“No backsies.”―取り返しのつかない一言を、どう償うか|『ビッグバン★セオリー』S04E07で学ぶ英会話

『The Big Bang Theory』コラム: "No backsies."―取り返しのつかない一言を、どう償うか|『ビッグバン★セオリー』S04E07で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン4 第7話に登場する、シェルドンが一度こぼしてしまった発言を、何とか取り消し、償おうとする一連のやりとりです。捜査官への申し入れから、ハワードへの謝罪まで、償い方を段階的に変えていく様子に、謝る場面で使える表現がいくつも登場します。

一度口に出た言葉とどう向き合うか、その試行錯誤を英語表現とあわせて見ていきます。

目次

“no backsies” が通じない、取り消しのきかない発言

シェルドンはPage捜査官のもとを訪ね、自分の証言を撤回できないかと申し出ます。

Page: Then I’m afraid you can’t withdraw it.
(残念ながら、それは撤回できません。)

Sheldon: I’m sorry. I don’t recall you saying no backsies.
(すみません、あなたが「no backsies」と言ったなんて、記憶にありません。)

TBBT Season4 Episode7 (The Apology Insufficiency)

can’t withdraw it は、一度した証言や発言を取り消せないことを伝える言い方です。それに対してシェルドンが返す no backsies は、鬼ごっこやじゃんけんで「今のなし」を求めるときに使うような、子どもっぽい表現です。フォーマルな聴取の場に、子ども同士のやりとりで使う言葉を持ち出す落差が、この場面の見どころになっています。

手順としての謝罪と、素っ気ない却下

取り消しを断られたシェルドンは、今度はハワード本人に向き合います。

Sheldon: Yes. I followed the social protocol. I attempted to right the wrong, and when I failed to do so I delivered a heartfelt apology. Now you say apology accepted, and I will offer you a one-time-only high five.
(そうだよ。僕は社会的な手順に従った。過ちを正そうとし、それができなかったから心のこもった謝罪をした。今度は君が「apology accepted」と言う番で、そうしたら僕は一回限りのハイタッチを差し出すつもりだ。)

Howard: Your apology is not accepted.
(お前の謝罪は受け入れない。)

TBBT Season4 Episode7 (The Apology Insufficiency)

I followed the social protocol. は「僕は社会的な手順に従った」と、謝罪という行為そのものを手続きのように述べる言い方です。heartfelt apology(心のこもった謝罪)を差し出したのだから、あとは apology accepted と返ってくるはずだ、という段取りどおりの期待が口にされています。しかし返ってきたのは Your apology is not accepted. という素っ気ない一言で、手順を踏んだからといって相手の気持ちが動くとは限らないことが示されています。

許されるかどうかにかかわらず、差し出すもの

何度断られても、シェルドンは償いをやめません。最後に持ち出したのは、自分にとって大切な特等席でした。

Sheldon: Nevertheless, I’ve hurt you, and whether you forgive me or not, I want you to have this.
(それでも、僕は君を傷つけた。君が僕を許すかどうかにかかわらず、これを受け取ってほしい。)

TBBT Season4 Episode7 (The Apology Insufficiency)

whether you forgive me or not は、「許すかどうかにかかわらず」と、相手の返事を条件にせずに行動する言い方です。謝罪を受け入れてもらうための取引ではなく、自分がしたことへのけじめとして差し出す姿勢が、この一言に表れています。

Howard: All right. Apology accepted.
(わかった。apology accepted だ。)

TBBT Season4 Episode7 (The Apology Insufficiency)

取り消しを求め、手順どおりの謝罪を並べ、それでも届かなかったあとに、ようやく交わされる apology accepted。同じ一言が、先ほどは拒まれ、この場面ではようやく受け入れられていることに、償いの積み重ねが表れています。

まとめ|謝ることは、一度では終わらない

can’t withdraw it、I followed the social protocol、whether you forgive me or not。証言の撤回を試み、手順どおりの謝罪を並べ、最後は見返りを求めずに差し出す。謝る場面で使えるいくつもの言い方が、一つの謝罪が受理されるまでの段階を追って積み重なっています。

次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。

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