海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン11 第17話から、困った状況を伝える英語を取り上げます。中心になるのは、クリプキが口にする This is a pickle です。あわせて tricky や dilemma など、同じ回に出てくる「困った」の言い方も見ていきます。
日本語ではどれも「困った」で済ませがちですが、英語では困り方の種類で言葉が変わります。会場をめぐる駆け引きと、家族の悩みの場面から整理していきます。
「This is a pickle」は抜け出しにくい窮地
シェルドンとエイミーが結婚式の会場に考えていたアセニアムは、挙式の日付にクリプキの誕生日パーティーで押さえられていました。シェルドンがクリプキと向き合う場面です。
Kripke: Well, well, well. This is a pickle.
(おやおやおや。こいつは困ったことになったねえ。)Sheldon: Yes, so, if you will just move your birthday party to a different location, everything will be fine.
(そうだ。だから、君が誕生日パーティーを別の場所に移してくれさえすれば、すべて丸く収まる。)Kripke: Ugh, i-it’s tricky. I don’t want to move my party, but I also don’t want to help you… oh, wait, I don’t have a problem.
(うーん、こ、こいつは難しいな。パーティーは移したくないけど、君を助けたくもない…おっと待てよ、僕は何も困ってないや。)TBBT Season11 Episode17
pickle は本来ピクルス(漬物)のことですが、be in a pickle の形で「困った状況にある」「窮地に陥っている」という意味でも使われます。This is a pickle. は「これは厄介なことになった」という、少しおどけた響きのある言い方です。
ここで面白いのは、クリプキ自身は困っていない点です。Well, well, well. という前置きと合わせて、困っている相手を眺めて楽しむ皮肉として使われています。
続く tricky は「一筋縄ではいかない」「扱いが難しい」という形容詞です。抜け出せない状況全体を指す pickle に対し、tricky は判断ややり方の難しさに焦点があります。クリプキはパーティーを移したくない気持ちとシェルドンを助けたくない気持ちを並べたうえで、どちらも同じ答えになることを「困っていない」と言い表しています。
「problem」は誰が困っているかをはっきりさせる
クリプキの「僕は何も困ってない」に、シェルドンが応じます。
Sheldon: No. I do.
(いや。困っているのは僕だ。)Kripke: Yeah, you do.
(ああ、困ってるのは君だね。)TBBT Season11 Episode17
I don’t have a problem. は「自分には何の問題もない」、つまり困っていないという意味です。シェルドンの No. I do. は、do が have a problem の代わりになっていて、「困っているのは自分のほうだ」と言い返しています。Who has a pen?(ペンを持っている人は?)に I do.(持っています)と答えるのと同じ、代動詞の do です。クリプキの Yeah, you do. も同じ形で、相手の言葉をそのまま認めて突き放す返事になっています。
have a problem は、「困っている」だけでなく「〜に異論がある」という意味でも使われます。I have a problem with that.(それには賛成できない)のように、不満を伝える形もあわせて押さえておくと便利です。
「Here’s my dilemma」は二択で決めかねる悩み
これより前、ハワードとラージの場面では、まったく別の種類の悩みが語られます。2人とも仕事に戻ると大変になるので、どちらかが家に残るほうがいいかもしれないとハワードが話します。ラージとのやり取りを挟んで、ハワードは自分の迷いをこう切り出します。
Howard: Here’s my dilemma:
(俺の悩みはこうなんだ。)TBBT Season11 Episode17
この後ハワードは、自分は家に残りたい気もするが、バーナデットのほうがずっといい親だと続けます。
Raj: Wait, does Bernadette want to stay home?
(待って、バーナデットは家にいたいの?)Howard: I don’t know. She’s really invested in her career, and she’s doing great. I think it should be me.
(分からない。あいつは仕事に打ち込んでるし、すごくうまくいってる。残るべきなのは俺だと思う。)TBBT Season11 Episode17
dilemma は、どちらを選んでも何かを手放すことになる板挟みの悩みです。Here’s my dilemma. は「悩みの中身はこうだ」と相談を切り出す前置きとして使えます。
| 表現 | 困り方 | この回での使われ方 |
|---|---|---|
| This is a pickle | 抜け出しにくい窮地 | 困っている相手への皮肉 |
| tricky | やり方・判断の難しさ | 自分の板挟みを語る |
| have a problem | 困っている当事者 | 誰が困っているかの言い合い |
| dilemma | どちらも選びにくい二択 | 家に残るかどうかの迷い |
まとめ|困り方に合わせて言葉を選ぶ
今回は、窮地を表す This is a pickle、難しさを表す tricky、困っている当事者を示す have a problem、二択の悩みの dilemma を見てきました。困り方の種類で言葉を選べると、相談ごとの中身が相手に伝わりやすくなります。
同じ「困った」の中に、からかいと切実な悩みが並んでいるのが見どころの回です。
このエピソードのほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、結婚式と子育てをめぐる英語がさらに広がって見えてきます。


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