「rob someone blind」の意味と使い方|『フレンズ』S05E21で学ぶ英会話

「rob someone blind」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

支払いの金額を見た瞬間、思わず「これは高すぎる」と口に出してしまう。観光地の飲食店、空港の売店、住み始めたばかりの部屋の家賃。そんな場面が誰にでもあるはずです。

そんなときに使われる「rob someone blind」を、『フレンズ』シーズン5第21話の終盤、レイチェルが手に負えなくなった猫を路上で売ろうとして、奇妙な値段交渉を始めるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「rob someone blind」の意味とニュアンス

rob someone blind
意味:身ぐるみ剥ぐ、法外にぼったくる

相手から徹底的に金品を奪うことを表します。実際の窃盗や横領にも使われますが、日常では「不当に高い金額を請求された」という不満を大げさに言うときによく登場します。

構造を見ると、rob + 目的語 + blind の形になっています。この blind は「目が見えない」という意味ではなく、程度の甚だしさを強める働きをしています。奪われた側に何も残らない、目も当てられない状態にする。そこまでの徹底ぶりを表す語として置かれています。

同じ型の表現に beat someone senseless があり、動詞の後ろに結果の状態を示す形は英語にいくつか見られます。なお rob は人や場所を目的語に取る動詞で、盗まれた物を目的語には取りません。He robbed me とは言えますが、He robbed my wallet とは言わない点に注意が必要です。

【ここがポイント!】

  • blind は視覚ではなく「徹底的に」を表す強調、これが分かると意味がつながる一言
  • 実際の犯罪にも、値段への大げさな不満にも使える幅のある表現
  • rob は人を目的語に取る動詞、盗まれた物を続けないのが使い分けのコツ

『フレンズ』S05E21のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

レイチェルは1,000ドルもする毛のない猫を衝動買いしましたが、想像とはまったく違う凶暴さに手を焼き、店にも返品を断られてしまいます。困り果てた彼女は路上に立ち、通りがかりの人に猫を売ろうとします。二人目の女性がわずかに関心を示したところから、奇妙な値段交渉が始まります。

Rachel: Oh, terrific. That’ll be $2,000.
(あら、すてき。じゃあ2,000ドルね。)

Woman: What?
(え?)

Rachel: Okay, $1,000.
(分かった、1,000ドル。)

Woman: I thought you wanted me to adopt your cat.
(猫を引き取ってほしいんじゃなかったの?)

Rachel: Well, I do, but you’re just going to have to actually look at this as more of an investment than a cat.
(そうよ、でもこれは猫というより投資だと思ってもらわないと。)

Woman: Okay, yeah. I just wanted a cat.
(ええ、分かった。私はただ猫が欲しかっただけなの。)

Rachel: Obviously, you know how to haggle, so I’m not going to try and take you on, okay? So $800 and I don’t call the cops, which I should, because you are robbing me blind! Blind!
(あなた、値切り方をご存じね。じゃあ勝負はしないわ。800ドル、それで警察は呼ばない。本当は呼ぶべきなのよ、だってあなた、私から身ぐるみ剥いでるんだから! 身ぐるみよ!)

Friends Season5 Episode21(The One With The Ball)

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シーン解説と心理考察

値段が下がっていく過程に注目すると、この場面の構造がよく分かります。2,000ドル、1,000ドル、800ドル。相手は一度も値切っていません。すべてレイチェルが自分から下げています。

それでいて彼女は「あなたは値切り上手だ」「身ぐるみ剥いでいる」と相手を責めます。この転倒が笑いを生む仕掛けです。被害者は自分だと主張しながら、実際には自分で価格を崩している。その矛盾に本人だけが気づいていない構図が表れています。

背景にあるのは、1,000ドルという出費を認めたくない気持ちです。猫は手放したい。けれど損は確定させたくない。相反する願いを同時に抱えているため、その痛みを相手のせいにすることで処理しようとしています。なお、このサブプロットは意外な結末を迎えます。最終的に彼女は1,500ドルで売却したと語り、差し引きでは利益が出ていました。誰が誰から奪ったのか。その答えが最後まで宙に浮いたままなのが、この一連の流れの仕上げになっています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

