「fool oneself」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S12E15で学ぶ英会話

「fool oneself」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

本当は気づいていたはずのことに、後になってようやく向き合う瞬間が、誰の日常にも訪れます。

そんな気づきにぴったりの「fool oneself」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン12第15話の終盤、ある決断を白紙に戻したレナードが本音を打ち明ける一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「fool oneself」の意味とニュアンス

fool oneself
意味:自分をごまかす、自分に嘘をつく

fool oneselfは、本当は気づいているはずの事実や感情から目をそらし、自分に都合の良い解釈をしてしまうことを表す表現です。fool someoneのように他人をだます場合とは異なり、だます対象が自分自身になっている点がこの表現の核になっています。

見たくない現実に向き合うのを避けたい気持ちが先に立ち、後になってようやく「あれは自分をごまかしていただけだった」と気づくという構図は、誰にとっても身近なものです。本編のレナードのセリフのように、周囲には前向きな理由を説明していたはずが、実は自分の本当の気持ちに蓋をしていただけだったと悟る場面で、この表現がよく使われます。

【ここがポイント!】

  • 「fool oneself」の核は、だます相手が他人ではなく自分自身であるという構図
  • 気づいているはずの本心から目をそらしてしまう状態を表す表現
  • 後から振り返って「あれは自分をごまかしていた」と気づく場面で使われる

『ビッグバン★セオリー』S12E15のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

レナードがある依頼を引き受けない決断をペニーに伝える場面です。乗り気だったはずの理由の裏にあった本当の気持ちに、自分自身で気づいていく様子に注目です。

Leonard: Um Hey, I decided to not go through with this Zack and Marissa thing.
(あの、ザックとマリッサの件、やっぱりやめることにしたんだ。)

Penny: Really? But you were so excited about it.
(本当に? だって、あんなに乗り気だったのに。)

Leonard: I know. But, um I think I was just fooling myself. I-I would be heartbroken if I had a kid out there and I wasn’t his dad.
(分かってる。でも、たぶん僕は自分をごまかしていただけなんだと思う。もしどこかに自分の子がいて、その子の父親になれないとしたら、僕は胸が張り裂けそうになる。)

Penny: I know you would.
(そうなるだろうって分かってた。)

The Big Bang Theory Season12 Episode15 (The Donation Oscillation)

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シーン解説と心理考察

レナードが「ザックとマリッサの件、やっぱりやめることにしたんだ」と切り出すと、ペニーは「本当に? だって、あんなに乗り気だったのに」と驚きを見せます。前向きだったはずの決断が一転する様子が、短いやり取りの中に端的に示されています。

レナードは「分かってる。でも、たぶん僕は自分をごまかしていただけなんだと思う。もしどこかに自分の子がいて、その子の父親になれないとしたら、僕は胸が張り裂けそうになる」と、率直に本音を打ち明けます。他人のために協力したいという気持ちの裏に、自分自身が父親になりたいという本当の願いがあったことに気づいていく過程が、飾らない言葉で描かれています。「そうなるだろうって分かってた」というペニーの返しからは、レナードの本心をすでに見抜いていた様子もうかがえます。

言い淀みながら言葉を選んでいくレナードの話し方そのものにも、自分の内側を確かめながら話している様子が表れています。すらすらと説明できないもどかしさこそが、本心にたどり着くまでの過程をよく映し出しています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

だます相手(fool)がほかの誰でもなく自分自身(oneself)である、という一人二役の構図をそのままイメージしてみましょう。本当は気づいている本心にわざと目をつぶり、都合の良い理由をつけて自分を納得させてしまう瞬間が、このフレーズの核心です。

レナードが自分の決断の裏にある本音に後から気づいたように、fool oneselfは他人の目には見えない、自分の内側だけで起きているごまかしを言い表す表現です。鏡に映る自分に向かって作り笑いをしているような場面を思い浮かべておくと、使いどころが自然に頭に浮かんできます。

