業トークよりも子供たちの様子を優先する人柄がにじみ出ています。プロとしての説明を途中で止めてまで子供の声に耳を傾ける切り替えの早さも、この一言からうかがえます。
その直後、ルークが床で滑って「痛っ!」と声を上げると、フィルはすぐに「おっと、大丈夫か、相棒」と声をかけます。営業中であっても、まず子供の様子を確かめる姿がここでも表れています。
営業マンとしての一面と、子供好きな父親としての一面が同居しているところに、フィルというキャラクターの魅力が凝縮されています。設備の説明という本来の目的を一瞬忘れてしまうくらい、子供たちの様子に気を取られてしまう様子は、営業成績よりも家族を優先するフィルらしい一場面といえます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
牛(cows)が牧草地でのんびりと草を食べ続け、なかなか家(home)に帰ってこない、そんなゆったりとした農場の風景を思い浮かべてみましょう。牛が自分のペースで戻ってくるまでの気の長い時間の感覚が、そのまま「till the cows come home」のイメージにつながります。
フィルが住宅設備の説明を「いつまでだって話せる」と語った場面も、まさにこの気の長さを体現していました。牛がのんびり帰ってくるのを待つような、急かされない時間の流れを思い浮かべておくと、似たような状況に出会った時にすっと言葉が浮かんでくるはずです。時計を気にせず、のんびりと構えている牧場の風景こそが、この表現を覚える一番の近道です。
例文で覚える「till the cows come home」
長く続く状況を大げさに表現したい時に使えるtill the cows come homeを、3つの例文で確認していきましょう。
We could argue about politics till the cows come home and never agree.
(政治について、いつまで議論しても意見が一致することはないだろう。)
意見が対立する話題について語る場面です。neverと組み合わせることで、いつまでも平行線であることが強調されます。
You can wait till the cows come home, but he’s not going to apologize.
(いつまで待っても、彼は謝らないだろう。)
相手の頑固さについて話す場面です。but以下で「それでも変わらない」という結果を添えるのが定番の使い方です。
A: How long will he talk about his trip?
B: He’ll talk till the cows come home if you let him.
(A:彼、旅行の話をどれくらい続けるの?)
(B:放っておいたら延々と話し続けるよ。)
話が長い人について話す会話です。if you let himのように条件を添えると、より自然な会話表現になります。
あわせて覚えたい関連表現
until the end of time
(時の終わりまで、永遠に)
より詩的でロマンチックな響きを持ち、愛情表現などにも使われる表現です。till the cows come homeが口語的でユーモラスな響きを持つのに対し、こちらはやや文学的な印象があります。
for ages
(ずいぶん長い間)
単に「長い時間」を表す一般的な表現です。till the cows come homeほどの誇張やユーモアのニュアンスはなく、より控えめな言い方といえます。
all day long
(一日中)
一日という具体的な時間の長さを示す表現です。till the cows come homeが具体的な時間を示さず、誇張として「非常に長い」ことを表すのとは対照的です。
Note|till the cows come home / for ages / all day longの誇張度の違い
「長い時間」を表す英語表現はいくつもありますが、till the cows come home、for ages、all day longの3つを並べてみると、誇張の強さという軸で興味深い違いが見えてきます。
もっとも控えめなのがall day longです。一日という具体的な時間の長さを示すため、実際にその時間続いたかどうかが問われる、比較的正確な表現です。for agesはそれよりも曖昧で、具体的な時間の長さを示さずに「ずいぶん長い間」というニュアンスを伝えますが、誇張の度合いはまだ穏やかな部類に入ります。
一方、till the cows come homeは、そもそも実際に牛が帰ってくる時間を計測しようという発想自体がありません。農場の牛がいつ戻ってくるかは誰にも予測できないという、いわば「果てしなさ」そのものを楽しむための表現であり、3つの中でもっともユーモラスで誇張の強い言い回しです。数字で測れない曖昧さを逆手に取っているところが、この表現ならではの面白さともいえます。
同じ「長い時間」を表す言葉でも、正確さを保ちたいのか、それとも笑いを交えて大げさに伝えたいのかによって、選ぶべき表現が変わってくることが見えてきます。フィルのように軽い調子で話を盛り上げたい場面では、till the cows come homeのユーモラスな響きがぴったりです。
まとめ|果てしない時間をユーモラスに表す一言
till the cows come homeは、非常に長い時間を大げさに表現する口語表現です。
農場で牛がのんびりと帰ってくるまでの時間という、のどかな比喩から生まれた言い回しで、議論や作業がいつまでも終わらない状況を軽やかに言い表せます。深刻になりすぎず、少しユーモアを込めて使いたい場面で会話に馴染む一言です。for agesやall day longといった似た表現と並べて覚えておくと、状況に応じた使い分けもできるようになります。
住宅設備の説明ならいくらでも続けられると豪語しながらも、息子の様子に気を取られてしまうフィルの姿には、営業マンである以上に子供を見守る父親らしさがそっとにじむ瞬間でした。


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