路上で箱を抱えたレイチェルが、自分で値段を下げておきながら相手を泥棒呼ばわりする姿を思い浮かべてみてください。彼女は「身ぐるみ剥がされている」と叫び、思わず自分の目を覆います。

この、目を覆うという動作が blind と重なります。奪われすぎて何も見えない。もちろん実際の視覚とは関係のない、大げさな言い方です。

覚えるときは「目も当てられないほど奪われる」と結びつけておくと、blind が強調の語だという感覚が残ります。800ドルを提示しながら被害者を名乗るレイチェルの姿ごと記憶しておけば、この表現が持つ誇張の温度も一緒に思い出せます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「rob someone blind」

値段への不満にも、実際の被害にも使えます。3つの場面で見ていきましょう。

Twelve dollars for a bottle of water? They’re robbing us blind.
(水一本で12ドル? 完全にぼったくりだよ。)
空港や観光地で価格に驚いた場面です。誇張として使う最も日常的な形で、軽い愚痴の温度感になります。

The previous accountant had been robbing them blind for years.
(前任の会計士は何年も彼らから金を抜き続けていた。)
横領事件について説明する場面です。こちらは誇張ではなく実際の犯罪を指しており、過去完了進行形が長年の継続を示しています。

A: How’s the new apartment?
B: Great, but the rent is robbing me blind.
(A:新しいアパートはどう?)
(B:最高だよ。ただ家賃で身ぐるみ剥がされてる。)
友人との近況報告です。人ではなく費用を主語にすると、誰も責めずに負担の重さだけを伝えられます。

あわせて覚えたい関連表現

rip someone off
(ぼったくる、だまし取る)
一回の取引で不当な金額を取られた場合に使う、最も一般的な口語表現です。rob someone blind より軽く、日常での使用頻度は高くなります。

take someone to the cleaners
(すっからかんにする)
離婚訴訟やギャンブルなど、勝負の結果として財産を失わせる文脈で使われます。rob someone blind が一方的な収奪を指すのに対し、こちらは争いの結果という含みを持ちます。

cost an arm and a leg
(非常に高くつく)
主語がモノになり、値段の高さそのものを表します。奪う側の存在を想定しない点が、rob someone blind との大きな違いです。

Note|値段への不満を大げさに言う文化

英語では、価格への不満を実態からかけ離れた比喩で表すことがあります。rob someone blind もその一つです。

並べてみると、この傾向がはっきりします。highway robbery(追い剥ぎ)は、かつて街道で旅人を襲った強盗になぞらえた表現で、法外な値段を指して使われます。cost an arm and a leg は、腕と脚を代償に差し出すという極端な言い方です。daylight robbery というイギリス寄りの言い方もあり、白昼堂々の強盗という意味になります。いずれも実際の犯罪や身体の損失とはかけ離れているのに、日常の買い物や飲食店の会計で普通に口にされます。共通しているのは、深刻な告発ではなく、その場の軽い愚痴として機能している点です。言われた店員が本気で反論することもなければ、聞いた友人が心配することもありません。誇張の度合いが大きいほど冗談だと伝わる、という了解が共有されているためです。この距離感を掴んでおかないと、真剣な非難として受け取られかねない場面もあります。

レイチェルが robbing me blind と叫ぶとき、彼女は800ドルを自分から提示しています。誇張であることは本人も相手も承知の上です。だからこそ、この場面は非難ではなく笑いになります。

大げさに言うことで、かえって角が取れる。そんな表現です。

まとめ|値切られていないのに、ぼったくりだと叫ぶ人

rob someone blind は、相手から徹底的に奪われたと感じたときの表現です。blind は視覚ではなく程度の強調で、何も残らないほどという意味を担っています。

実際の被害を語るときにも、値段への不満を軽く漏らすときにも使えます。誇張だと分かる文脈で使えば、深刻になりすぎずに気持ちを伝えられるのがこの表現の便利なところです。人ではなく家賃や手数料を主語に置けば、誰も責めずに負担の重さだけを伝えられます。

思わず声が出るような金額に出会ったとき。その驚きを言葉にする一つの形として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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