例文で覚える「fool oneself」

見たくない現実から目をそらしてしまう場面で使えるfool oneselfを、3つの例文で確認していきましょう。

I kept telling myself the relationship was fine, but I was just fooling myself.
(この関係はうまくいってると自分に言い聞かせていたけど、ただ自分をごまかしていただけだった。)
恋愛関係の現実に気づく場面です。keep telling myselfという表現が、自分に言い聞かせ続けていた様子をよく表しています。

He fooled himself into believing the business would recover.
(彼は事業が回復すると自分に信じ込ませていた。)
経営の見通しの甘さを語るビジネスの場面です。fool oneself into believingという形にすると、思い込みの内容を具体的に示せます。

A: You still think you’ll finish by Friday?
B: Honestly, I might be fooling myself.
(A:まだ金曜までに終わると思ってるの?)
(B:正直、自分をごまかしてるのかもしれない。)
仕事の見通しについて話す会話です。honestlyという一言を添えることで、自分への疑いを率直に認める響きが強まります。

あわせて覚えたい関連表現

lie to oneself
(自分に嘘をつく)
fool oneselfが無意識に思い込んでしまうニュアンスを含むのに対し、lie to oneselfはより意識的に自分を欺いているニュアンスが強い表現です。

kid oneself
(自分を甘く見る、自分を都合よく思い込む)
kid oneselfはfool oneselfとほぼ同じ意味でカジュアルな会話でよく使われますが、fool oneselfの方がやや幅広い文脈で使われます。

be in denial
(現実を認めない、否認している)
be in denialは心理学的な「否認」の状態を指すやや客観的・分析的な表現であるのに対し、fool oneselfは日常会話でより自然に使われる言い回しです。

Note|本当の気持ちから目をそらしてしまう、自己欺瞞という心理の働き

fool oneselfという表現の背景には、心理学で「自己欺瞞(self-deception)」と呼ばれる働きが関わっています。

自己欺瞞とは、都合の悪い事実や感情に気づいていながら、それを意識の外に押しやることで、心の負担を一時的に軽くしようとする心の働きを指します。心理学の研究では、人は自分にとって不都合な情報を無意識のうちに軽く見積もったり、別の理由づけをして納得しようとしたりする傾向があることが繰り返し指摘されています。これは意図的な嘘をつくこととは異なり、本人にも気づかれないまま起きる場合が多いという点が特徴です。何かをやめる決断をしたときや、関係の変化に直面したときに、後になってようやく本当の理由に気づくという経験は、この自己欺瞞の仕組みと深く関わっていると考えられています。

本編のレナードも、依頼を引き受けようとしていた当初は前向きな理由を自分に言い聞かせていたはずですが、決断を覆した後になって「自分をごまかしていただけだった」と本心を認めています。自分自身にかけていた思い込みが外れる瞬間を、率直な言葉で表現している場面だと言えます。本心に気づいた後で言葉を選び直すような話し方も、自己欺瞞が解けていく過程を自然に映し出していると言えます。

自分に都合の良い理由づけは、必ずしも悪意から生まれるものではなく、むしろ心の負担を軽くしようとする防御の働きとして起きることが多いとされています。だからこそ、後になって本心に気づいたときには、自分を責めるよりも、その気づきを素直に受け止める姿勢の方が大切になってきます。

まとめ|本心はいつか自分自身に追いつく

fool oneselfは、本当は気づいている事実や感情から目をそらし、自分に都合の良い解釈をしてしまうことを表す表現です。

だます相手が他人ではなく自分自身であるという構図を押さえておくと、後から本心に気づく瞬間の感覚がより実感を持って理解できます。

気づくまでに時間がかかってもかまいません。自分の本当の気持ちにふと気づいたときの一言として、この表現を表現の引き出しに加えてみてください。

本音への気づきは、思っているよりずっと静かにやってくるものなのかもしれません。

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